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【協奏】
(……ひばりだ)
静かに。あくまで小さな音ながら、確かに、聞こえてきます。グリゴラシュ・ディニクの『ひばり』。
篠崎 響也
にとっては、馴染みの深い曲です。以前にコンクールへ出た際、この曲を弾いたことがあったのです。
(三位だったんだよな……あれは悔しかったな)
タイトルの示す通り、ひばりの鳴く様のように爽やかな、アップテンポな曲……それに、難曲でもあります。響也は練習に練習を重ね、万全を期して本番へ望んだものの、結果は残念ながら、納得の行くものではありませんでした。
けれど、そんな敗北を悔しく思うことは、響也にとって悪いことばかりではありません。悔しく思うからこそ、
(もっと、もっと上達したいと思える)
スノードーム。降り落ちる雪に混じり、ふわりとたなびく鳥羽、それに楽しげに跳ねる音符や五線譜が舞い、そして目の前には紛れも無く響也自身のものである、ヴァイオリンが浮かんでいます。
そのことに、さして疑問を抱くでもなく。ここんとガラスをノック、出ようにも出られそうにないので、自然と彼はヴァイオリンを手にして、どこからともなく届く音色に重ね合わせるように、『ひばり』を弾き始めました。
音楽。それこそが響也を魅了し、惹き付けのめり込ませる、何にも代えがたいただひとつのものなのです。
負けて悔しく思えば、次は相手よりも素晴らしい演奏を、と奮起します。それこそが、響也に次へと向かう活力を与えてくれます。
自分の演奏が誰かを笑顔にしたなら、それは何よりの喜びです。自分の音楽が真っ当で正しく、素晴らしいものであるという証明にもなります。
音楽。それこそが、響也にとっての……。
(……そうか。なるほどな。ここは、俺にとっての……)
そして、彼は気付きます。
一時ながら思うさま、心穏やかなままにヴァイオリンを弾き鳴らすことができる、この空間。スノードーム。
ドームの外で砕け、朽ち果てようとしている家具。倒れた花瓶、零れて広がる水。しおれた花。それらが、今はもう取り返しようもないほどに壊れてしまった、彼とその家族たちの関係を暗示する、ひとつの象徴であることに。
音楽に満ちたドームは、彼に安寧を与えてくれます。この中にいれば、何にも侵されることなく、ただ一心に音楽に浸ることができます。
(ここは、俺だけの空間……か)
他ならぬ音楽が、あるいは自分の家族との関係を、破綻に導いた原因なのだとしても。
後悔は無い……と、そう言い切ってしまうのは、難しいかもしれません。けれど少なくとも響也は、音楽を手離すという試みが、自身にとってどうしようもなく耐えがたいことであることを知っています。過去にそうしようと決めたこともありながら、それは決して上手くはいきませんでした。
ヴァイオリンを奏でると、音の波が漂う音符を揺らして、そのたびどこからか、ひばりの鳴き声が聞こえてくるかのようです。雪と、鳥羽と、音楽が詰まった、素晴らしいスノードーム。
(居心地の悪い空間ではないな。だが)
確かにここには、響也を安らぎに導くものが詰まっています。優しい空気が満ちています。けれど彼は、その安寧にいつまでも留まるつもりはありません。
彼は思うのです。音楽とは、孤独なものであるべきではないのだと。
この優しくも狭苦しい空間に満足せず、もっと多くの人々と関わり合いながら、多くの人々の奏でる音楽を聴きながら、
(そうして、俺も……自分の音を、磨いていきたい)
と。その時に。
ドームの外から、届く音楽がありました。それは静かで、弱々しく、けれどしっかりと確かで。
つまらない、変わり映えの無い一日の終わりに。相も変わらず虚ろな家に戻り、ベッドへ倒れるように伏した瞬間に感じるのは、身体中にまとわりつくような疲れと、いつものように、もう二度と目覚めなくてもいい。そんな自虐とも諦観ともつかない、あるいはその両方でもある、暗く重苦しい感情。
そのはず、だったのに。
(……水中? 違う……たゆたって……雪?)
