チーン。
「ほう、これはなかなか……」
そうつぶやいて、漂うリコッタチーズの香りを味わうのは、寝子島高校の教頭先生、
黒崎 俊介だ。
1人で遅くまで残業していた彼は、仕事を終えて北校舎1階の学食にきていた。
学食のおばちゃんの粋な計らいで、おいしいラザニアとデザートのティラミスが用意されていたのだ。
「せっかくだから、たまには応接室でゆっくりいただくのも悪くないな」
と廊下に出た、そのときだった。
カタッ。
物音がしたようだが、耳を澄ましてもその後はもう何も聞こえない。
「気のせいか……」
と廊下を見ると、影が視界に入った気がした。
「誰だ!?」
慌てて懐中電灯をポケットから出して、あてるが何も見えない。
「誰かいるのか……?」
教頭として確認しなければならない。
気配を感じる勘を頼りに何かを追うと、そこは2階の生物室だった。
そして、その扉を開けると……。
「ぎゃあああああああ!」
校舎中に黒崎先生の叫び声が轟いた。
生物室では、カタタン、タン、タン……骨格標本が揺れていた。
「と、いうことがあったらしいのよねぇ」
と翌朝の学食で、集まっていた生徒ににやにやと話す理事長、
桜栄 あずさ。
その視線の先には、仕事がはかどらないのか紅茶を飲んでばかりの黒崎の姿もあった。
「黒崎先生は怯えちゃって、気のせいだと思いたいみたいねー。ふふふっ」
笑いの漏れるあずさに、生徒が聞いた。
「理事長はどう思ってるんですか? 骨格標本がほんとに動いたと思うんですか?」
理事長は立ち上がって、怒りを露わにまくしたてる。
「当たり前よ! ヤツは動いてるに決まってる! 理事長室のワインがいつのまにか空になってるのは、絶対にヤツの仕業よっ!」
「そ、それは自分が飲ん……!」
と生徒が言いかけたところで、理事長がキッと振り向いた。
「……」
何も言えぬ生徒に、理事長はそっと囁いて出て行った。
「夜の警備の人には一言言っておくわ……今夜、自分の目で見てみなさい?」
夜の校舎って人がいなくて怖いですよね。
え、怖くないですか?
はじめまして、ゆう と申します。
<今回の目的>
寝子高の七不思議のひとつ、生物室にある骨格標本が夜中に動く、というのが本当か確認すること
あるいは、黒崎先生が感じた廊下の影を確認すること
骨格標本が動いていたら、あるいは影の正体を見たら、なんらかの行動が必要になるかもしれません。
それはみなさんのアクションにかかっています。
<追加情報>
過去にこの七不思議の謎を解き明かそうと計画した生徒がいたそうです。
監視カメラを仕掛けた実験では、何日やっても無駄に終わりました。
カメラではなく直接見てやろう、と何日も夜中の生物室や廊下からのぞいて見張ってたときも、無駄でした。
ただ、一度だけ見張りの生徒が寝てしまったことがあり、
そのときは、目を醒ましたら少し位置がズレていたそうです。本当でしょうか。
ちなみに、生物担当の牛瀬教諭は、どうも信じてないようです。
こんな風に言って骨格標本の頭蓋骨をペチペチと叩いて笑っていました。
「日本の学校でよく聞く七不思議やけど、この標本はヨーロッパ製やからなあ。日本の常識が通じるやろか?」
ご注意
※リアクションにはNPCは登場しません。