酷く荒れ果てた礼拝堂。
争いの跡が色濃く残されており
床には割れたステンドグラスの破片が散乱している。
教壇の下には隠し扉があり
そこから地下室へと降りられる様だ。
中央にぽつりと佇む薄汚れた天使像は
どこか泣いている様にも見える…。
暗い部屋は好きよ。
暗いと周りがよく見えないけれど、それがいいの。
その方が落ち着く。
ワイン蔵か…。
ここに貯蔵するならやっぱり、葡萄酒かしら。
良くも悪くも、歴史は繰り返す。
世界に学習能力が備わっていないからなのか。
それとも、備わっているからなのか。
きっと、両方ね。
恋をするのは初めてでは無いような気はするけれど
こんなにも誰かを好きになったことは、今までにないわね…。
貴方の言う通り、私は怖いの。
愛し愛されることは私の理想ではあるけれど
その理想を手にした後、失った時の痛みを思うと、ね。
…ねぇ。神様になるのって、一体どんな気分だと思う?
楽しいのかしら。苦しいのかしら。
それとも、その両方かしら。