- 0
- 0
- 種族
-
- 学年：職業
- 00月00日生 00歳
- AAA000000
猫鳴く館、と誰ぞ云ふ
●エピローグ：後日談
翌朝。
早朝の猫鳴館裏山を巫女服姿の夏神 零が登ってくる。天野が経を上げたから大丈夫とは思うが、念のため何かあれば事後処理を、とアフターフォローも忘れないさすがの気構えだ。
朝露に裾を濡らしながら歩いてくると、昨夜の出口、雑木林の斜面に、大田原 いいなの姿があった。
「どうなさった、いいな殿」
「いや、なんじゃろなあ。虫の知らせというかの、気になって来てみたんじゃ。そうしたらの、これが……」
ちょろちょろと湧き出す清水の中にそれはあった。
キラキラと朝日を浴びて輝いている。
「……？」
それは――４体のメイド姿の美少女可動式フィギュアだった。
一体は、真っ赤なふわふわの長髪に二本のアホ毛。大きく開いた胸元がとてもセクシー。
一体は、流れるような髪にやさしげな笑顔。胸はこちらもふわん、と大きい。
一体は、ボサボサ髪に眼鏡。胸もおしりもぺったんこ。何故かメイド服の上に白衣を纏っている。
「この小さいのは、どことなく解理殿に似ているような……？」
零は首を傾げる。
「配置も妙でござる。……なにか、御霊信仰のようなものを感じるでござるが……この三体は、ひな壇の三人官女のように配されておるが、この上段の女性に仕える巫女的役割でござろうか」
いいなは、この三人のメイド服巫女（？）の上に君臨する、長髪の美女フィギュアを見つめ、わなわなと震えていた。
明らかに、それは、いいながろっこん＜ＴＲＡＮＳＭＵＴＥ＞で大人になったときの姿！
「いいな殿、どうなすった？ ん？ なんでござるか、それは？」
＜物怪の御霊よ、『ＤＴの守り神』として祀ってやろう。これを憑代として末永く猫鳴館を見守るがいい＞
――長髪の美女フィギアの前には、そう書かれた紙片が置いてある。
「この偉そうな物言いは――宿敵・龍八め、あやつの仕業か！」
いいなは、かの宿敵・草薙 龍八が背負っていた、布に包まれた謎の大荷物を思い出した。
「あれか！ まったく、くだらんものを持ち歩きおって！ 『ＤＴの守り神』じゃと！？ 誰が守るか！！ この、この！」
いいな、女神たちを蹴散らそうとする。
ところが清水に濡れた石につるっと滑ってべちゃっと潰れたから堪らない。
「～～～～～～～～！！！」
「おろ、おろ、いいな殿……」
零が手を差し伸べる。
「儂には『救いの神』はついておらんのかー！」
冗談交じりに叫ぶいいなに、零が言った。
「ははは……憑いておるでござるよ」
「憑いて……る？」
「そうでござる。やさしげな男性でござる。温かい目で見守っているでござるよ。年の頃は……そう、いいな殿のお父様ほどでござろうか」
「え……本当に？」
いいなはぶんぶんと零の肩を揺する。
「本当でござるってば！」
いいなは、零の肩を放すと、天を仰いだ。
「親父殿……！」
いいなは、死に別れた父の姿を思い出し――すこし、泣いた。
◆
「こうして『ＤＴの守り神』ほか３体のご神体は、今もそっとその清水の中に立っているということです」
旅鴉 月詠は、このように泉 竜次先生への報告を締めくくった。
「古井戸、探検、双頭猫……ククク、楽しそうでなによりだ」
泉先生は肩を揺らして笑っている。
「俺なら君が書いたその地図を、謎の古地図風に仕上げるかもしれんな。未来の、寝子高生のためにね」
◆
数日後、自治会会議室。
奈良橋 博美は今回の件の報告書をまとめていた。
「怪現象には事欠かないな、ここは……」
博美はそうひとりごちる。
メモ用紙に今回の報告や、自分なりの疑問点などを箇条書きにまとめた博美は、それを寮誌に挟んでぱたんと閉じた。そうして、博美は電気を消し、部屋を出る。
「今後ともよろしく、怪事件さん」
暗くなった自治会会議室で――。
パラパラパラ、と寮誌がめくれる。
博美が書いたメモがはらりと落ちる。
猫鳴館の名前の由来――
その昔、ここがまだ墓地だった頃、
妖怪・双頭猫という二つ頭の化け猫が、この地で討伐された。
別れ別れになった双頭猫の二つの頭、シンとキュウの霊が呼び合う
「ミャーゴ」「ニャーゴ」という声から、