久しく感じていなかった心の安らぎに、
朝鳥 さゆる
はゆっくりと目を開き、ドームの中に降りしきる雪を、ぼんやりと見つめます。
冬空のように舞い散る雪、けれど寒くは無く、息も白くなくて。むしろさゆるはあたたかい、安堵に満ちた空間に包まれています。どこからか、耳に心地良い、鳥の鳴き声めいたヴァイオリンの音色すら聞こえてくるようです。
それに……どこかへしまい込み、封印したまま忘れ去ろうとしたはずのそれを視界に見つけても、胸をかき乱されてしまうこともなくて。
(……オルゴール。あたしの……)
少し色褪せてくすんだ、それはオルゴール。さゆるが6歳になった誕生日に、両親がプレゼントしてくれた、大切な、大切な……大切だったはずの、オルゴールです。
両親はいつも多忙で、頻繁にさゆるを構ってくれたわけではありませんでした。子供心に彼らは、どこか遠い存在であるかのように思えて……けれどだからこそ、その反動だったのでしょうか? 時折一緒に過ごせる時間が、さゆるには何だかまぶしくて、輝くようなひと時に思えました。あの誕生日の日だってもちろん、さゆるの胸には、何物にも代えられない、唯一無二の思い出として刻まれているのです。
それだけに、オルゴールの存在はいつだってさゆるをかき乱し、苛みました。
どうしようもなく辛くて、溺れてしまいそうになるのです。両親との記憶が蘇ってきて、あふれ出してくるのです。今はもう触れることのできない、ふたりとの思い出が。どうしようもなく、止めどなく……。
(でも……今は、辛くない。なぜかしら)
導かれるように。さゆるはそっと手を伸ばし、触れ、そして開きます。オルゴールを。あまりにも辛く、耐え切れず、いつしか目に触れないところへ、深々と封印していたはずのそれを。
瞬間……ちり、ちりん。ちりり、しゃりん、しゃん。ちりん。溢れ出すメロディ。懐かしくて、愛おしくて、大切で……忘れがたい、ふたりの面影と共に、音色が。
さゆるは目を閉じて、聞き入ります。思い出します、もう3年振りにもなる、胸の奥底にまで染み渡っていたはずの、このメロディを。かつてのそれは、さゆるにとって悲しみの象徴ではなく、何よりの幸福の証であったはずなのです。
オルゴールの音色はスノードームに満ちて、たゆたうさゆるを揺らし、包み込み、撫でては離れ、また包み込んで。
それはまるで、風のよう。
さゆるの心に吹く、緩くあたたかくも切ない、寂しく優しい風のよう。
(ずっと……このままでいたい。たとえひと時の幻想であってもいい……少しでも長く、ここに……)
常に身体中へまとわりつくようなあの気だるさが、自身の中に入り込んだ淀み、蓄積された汚れの全てが、音に乗せて溶け出し消えて行くような、そんな感触に。さゆるはそっと、身を投げ出し委ねました。
ふたつのドームから漏れ聞こえるメロディは、もちろんまったく違うものです。かたやオルゴール、かたやヴァイオリン……けれどそれを聴く者にとっては、さしたる違いや問題、障害では無いのです。あるいはそう感じさせる不思議な力が、ドームにはきっと内包されていたのでしょう。
いつしか音は絡み合い、身を寄せ合い、互いにソロ・パートを演じてから再び絡み合い……鳴り続けます。
響也は、ドームの外を見つめています。さゆるは、ドームの内を願いました。ふたりの想いは異なるものです。けれど音楽は、あたかも潮の満ち引きのように互いに影響し合いながらに、周囲へと響き渡っていきます。
偶然が生み出した、奇跡のような素晴らしい協奏。幸運にも耳を傾けることのできた者たちは、しばしの間、それを楽しみました。
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担当ゲームマスター
墨谷幽
シナリオタイプ(らっポ)
シルバーシナリオ(150)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
学校生活
恋愛
SF・ファンタジー
定員
20人
参加キャラクター数
20人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2015年07月15日
参加申し込みの期限
2015年07月22日 11時00分
アクション投稿の期限
2015年07月22日 11時00分
参加キャラクター一覧
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