this frame prevents back forward cache
0
0
はじめての方へ
ヘルプ
ログイン
\ オーバータイム!/
種族
学年:職業
00月00日生 00歳
AAA000000
ホームトップ
おしらせ
新着通知
はじめての方へ
遊び方
世界設定
キャラクター一覧
キャラクター検索
キャラクター作成
らっポ
チケット
コミュニティトップ(検索)
コミュニティ一覧
公式コミュニティ一覧
公開トピック一覧
コミュニティ書き込み検索
シナリオトップ
シナリオ一覧(参加受付中)
シナリオ一覧(すべて)
リアクション一覧
ゲームマスター一覧
ゲームマスター検索
イラストトップ
イラスト一覧
イラスト検索
イラストレーター一覧
イラストレーター検索
自作イラスト一覧
アイテム一覧(検索)
マイリスト一覧(検索)
寝子島(全景)
寝子島(地図)
寝子島(セカンドマップ)
寝子島高校
空を漕ぐブランコ
<< もどる
1
…
4
5
6
7
8
競輪選手の
志波 高久
がこの現象に巻き込まれたのは、トレーニングを終えた直後のことでした。
日課のメニューをひと通りこなし、クールダウンをしている最中、ガクッと急な落下感に襲われたのです。目の前に突然現れた、棒のような物を咄嗟に掴み、高久は辛くも落下を免れます。
「ここは……?」
実際、危ない所でした。片手でぶら下がった彼のレーサーシューズの下には地面も何も無く、吸い込まれるような青空が、ただ広がっているだけだったのですから。
「そうか、フツウとやらに巻き込まれたか」
そして高久が今ぶら下がっているのはブランコ……と言うよりも、これはどうやら、サーカスで使われるような空中ブランコのようでした。座板と呼べるようなものすらなく、棒状のバーが2本の長いロープで吊り下がっているだけの、とてもシンプルな構造です。
「ともかく、一旦落ち着いて確認してみるか」
ググッと懸垂の要領で自分の身体を引き上げ、高久は器用にロープを掴んで、バーの上に立ち上がります。そして上を見、下を見、左右をひと通り見回してみましたが……やっぱりどちらを向いても青色一色。この呆れるほど長いブランコ以外、視界に入ってくるものは何もありません。
「これは夢か現か……だが、いい気分転換には間違いない」
ですが高久は慌てず騒がず、そう爽快に笑うのです。
「この青い空、思う存分堪能させてもらうとしよう」
「さて……」
そうと決まれば、どうやってこの状況を楽しみ尽くしましょうか。高久は掴んでいたロープを軽く引っ張り、その行く先を見上げてみましたが、ロープは滲むように空の青の中に消え、どこまで続いているのかも分かりません。腕の力のみでここを登るのは、さすがに不安があります。
「それよりも、ブランコならば……やはりこれか」
ぱっとロープから手を離し、高久はそのまま自由落下。今立っていたバーをすぐさま両手で掴み直し、その勢いのまま大きく身体をスイングさせます。
そして器械体操のような……大車輪!
バーを中心に、高久の視界が目まぐるしく反転し、痺れるような快感が全身を駆け巡ります。
「ははっ!」
思わず声が漏れます。ブランコ自体がスイングし始めた所で、高久は回転を止めて振り子運動に移行し、
「随分長いブランコのようだ、これはよほど勢いをつけなければ」
そう言って今度はサーカスの曲芸よろしく、大きくブランコを揺すり始めました。ぶら下がった高久に引っ張られて、ブランコがしなるように何度も空中を横断します。往復のストロークのたびに、もっと遠く、さらに高い場所へ!
せっかくの大空、ただ静かに眺めているだけでは勿体ありません。視覚以外にも、風を切る音、喉を滑り抜ける清冽な空気、肌を撫でる流れ……五感の全てを使って、この空を味わい尽くす。それが、高久のやり方なのでした。
そうして勢い良くブランコを振り、行ったり来たりを繰り返しているうちに。
高久の耳にも、その呼び声が届いたのでした。
「……おーーーい!!」
「おーーーい……!!」
空を渡って返ってきた返事がすぐには信じられず、
浅葱 あやめ
は最初は空耳かと疑いました。あるいは、自分の声のこだまだとも。
けれども、間違いなくそれは生身の誰かの声で。やがてその方角にぽつんと小さな点が現れ、その点はみるみる大きくなって、1人の男の姿を成します。
向こうもあやめの姿を認め、痛快な表情でその男が声を上げます。
「君もか!」
志波 高久
です。彼があやめの声に応え、空の向こうから姿を現したのです。そして高久は自分のブランコから勢い良く手を放し、そのままあやめの方に向かって、迷いなくその身を投げました!
