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【心温】
ふわふわと浮かぶ身体に、身の落ち着けどころが無くてちょっぴり苦労しながらも、
小山内 海
は、不思議なドームの中を見回します。
(わ……綺麗)
はらはら、積もることなく降り続く雪。するり、するりと宙を泳ぐ、滑らかな手触りの青いリボン。
(あれ? これって、私の……)
手に取った、スケッチブックと何本かのペン。確かにそれらは海のもので、声を持たない彼女の意志を誰かに伝える、大切なものです。
海はきゅう、とスケッチブックを胸に抱いて、片手をぺたんと丸っこいガラスの内側へ添え、外を覗きます。
見慣れた寝子島の風景。近くに落ちているのは使い込まれた木刀に、きらりと光る銀色のかんざし……足元を見下ろせば、ドームの台座には、何か文字が記されているのが目に入りました。
(えっと。『Katana & Umi』…………えっ?)
「大丈夫か? 小山内」
背中からかけられた声に、ずばっと勢い良く振り返りますと……そこには心配そうに眉を寄せた、
御剣 刀
くんがおりました。
海は慌ててスケッチブックを開き、しゅばばば!
『刀くんも、いたんだ!?』
「ああ。しかし、また妙な現象に巻き込まれたな……やっぱり神魂か?」
つぶやいた刀は、スノードームの内をくるりと見回しつつ、どこか警戒しているようなそぶり。けれど、
「まぁ、特に危険ということは無さそうだが。今までの経験からすれば、しばらくすれば元に戻るかもしれないな。少し様子見といくか」
こくりと、海はうなずきます。
確かに、奇妙な現象ではありました。けれど、それでもなぜか、海は心に安らぎを感じています。急いでここを出なきゃ! と焦燥感にかられるでもなく、むしろいつまでもこの空間に漂っていたいような、そんな穏やかな安心感が、胸には満ちているのです……もっともそれは、海がひとりぼっちではなく、こういう時にはこの上なく頼りになる彼が、こうして一緒にいてくれるから。なのかもしれません。
(あ……み、見えちゃわないかな? これ)
同時に、男の子がこの場にいることで、海はともすればふわりと浮かび上がりそうになる、スカートの裾が気になってきたりもしましたけれど。ともかくふたり、しばらくこの空間……スノードームの中で、ひと時を過ごすことにしました。
ふわり、ふわり。海は刀と一緒に、球状のガラスの中、ふわふわとたゆたいます。
(何だか、良い気持ち……)
はらり、はらり。降り落ちる雪を見つめて、うっとり。漂うリボンに手を伸ばすと、それはしゅるんと指の間をなぞりながら通り抜けて、ふたりの周りを優雅に泳ぎます。
(ずっとこのまま、こうしていたいような……わ、きゃ!?)
と、無重力空間のようなドームの中で、不意に、くるんっ。海の身体が引っ繰り返りかけて、
「おっと。大丈夫か?」
刀がはっしと、力強く背中を支えてくれました。ふわふわと浮かんでいるのは心地良いものの、掴まるところも無いものでして、何だかちょっぴり落ち着きません。
「……小山内」
少しだけ苦労しながら、名を呼んだ刀のほうを振り向きますと。
両腕を広げた、彼。海を抱き止めて、支えてくれようとしているようです。
朴訥で実直な、彼らしい気づかい。
(……良いの、かな)
だからこそ海は、逡巡します。刹那に、ずっと迷っていて決断を先送りにしている、ある悩みが胸の中へと噴出してきます。
(甘えちゃって……良いのかな)
刀を、真っ直ぐに見つめます。
今の互いの関係が、いわば歪なものであるのは、海にも分かっていました。ずっとこのままでいいのかな? 一歩、踏み込んでみてもいいのかな? 何かを決めた瞬間、危ういバランスのもとに保たれていた均衡が崩れて、何もかも失くしてしまいそうで。怖くて。このままではいけないと分かっているのに、踏み出せない自分が嫌になってきて。
ちり、と疼いた首筋の噛み痕を、無意識のままにひと撫で。
(でも……今、だけなら)
不思議なスノードームに満ちたこの穏やかさが、あるいは、海にひとひらの勇気を与えてくれたのかもしれません。
