酷く荒れ果てた礼拝堂。
争いの跡が色濃く残されており
床には割れたステンドグラスの破片が散乱している。
教壇の下には隠し扉があり
そこから地下室へと降りられる様だ。
中央にぽつりと佇む薄汚れた天使像は
どこか泣いている様にも見える…。
さっき言ってた”大切なものを捨てたり忘れたりしてしまう”こと?
(天使像に背中を預け、床のステンドグラスをつま先で弄りながら)
そうねぇ…、貴女も半分は答えが出てるんじゃない?
幸せかどうかは人それぞれ。捨てたり、忘れたりする理由も様々。でも、総じて言えるのは”変化は必然”ということね。幸にも不幸にもなるために必要だから人は変わるの。
貴女にとって幸せには映らないことも、その人にとっての幸せかもしれないわ。
(どことなく悲しげな笑顔を向けながら)
だから、完璧な答えを求めることはできない。完璧な人なんていないから。他人の幸せを願うのは自由よ。貴女が願えば、ひとりぶん世界は優しくなれる。本当は皆が皆の幸せを願えるといいのだけど。
でも、まずは自分を幸せにしなさい。さっき、幸せは人それぞれとは言ったけど、自分を幸せにする力がない人が他人を幸せにはできないわ。
貴女は、貴女の幸せを求めればいい。