猫鳴く館――猫鳴館と呼ばれるようになったという。
――猫鳴館の名前に纏わる諸説のひとつとして、この話もまた後輩に語り継がれてゆくことだろう。
＜了＞
翌朝。
早朝の猫鳴館裏山を巫女服姿の夏神 零が登ってくる。天野が経を上げたから大丈夫とは思うが、念のため何かあれば事後処理を、とアフターフォローも忘れないさすがの気構えだ。
朝露に裾を濡らしながら歩いてくると、昨夜の出口、雑木林の斜面に、大田原 いいなの姿があった。
「どうなさった、いいな殿」
「いや、なんじゃろなあ。虫の知らせというかの、気になって来てみたんじゃ。そうしたらの、これが……」
ちょろちょろと湧き出す清水の中にそれはあった。
キラキラと朝日を浴びて輝いている。
「……？」
それは――４体のメイド姿の美少女可動式フィギュアだった。
一体は、真っ赤なふわふわの長髪に二本のアホ毛。大きく開いた胸元がとてもセクシー。
一体は、流れるような髪にやさしげな笑顔。胸はこちらもふわん、と大きい。
一体は、ボサボサ髪に眼鏡。胸もおしりもぺったんこ。何故かメイド服の上に白衣を纏っている。
「この小さいのは、どことなく解理殿に似ているような……？」
零は首を傾げる。
「配置も妙でござる。……なにか、御霊信仰のようなものを感じるでござるが……この三体は、ひな壇の三人官女のように配されておるが、この上段の女性に仕える巫女的役割でござろうか」
いいなは、この三人のメイド服巫女（？）の上に君臨する、長髪の美女フィギュアを見つめ、わなわなと震えていた。
明らかに、それは、いいながろっこん＜ＴＲＡＮＳＭＵＴＥ＞で大人になったときの姿！
「いいな殿、どうなすった？ ん？ なんでござるか、それは？」
＜物怪の御霊よ、『ＤＴの守り神』として祀ってやろう。これを憑代として末永く猫鳴館を見守るがいい＞
――長髪の美女フィギアの前には、そう書かれた紙片が置いてある。
「この偉そうな物言いは――宿敵・龍八め、あやつの仕業か！」
いいなは、かの宿敵・草薙 龍八が背負っていた、布に包まれた謎の大荷物を思い出した。
「あれか！ まったく、くだらんものを持ち歩きおって！ 『ＤＴの守り神』じゃと！？ 誰が守るか！！ この、この！」
いいな、女神たちを蹴散らそうとする。
ところが清水に濡れた石につるっと滑ってべちゃっと潰れたから堪らない。
「～～～～～～～～！！！」
「おろ、おろ、いいな殿……」
零が手を差し伸べる。
「儂には『救いの神』はついておらんのかー！」
冗談交じりに叫ぶいいなに、零が言った。
「ははは……憑いておるでござるよ」
「憑いて……る？」
「そうでござる。やさしげな男性でござる。温かい目で見守っているでござるよ。年の頃は……そう、いいな殿のお父様ほどでござろうか」
「え……本当に？」
いいなはぶんぶんと零の肩を揺する。
「本当でござるってば！」
いいなは、零の肩を放すと、天を仰いだ。
「親父殿……！」
いいなは、死に別れた父の姿を思い出し――すこし、泣いた。
◆
「こうして『ＤＴの守り神』ほか３体のご神体は、今もそっとその清水の中に立っているということです」
旅鴉 月詠は、このように泉 竜次先生への報告を締めくくった。
「古井戸、探検、双頭猫……ククク、楽しそうでなによりだ」
泉先生は肩を揺らして笑っている。
「俺なら君が書いたその地図を、謎の古地図風に仕上げるかもしれんな。未来の、寝子高生のためにね」
◆
数日後、自治会会議室。
奈良橋 博美は今回の件の報告書をまとめていた。
「怪現象には事欠かないな、ここは……」
博美はそうひとりごちる。
メモ用紙に今回の報告や、自分なりの疑問点などを箇条書きにまとめた博美は、それを寮誌に挟んでぱたんと閉じた。そうして、博美は電気を消し、部屋を出る。
「今後ともよろしく、怪事件さん」
暗くなった自治会会議室で――。
パラパラパラ、と寮誌がめくれる。
博美が書いたメモがはらりと落ちる。
猫鳴館の名前の由来――
その昔、ここがまだ墓地だった頃、
妖怪・双頭猫という二つ頭の化け猫が、この地で討伐された。
別れ別れになった双頭猫の二つの頭、シンとキュウの霊が呼び合う
「ミャーゴ」「ニャーゴ」という声から、