未だためらいがちにではありながらも、海はやがておずおずと、誘われるままに……ぽふん。刀の腕の中へと、身を預けました。
やわらかい海の身体を抱き止めて、安心させるように、彼女の栗色の髪を撫でながら。
「なぁ、小山内。何か、困ってることは無いか?」
刀は、そんな風に尋ねました。彼女の仕草や態度に、何やら、悩みのようなものを感じ取ったのです。
小柄な海。すっぽりと収まった刀の胸の中、うつむいたままふるふると首を横に振った彼女に、刀は確信を深めます。沈黙が逆に、何かあるのだと、彼へと如実に伝えているように思えました。
けれど彼は、ことさらにそれを突き詰めたりはしません。
「……そうか」
ただ、ぽむ、ぽむっと軽く、安心させるように、海の頭へ手を乗せただけです。
刀はもちろん、女の子の迷いへわざわざ無粋に顔を突っ込んだり、むやみやたらにほじくり返したりはしません。かといって、彼女がもし自分からそれを打ち明け、例えば何かしら力を貸して欲しいと刀に望んでいるのなら、それを無碍にすることもありません。
刀が常日頃打ち込む剣術は、かつては単なる目標であり到達点であったものが、今では自分と、そして自分が大切だと思う誰かの、ありふれた日常……フツウを守るためのものへと、少しばかりその形を変えつつあります。そこには時として痛みが伴いながらも、決して彼が立ち止まることはありません。
つまりはそれが、刀という少年なのです。
(警戒は怠らず。だが今は、小山内が落ち着くことが最優先だ)
そう、この腕の中。自分の胸へと額を預けている、この大切な友人が心安らぐことこそが、今の彼の望みです。
(……とは言うものの。どうにもまずいな、これは)
ただ、そうして海を安心させるため、適度な力を込めつつ抱き締めながらに、フツウではない現象への警戒は緩めるつもりも無い刀ですけれど……今はちょっぴり、彼としては、困ったことになりつつありました。
恐らく危険は無いと、そう確信はできました。ただ、だからこそこのスノードームの内部は、あまりにも居心地が良すぎるのです。海のみならず、刀自身までもゆったり、まったりとして、安らかな気分になってきて……いつしか彼は、
(やばい……眠くなってきた……)
あるいは。剣の道を志す彼を、それほどまでに安堵させているのは、腕の中に抱いた女の子の、あたたかな体温にもよるものだったのかもしれません。
気付けば自分を見上げる、左右で少し色味の違う、青い瞳。今はすっかり落ち着いているらしい、けれどほんのりと頬を赤く染めた彼女の目線が、刀に尋ねます。
刀くん、ねむいの? すこしだけ、ねちゃおっか?
「……そうだな。きっとこの中に、危険は無いはずだ」
微笑んだ、彼女。海。その笑みがきっと、刀自身をも心穏やかに、和やかな気持ちにさせてくれているのでしょう。
(俺も少し、休もう。たまになら、そうしたって良いだろう?)
刀はもう一度、海の頭をするりと優しく撫でてから、そっと瞳を閉じました。
くるり、くるり、時折ドームの中で、ゆっくりと回りながら。ふわり、ふわり、身を寄せ合って眠るふたりを、あたたかく包み込むように。はらはら、はらはらと、白い雪は舞い続けます。いつまでも、いつまでも。
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担当ゲームマスター
墨谷幽
シナリオタイプ(らっポ)
シルバーシナリオ(150)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
学校生活
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SF・ファンタジー
定員
20人
参加キャラクター数
20人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2015年07月15日
参加申し込みの期限
2015年07月22日 11時00分
アクション投稿の期限
2015年07月22日 11時00分
参加キャラクター一覧
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