酷く荒れ果てた礼拝堂。
争いの跡が色濃く残されており
床には割れたステンドグラスの破片が散乱している。
教壇の下には隠し扉があり
そこから地下室へと降りられる様だ。
中央にぽつりと佇む薄汚れた天使像は
どこか泣いている様にも見える…。
今の私は天使じゃないわ。
地上に生きる人の子よ。
そうね…。
肉体の年齢はともかく、心はきっと
ボスコフさんよりずっと幼いわ。
私も、これでも一応17歳なの。
私は日本に移り住んで長いから。
産まれた国がどんな国だったかも、その国の言葉も
もう忘れてしまったわ。
もっとも、引っ込み思案なのは昔からだった気はするけれど。
ちやほやされない事もないけれど
見た目だけで判断して好意を向けられても
それは私にとって何の意味もないことだから。
ボスコフさんは何処の国から来たの?