酷く荒れ果てた礼拝堂。
争いの跡が色濃く残されており
床には割れたステンドグラスの破片が散乱している。
教壇の下には隠し扉があり
そこから地下室へと降りられる様だ。
中央にぽつりと佇む薄汚れた天使像は
どこか泣いている様にも見える…。
うん…。
闇は、優しいから。
見たくないものを見ないでいいようにしてくれるし。
だから私、昼より夜の方が好きだわ。
夜は月も綺麗に見えるしね。
日本だと成人しないとお酒が飲めないものね。
知ってる?
魔界も、年齢関係なくお酒が飲めるのよ。
これでも、昔に比べると改善された方なのだけどね。
昔の私なら、お祈りしている所を
見つかった瞬間に逃げ出しているわ。
そう、後めたいの。
とても後ろめたくて、つい色んな幸せから
逃げ出したくなってしまうの。
一番の幸せからは、逃げないと決めているけどね。
いいえ。人は神様になれるわ。
その人の事を神様だと認識してくれる人がいればね。
…なんて屁理屈は置いておくとして。
そうね。やっぱり辛くて苦しいのでしょうね…。
だとしても…少しでも理想に近づきたいわ。
人の抱える光も闇も、何もかも全て受け入れて
その上で人を愛したい。愛せる様になりたい…。
そうでないと、意味がないもの。