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空を漕ぐブランコ
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「あれっ?」
本のページを繰る手を止めて、ふと
八神 修
はその顔を上げました。星ヶ丘の自室にいた筈なのに、いつの間にか穏やかな陽光の降りそそぐ、屋外へと出ていたからです。
もっとも屋外と言っても、近くには建物や地面すら見当たりません。あるのはただ、ぐるりを取り巻く青空ばかり。慌てず騒がず、八神は読んでいた天文学の本に栞を挟み、乗っていたその乗り物から、身を乗り出して下を見てみました。
予想よりもずっと高所にいることが分かって心臓が跳ね、胃の辺りが締め付けられるようにザワつきます。そもそも下にも空しか見えないのですから、自分がどれほど高い場所にいるのかすら分かりません。
八神は1歩退がって目を瞑り、静かに息を吐き切って、深呼吸。
(大丈夫、落ち着け……高い所から下を見ればゾクっと来るのは自然。
原因は慣れてないから。空は人間が生身で行く領域ではないからな)
彼は高所恐怖症ではありませんが、それでも飛行能力を持つ知り合いのもれいび達とは違って、過去には数回、飛んだ経験があるきり。
「不慣れが恐怖の原因なら……丁度良い。この体験を慣れの訓練にするかな」
そんなふうに彼は、こんな状況だって前向きに捉え、自身の成長の糧としてしまうのです。
さて、もう少し状況を補足していきましょう。八神が乗っている乗り物とは、4人掛けの大型のブランコでした。いわゆる箱ブランコと呼ばれる、最近は公園でも見掛けることの少なくなった、遊具のひとつです。
外見はちょうど、観覧車のゴンドラから、扉や窓や壁などの外装を全部外して、フレームだけにしてしまったようなカタチ。とは言え、ベンチ状の座席には、手すりも背もたれも床も付いておりますので、普通のブランコと比べれば、落ちる心配は少なく、ずっと安全です。
「だがもし、床が突然抜けたら……いや、考えてはいかんな」
そしてその箱ブランコには、八神の他にまだ、可愛らしい同乗者がおりました。八神家の飼い猫のうちの1匹、タイガです。読書の最中同じ部屋にいたので、一緒に連れて来られてしまったようでした。
「いいかいタイガ、絶対に飛び出してはいけないよ」
向かいのシートにちょこんと置かれた籠から、好奇心たっぷりの顔を出すタイガに、そう言い諭します。主人の言うことが分かったのか、喉を鳴らしてぐいぐい額を押し付けてくるタイガを八神も抱き取り、その身体に頬を埋めます。
(ああ、暖かいな……こうしてると落ち着く……)
ともあれ、まずは状況の把握から。八神は携帯を取り出し、位置表示で現在地を確かめることにしました。
「降りられなくても確認は大事だからな」
けれども、出てきた表示は星ヶ丘の自宅から動いておらず、いささか拍子抜けしてしまいます。まだ自宅にいる、ということは、これは夢なのでしょうか?
ぺちっ。八神は腕を思い切り叩いてみて、
「……痛いし目覚めないから夢ではないって事か。
ああタイガ、心配ないよ。ただの検証だから」
心配そうに寄ってきた猫の頭を苦笑しながら撫で、八神は現状把握を続けます。眼下には山も海も何も見えませんが、高度は気温から計算できるかもしれません。おーいと叫んでみて、反響が無いなら、ここの実空間は相当広いということ。さらにブランコの綱の強度や自身の装備品を確認し……
「……って、遭難時の対処だなこれでは」
結論としては「良く分からない」、ということだけが分かりました。気温はこの季節にしては随分暖かくて過ごしやすく、空気が薄くて困るようなこともありません。呼び声に返ってくる反響はなかったので、周囲の空は見かけ通りの広さのようです。もし何者かに召喚されてここに来たのであれば、八神はその存在とコンタクトしてみたい、とも思っていましたが、どうやらそんな存在も居なさそうです。
「ふむ。ならば高所の克服と慣らしも兼ねて、
今日はこの風と空をゆっくり楽しむことにするか」
そうして八神は、タイガを空のお供に、箱ブランコの上で残りの時間を過ごします。
鞄から見つけた猫カリカリとカロリーメイトで腹ごしらえをし、水筒の水を共に分け合って。お腹が満たされたタイガは、船の舳先にでも立つように座席の端からしげしげと空を眺めていましたが、やがて八神の隣りで丸くなると、安心しきった様子で寝息を立て始めます。
八神も片手をその背中に置き、もう片方の手で天文書を広げて、読書の続きを始めました。
キィ、キィ……と風に僅かに揺られる箱ブランコは、いったん身を任せてしまえば、まるで揺り籠に乗っているよう。すぐに八神は読書に没頭し、時間が経つのも忘れてしまいます。
「おや? いつの間に……」
気が付けば日も沈み、辺りはすっかり夜になっているのでした。
いえ、本当に夜なのでしょうか。天の星々は八神の頭上だけでなく、ブランコの四方、下方の空にまで、余す所なく輝いていたのですから。
「夜と言うより、もう宇宙だな。美しい光景だ……」
読み終えた天文書をそっと閉じると、八神はカメラを取り出して、その星々を大切に写真に収めます。そうして最後に頭上を振り仰ぎ、天頂に輝く月に向かって真っ直ぐ、このブランコのロープが伸びていることを発見すると、
「ああ、あおいにも見せたいなあ。
なんて言うだろうか……」
目を輝かせて空を指差す、想い人のことを想像し、しばし彼も月の下で微笑むのでした。
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
鈴木二文字
シナリオタイプ(らっポ)
シルバーシナリオ(150)
グループ参加
2人まで
シナリオジャンル
恋愛
コメディ
SF・ファンタジー
定員
15人
参加キャラクター数
8人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2016年11月25日
参加申し込みの期限
2016年12月02日 11時00分
アクション投稿の期限
2016年12月02日 11時00分
参加キャラクター一覧
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