酷く荒れ果てた礼拝堂。
争いの跡が色濃く残されており
床には割れたステンドグラスの破片が散乱している。
教壇の下には隠し扉があり
そこから地下室へと降りられる様だ。
中央にぽつりと佇む薄汚れた天使像は
どこか泣いている様にも見える…。
そうだったの…可哀想に。
子供を誘拐するなんて…。
お墓、なのかしら…。よくわからないわ。
そうね。沢山の神様を祀っていたら
神様同士が喧嘩しそうにも思うのだけど。
そういえば、この島の猫とカラスの神様は喧嘩をしていたっけ。
私自身のことはいいの。
私が地獄に堕ちるのは構わない。
それは仕方のないことだから。
…セルゲイさん。私、偽善者なのよ。
この世界の平和を祈っているような振りをしているけれど
それは多分違うの。
私が本当に祈っているのはきっと
私にとって一番大切な人の幸せだけ。
それ以外の事は私にとって
暇つぶしのお遊びでしかないのよ、きっと。