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【お花見】桜の下で待ち合わせ
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茜の空に、鳥籠を幾つも付けた巨大な円環が回っている。
純白の髪に夕陽の色と海風を遊ばせ、興味深げに丸めた真紅の瞳にその巨大構造物を映す
アルレッテ・ザメニス
の傍らに立ち、
レイリー・マクティーラ
は己の黒髪を覆う帽子を片手で抑えた。星幽塔では然して珍しいものではない黒狼の耳は、こちらではひどく奇異なものらしい。
「また迷い込んでしまったのかな」
突如として切り替わった世界にも驚いた素振りも見せず、いつも通りおっとりと小さく首を傾げるアルレッテを見遣り、レイリーは琥珀金の瞳を僅かに細めて見せる。
「みたいだな」
「あれは何だろう」
レイリーと世界を同じくするアルレッテは、月神を祀る神殿で神官を務めていた。ただひたすらに神に祈り捧げ続けて生きてきた彼は、あの世界から星幽塔に迷い込むまで祈ることしか知らなかった。
祈ることしか知らなかったアルレッテの指は白く細い。十七の折に元の世界から放逐されて十年たった今も、まだ。
(十年、か)
レイリーは月神神殿の衛士を務めていた。アルレッテとは、共に星幽塔に流れ着いて以来の付き合いになる。元の世界では、神官と衛士という立場の違いもあって行動を共にすることは多くはなかったけれど、それでも時折物を贈りあう仲だった。顔を合わせれば親しい言葉も交わした。
あの時から十年を経ても変わらぬ無垢な指が楽し気に示すのは、夕暮れに様々な色の光を纏って浮かび上がる巨大な円環。
「大観覧車、らしいな」
レイリーの言葉を繰り返して呟き、アルレッテは白い頬を朗らかな笑みに輝かせた。齢を感じさせぬのは、かつて神官という職にあったがゆえか、それとも黒狼の獣人である己とは違う尖った耳を持つ種族であるがゆえか。
星幽塔とは景色を全く異ならせる街並みの央に立ち、それでも物怖じせぬ生活力のない白髪の元神官殿に、黒髪の元衛士は笑いかける。
「アル、せっかくだし乗ってかねえか?」
「いいね」
以前こちらに迷い込んだ時に、星幽塔の貨幣がこちら側で使えるものに変化することは確認している。チケット販売機の前でどうすればいいのか分からず困り顔でただ立ち尽くすアルレッテの頭をがしがしと撫でつつ退かせ、二人分のチケットを購入する。
窓口でまごつき、乗り口で戸惑うアルレッテの手を引き、観覧車の籠に乗り込む。
「わ、……揺れるね」
「そうだな」
黄昏の空へ昇って行く籠の中、ベンチに向かい合って座る。
「上からこの島を確認できるのはいいな」
「レイ、海が見える」
窓に貼りつき、光を灯し始めた街や茜に染まる海や山を見回していたアルレッテの声が、ふと止まった。レイリーが不思議に思って真紅の瞳を追えば、アルレッテは薄く開いた窓からひらり、どこからともなく迷い込んだ薄紅の花びらに視線を奪われていた。
「この花は桜と言うらしいよ」
ベンチに落ちた桜を指先につまみ、掌に乗せてレイリーに見せようとした、その瞬間。
――燃え盛る炎の色を、思い出した。
走りながら振り返った視界を埋めた火の色と、凶暴な朱の只中にある神殿の影と。祈りの前の禊をしていたために濡れて乾かぬ背に貼りつく簡素な衣の感触と、哄笑と共に伸びてきた賊の手と。
「っ……」
己の腕を掴み、石畳に組み敷かれたときの恐ろしさと痛みを思い出す。記憶に胸を貫かれ、アルレッテは喘いだ。
(あの時、……)
神殿を焼いた賊のひとりに押し倒され喉に手を掛けられたところで、記憶は途切れている。気づいたときには、レイリーに抱きしめられ、見知らぬ場所に居た。そこが星幽塔という異世界であると知ったのは、もう少しだけ後のこと。
不意に脳裏を満たした、初めて星幽塔に立った瞬間と元の世界の最後の瞬間に、そのあまりにも鮮やかな情景に、息の仕方を忘れた。
「……っ、あ、」
「アル!」
白い頬を蒼褪めさせて蹲るアルレッテを、レイリーは躊躇いなく抱きしめる。揺れる床にも構わず、純白の髪の頭を自分の胸に抱き、冷たい手に手を重ねる。その手に乗ったままの桜の花びらに触れる。そうして、レイリーもまた、思い出す。
アルレッテへの土産にするつもりだった髪留めが石畳に落ちた音と、アルレッテを逃がしたことだけを告げて事切れた神官補佐の血塗れの身体と、――耳を弄する、月神神殿に満ちる数多の人々の悲鳴と、神殿を侵す賊の嘲笑と。
怒りに頭痛と吐き気さえ催しながら、混乱の最中にある街を駆け抜けた。
街はちょうど花祭の最中。華やかに賑やかに、町中に花が満ちるその日だからこそ、神殿の護衛の多くが祭に繰り出すその日だからこそ、賊は神殿を狙ったのだと、頭のどこかで冷静に思った。思いつつ舌打ちした。
祭の晩くらい護衛を外れてもいいと、いくら神官補佐に言われても、神殿を離れるべきではなかった。アルレッテの傍を離れるべきではなかった。
混乱の街の外れでようやく見つけたアルレッテは、獣のごとき賊に華奢な肢体を組み敷かれていた。
――ッああぁあぁア!
体中を満たした憤怒の感情は、レイリーから一切の思考を奪い去った。
その日、レイリーは初めて獣以外のものを手に掛けた。
拳を汚した血の色と、獣とは違う骨や内臓を砕いた感覚は、あの日から十年を過ぎても未だ消えない。
「アル、……アル」
あの日、気を失ったアルレッテにそうしたように、抱きしめる。繰り返し呼び掛ける。
あの日も、そうしてアルレッテを抱えて彷徨い歩いた。気付けば星幽塔に辿りついていた。
「……アル」
突如として蘇った記憶に唇をかみしめる。アルレッテを抱く腕に力をこめる。
「大丈夫」
あの日とは違い、アルレッテの腕がレイリーの背に回る。大丈夫だから、と微かに笑いつつ背中を叩かれ、レイリーは安堵の息を吐いた。
アルレッテが縋るようにしがみついてくる。細身の体のあまりの冷たさに、レイリーは眉間に皺を刻んだ。
「月が、」
アルレッテが消え入りそうに呟く。
「……うん?」
「月が、もっとよく見える所に連れて行ってくれないか」
「ああ……」
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
阿瀬春
シナリオタイプ(らっポ)
シルバーシナリオ(150)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
日常
SF・ファンタジー
定員
1000人
参加キャラクター数
110人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2017年05月13日
参加申し込みの期限
2017年05月20日 11時00分
アクション投稿の期限
2017年05月20日 11時00分
参加キャラクター一覧
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