猫鳴く館――猫鳴館と呼ばれるようになったという。
――猫鳴館の名前に纏わる諸説のひとつとして、この話もまた後輩に語り継がれてゆくことだろう。
＜了＞
あとがき
担当マスター：
笈地 行
ファンレターはマスターページから！
ゲームマスターを務めさせていただきました、笈地 行（おいち あん）です。
ご参加いただきありがとうございました。
皆様の手には、此度の探検の記念として、難波 辰さんがくれた「安産祈願のお守り」が残りました。
ところで、わたしが子どもの頃はもっと、
おばけも霊もフツウの範囲内にいたような気がします。
「霊は金属が嫌い」というのはその頃よく聞いた話でしたが……
最近はあまり聞かないんでしょうかね～？
さて、せっかくですので、今回ご参加いただいた皆様の霊感度一覧を作成しました。
だいたいですが、今回のシナリオでは下に行くほど霊感アリという感じにさせていただきました。
今回一番霊感度が高かったのは、霊術の修行あり、とのことでおそらく夏神 零さんでしょう。
ただし、霊関係のろっこんを使った場合はレベル３の上、レベル４扱いとさせていただきました。
＜霊感度一覧＞（敬称略）
レベル０：霊感ゼロ。幽霊とかおばけなんか見えないし感じない。
大田原 いいな
野沢 コブラ
マウル・赤城・スティック
御風 不二夫
アレハンドロ・佐助
レベル１：一般レベル。幽霊やおばけがいると、なんとなく寒気がしたり、肩が重くなったりする。
奈良橋 博美
難波 辰
屍 骸
民谷 鋭二
レベル２：プチ霊感あり。幽霊やおばけの存在を感じることができる。あのへんが嫌な感じ、とわかる。
初島 優
本宮 虎治
逆巻 天野
レベル３：霊感あり。幽霊やおばけを見ることができる。
雨崎 荒太郎
伊賀 解理
天馬 ひびき
穂積 通
草薙 龍八
旅鴉 月詠
鬼久保 美桜
夏神 零
霊感度は他のマスターさんのシナリオではご利用いただけませんが、
ご自分のキャラがおばけ見えるんだなーとか、おばけ見えないんだなーとか
キャラの味付けのひとつとしてお楽しみいただければ幸いです。
ではまた、機会がございましたら……。
ご参加いただきありがとうございました。
皆様の手には、此度の探検の記念として、難波 辰さんがくれた「安産祈願のお守り」が残りました。
ところで、わたしが子どもの頃はもっと、
おばけも霊もフツウの範囲内にいたような気がします。
「霊は金属が嫌い」というのはその頃よく聞いた話でしたが……
最近はあまり聞かないんでしょうかね～？
さて、せっかくですので、今回ご参加いただいた皆様の霊感度一覧を作成しました。
だいたいですが、今回のシナリオでは下に行くほど霊感アリという感じにさせていただきました。
今回一番霊感度が高かったのは、霊術の修行あり、とのことでおそらく夏神 零さんでしょう。
ただし、霊関係のろっこんを使った場合はレベル３の上、レベル４扱いとさせていただきました。
＜霊感度一覧＞（敬称略）
レベル０：霊感ゼロ。幽霊とかおばけなんか見えないし感じない。
大田原 いいな
野沢 コブラ
マウル・赤城・スティック
御風 不二夫
アレハンドロ・佐助
レベル１：一般レベル。幽霊やおばけがいると、なんとなく寒気がしたり、肩が重くなったりする。
奈良橋 博美
難波 辰
屍 骸
民谷 鋭二
レベル２：プチ霊感あり。幽霊やおばけの存在を感じることができる。あのへんが嫌な感じ、とわかる。
初島 優
本宮 虎治
逆巻 天野
レベル３：霊感あり。幽霊やおばけを見ることができる。
雨崎 荒太郎
伊賀 解理
天馬 ひびき
穂積 通
草薙 龍八
旅鴉 月詠
鬼久保 美桜
夏神 零
霊感度は他のマスターさんのシナリオではご利用いただけませんが、
ご自分のキャラがおばけ見えるんだなーとか、おばけ見えないんだなーとか
キャラの味付けのひとつとしてお楽しみいただければ幸いです。
ではまた、機会がございましたら……。
シナリオ
シナリオデータ
シナリオスケジュール
- シナリオガイド公開日
-
- 2013年03月31日
- 参加申し込みの期限
-
- 2013年04月07日 11時00分
- アクション投稿の期限
-
- 2013年04月07日 11時00分
