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【お似合いの服】
こんな日もあると、分かってはいるのですけれど。
「……はぁ……」
一向に動き出そうとしない自分の手を見つめて、
桜 月
はちょっぴり、不機嫌そうに眉を寄せました。
創作というものにはいつだって、産みの苦しみが伴うものです。どんなに高名な画家だって、陶芸家だって彫刻家だって、それに服飾デザイナーだって、常にすらすらと満足のいくイメージを表現できるとは限らないでしょう。ましてや未だ勉強中の身である月なら、こうしてスランプに悩むことだって、あって然るべきというものです。
それでも、やっぱり。
(むぅ。今日は、上手くまとまらないな……)
ぶすっとしたお顔で、本日何度目かのため息を、はぁ。時折襲ってくる絶不調に、どうしようもなくイライラとしてしまうことだって、あるわけなのです。
(紅茶でも淹れようか)
気分転換のために席を立ち、紅茶など淹れてみるものの。いかんともしがたいことに、上手くいかない時というのは、何をやっても上手くいかないものでありまして。
(……むぅ。メイドのようにはいかないか。にしてもこれは……マズイ!)
残念ながら夜もふけて、月に仕えるお手伝いさんは帰宅してしまいましたもので、失敗作とはいえ、ひとまずこの渋い紅茶で我慢するほかなさそうです。いくらかでも心を落ち着かせるために、という試みだったはずが、なんだかちっとも落ち着けていなくて。月はどうしようもなく、イライラ。
(ああ……ダメだ)
ついにはペンを机に放り出して、ぽふんっ! とベッドへ身を投げ出してしまいました。
(さて、どうしたものかな。今夜はこのまま、寝てしまおうか……一晩たてば気持ちも落ち着いて、いやいや。やはり今夜のうちに、このスランプから抜け出す光明を、少しでも……)
なんて悶々と考えているうちに、月は、うとうと。けれど気持ちよく寝入ってしまえるならまだしも、どうしても落ち着かなくて、ころん、ころんとベッドの上で何度も転がって……と。そんなことをしておりましたら。
「……うん?」
目の前に、何やら見慣れないものがあることに気付いたのは、そんな時。
(これは……スノードーム?)
ぽっかり、大きな丸いガラスの向こう。はらはらと降り落ちる雪……たゆたう、ひとりの少年の姿。
月は半ばうつらうつらとして寝転んだまま、それでもどこか興味を惹かれて、腕枕にちょこんと頭を乗せながらに、不思議な光景を見つめます。
(綺麗だな……)
白雪舞うドームの中。
滝原 レオン
の心がいつにやく安らいでいるのは、その幻想的な風景だけが理由ではないのでしょう。
まるで気持ち良く泳いでいるみたいに、目の前をふわふわと漂う、お気に入りの『ましろ』……レオンお手製のうさぎのぬいぐるみ。それに、ましろを生み出し、そしてレオンに新しい世界を垣間見せてくれるものでもある、裁縫道具の一式。
スノードーム。そこはレオンを心穏やかにしてくれる、なんとも素敵な空間でした。
(はは。ぬいぐるみに針と糸だなんて、俺らしいな……、?)