「えっ……!? そんな」
思わず差し出してしまった右手がグイッと引っ張られ、あやめもまた一緒に虚空へと飛び出します。高久と手を繋いだまま、何の支えも足場もない空中に!
「うわ、うわああああっ!?」
「おっと、すまないな。つい勢いで、君の手を取ってしまった」
そう言いながらも、愉快そうに高久は隣りで笑っていますが、あやめの方はもうそれどころではありません。2つのブランコはたちまち後方へと飛び去り、風圧でズレた眼鏡のまま、あやめが上ずった声で叫びます。
「こんな……僕が、空を飛んでるなんて……!」
「この状況を、飛んでると言えるかどうかは、俺にも心許ない所だが……」
その横で高久の方は、気持ち良さそうに風に目を細めて、
「だがフツウなこの世界、何かしらの結末があるだろう。
この空中ブランコの終着点は、一体どこか。
そこに着くまでの間、一緒にスカイダイビングを楽しもうじゃないか」
そう言って、悪戯っぽく片目をつむってみせる高久の余裕につられて、あやめも思わず、
「えっ……は、はいっ」
繋いだ手を離して、高久はVの字に大きくその両腕を広げます。あやめの方はばってんに腕を閉じ、自分の身体を抱き締めるだけで精一杯でしたが、それでも目は閉じずに、その顔を上げて。
前へ、ひたむきに前に向かって、
そうして2人は、そのまま青空の果てを突き破り、その向こうへと共に転がり出たのでした。
「えっ……?」
ボタンが弾けるように、勢い良く自分の胸から転がり出た何かを、咄嗟に
浅葱 あやめ
は片手で受け止めました。そして呆然とした表情で、周囲を見回します。
「ここは……」
あやめも良く知っている、仕事場の近く。そこは旧市街のとある街角でした。やはり同様に、道端に立っていた
志波 高久
が、不思議そうに手のひらを開き、その空っぽの手を見つめています。
「おかしいな。今、俺の胸から、
何かが飛び出してきたような気がしたんだが」
その声に、あやめも自分の手のひらを見返してみましたが、やはりそこには何もありません。けれどもそこで、先ほどまでの記憶が押し寄せるように甦り、
「志波さん? さっきまで僕達がいたあの場所って、もしかしたら」
「ああ。言うのは野暮な気もするが……」
高久も同じことに気付いたのでしょう、トンともう片方の拳で、自分の胸を叩いてみせます。
「果てのないあの青空も、あのブランコも。
みんな、この中にあったのかも知れないな」
『空を漕ぐブランコ』 おしまい
<< もどる
1
…
4
5
6
7
8
このページにイラストを設定する
あとがき
担当マスター:
鈴木二文字
ファンレターはマスターページから!
今回のシナリオはブランコと空だけ、と道具立てが少なかったので、
もしかしたら皆さん、同じようなアクションになってしまうかな……?
と内心少し心配だったのですが、実際アクションを受け取ってみれば、全然そんなことはなくって。
多様なシチュエーションと心情を描くことが出来、執筆作業も新鮮でした。
各々のPCさんらしい、個性的なアクションを送っていただき、どうもありがとうございました。
それではまた、寝子島のどこかでお会いしましょう。鈴木二文字でした。
↑ページトップに戻る
シナリオ
シナリオトップ
シナリオ一覧(参加受付中)
シナリオ一覧(すべて)
リアクション一覧
ゲームマスター一覧
ゲームマスター検索
シナリオご利用ガイド
グループ参加ご利用ガイド
シナリオタイプのご案内
空を漕ぐブランコ
シナリオガイド
リアクション
参加キャラクター一覧
コメントページ
ダイアリー一覧
シナリオデータ
担当ゲームマスター
鈴木二文字
シナリオタイプ(らっポ)
シルバーシナリオ(150)
グループ参加
2人まで
シナリオジャンル
恋愛
コメディ
SF・ファンタジー
定員
15人
参加キャラクター数
8人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2016年11月25日
参加申し込みの期限
2016年12月02日 11時00分
アクション投稿の期限
2016年12月02日 11時00分
参加キャラクター一覧
もっと!