『それ』を視界の端に見つけ、思わず息を呑むまでは。
(…………なんで)
見慣れた品々の中で、異質な存在感を放つ、それ。
(なんで、これが……ここに、あるんだ……)
おそるおそるに、両手を伸ばします。レオンは震える手で浮かぶそれを捕まえて、引き寄せました。
胸へと抱き締めます。ぼろぼろにほつれて、色褪せた緑のリボンを首に巻いた、懐かしいテディベアを。
同時に、それまで見えていなかったものが、目に付きました……ドームの外。いくつも散らばっている、フリルのついたワンピース。ブラウス、スカート。ロングヘアのウィッグも。
瞬間、レオンにとってドームは単なる癒しの空間ではなく、忘れがたい過去と、そして現在を対比する場へと変わり、彼はテディベアを抱きこんだままに、意識はぼんやりと思考の波へさらわれていきます。
(置いてきたはずなのに。これは、このテディベアは、あのアパートに……母さんが、俺を捨てた時に)
母が気まぐれに与えてくれたそれへ、レオンはとうに、別れを告げたはずでした。思い出とともに、かつての住み慣れた家へと、置き去りにしてきたはずでした。
懐かしくも、どこか心ざわつかせる……それでも過去が、今はなぜだかレオンを悪戯に苛むことなく、こんなにも静かな心持ちで対峙することを彼に許してくれているのは、あるいは、この不思議なスノードームの助けがあってのことなのかもしれません。
ぼろぼろのテディベアを見つめながら、レオンは夢見心地。記憶の中と変わらないその表情に、
「……お前が、今の俺を見たら……あの頃とは違う俺を見たら。どう思うかな」
彼は、そんな風につぶやきました。
長い銀髪のウィッグ。フリルのついたワンピース。ブラウス。スカート。ドームの外に散った女物の服は、紛れも無くレオンの持ち物です。
彼は時折、変身するのです。自分ではない自分へ……愛らしい『滝川 怜』へと、たびたびに。そうすることで、彼は不思議と心が落ち着き、安心感を覚えるのです。
そしてその頻度は、このところ徐々に増えてきているようにも思えました。
「時々、思うんだ。『レオン』と、『怜』……本当の自分は、どっちなんだろうって」
女物の服を身につけても、レオンは『俺』であるはずなのに……時折現れる『私』、怜もまた自分であって、切り離せない半身のようなもの。どちらが本当なのか、どちらがこの身体の手綱を握っているのか、分からなくなることがあるのです。
「なぁ。どっちが、本当の自分なんだろう。俺は『レオン』で、でも確かに『怜』は私で、どっちも自分で……」
問いかけてみても、物言わぬテディベアは物言わぬまま、彼を見つめ返すだけ。
(……どっちなんだろうなぁ)
ぼんやり。物思いに耽りながら、ぷかぷか。
うとうととし始めたところで、ひとりの女の子が自分を、このドームを覗き込んでいることに気付いても。あまりに心地が良くて、慌てることもなく、ただきゅうとテディベアを抱き締めて……レオンはいつしか、微笑んでいました。
月の興味をそそる要素が、そのドームの内外にはちりばめられておりました。
(……なんていう光景だろう……)
月はうっとり、目を細めて見入ります。
針と糸の裁縫道具。やけに出来が良く可愛らしい、うさぎのぬいぐるみ。ドームの外、散らばっている女性服はどれも、月の持ち物ではありません。
(ふむ。もしかして、彼が着る……ということなんだろうか?)
つん、つつん、と戯れに丸いガラスを指先でつつけば、ふわふわ。膝を丸めて、ぼろぼろのテディベアを抱き締めて漂う、銀色の髪の男の子は、こちらへと笑いかけてくれました。
もちろん月にも、そうだと確信はありません。何だかうつらうつらとして夢心地ではありましたし、突然目の前に現れたスノードームだなんて、そんな光景にはどうにも、現実感がありません。
けれど、ともかく、
(……うん。何だか、イメージが湧いてきたぞ)
スノードームの少年に、スランプに陥っていた月が創作意欲をびりびりと刺激されてしまったのは、確かなようです。
(あんなに綺麗な顔立ちだ、きっとドレスを着たって似合うだろう。彼にふさわしいデザインは……よし)
がば! 月は勢い良く起き上がりますと、机にかじりつきペンを手に取って、しゅばばば、しゅば! 次々に止め処なく浮かんでくるイメージを、零さないようにとノートへ書き留めていきます。
(イメージカラーは、黒……青? フリルに、花、薔薇をあしらって……ぬいぐるみとも合う、可愛らしいものがいいな。うん、どんどんイメージが湧いてくるぞ……!)
……未だ、夢の中のようで。軽快にペンを走らせながらも、心地良くぼんやりとしたこのひと時が終わった後に、彼が隣のクラスの男子であることに月が気付くかどうかは、分かりません。彼、レオンにしてもそれは同じ……不意に巻き込まれた現象のさなかに見た、儚い夢と思うのかもしれません。
不思議な邂逅。月は彼をモデルに、ひたすらにデザインへと打ち込み、やがて朝を迎えてから見返したそれらは、とても満足の行くものだったということです。
あるいはそれらを実際に、彼が着る……なんていう時が、
(来たらいいな……きっと、似合うだろうな)
今はまだ。全ては儚い、夢の中。
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担当ゲームマスター
墨谷幽
シナリオタイプ(らっポ)
シルバーシナリオ(150)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
学校生活
恋愛
SF・ファンタジー
定員
20人
参加キャラクター数
20人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2015年07月15日
参加申し込みの期限
2015年07月22日 11時00分
アクション投稿の期限
2015年07月22日 11時00分
参加キャラクター一覧
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