【ハロウィン】空飛ぶホウキと魔女暴走族｜リアクション

【ハロウィン】空飛ぶホウキと魔女暴走族

「急にいろいろ言われたけど、どうしよう……」
　テオが立ち去ったあと、残された千明優輝は困惑していた。いきなり魔女と戦えと言われたのだから無理もない。
「と、とにかく魔女……というか先生を追いかけなきゃ」
　さて、問題は自分もちゃんと空を飛べるのかということだ。
「やってみよう。……跨ればいいんだっけ？」
　優輝がおっかなびっくり箒に跨った瞬間。
「きゃー！？」
　箒は彼が思い描いていたのは全く違う方向に飛んでいく。はちゃめちゃに暴走する箒に乗った優輝の姿は見えなくなり、悲鳴も聞こえなくなった……
　しばらくして、優輝は木の枝を頭に乗せ、木にぶつけた額をさすりながら現れた。なんとか箒には乗れるようになったらしい。
「……な、何とかなった、かな？うーん、スカートがスースーするよ……」
　優輝は困り顔で、魔女コスチュームのスカートを抑えた。さて、どの魔女に対処しようか。体格的に、速さにも強さにも自信がないのでフジコーノの元に行くか……

「なかなかうまく飛べないのですー！」
　不意に、後ろから声が聞こえた。振り向くと、銀色の髪をたなびかせた女の子が箒に乗って、「いつのまにか」いた。
「君は……？」
「ゼロはゼロなのですー。箒で飛べるようになりたいのですー」
　優輝の言葉に、ゼロ・シーアールシーは答えた。ゼロもまた、箒に悪戦苦闘しているようだ。
「うみゅー、いうことを聞くのですー！」
　ゼロの箒が飛び上がったところで、優輝は声をかける。
「手の力加減を変えるといいよ！」
「あ、うまくいったのですー。宙返りなのですー！」
　どこか掴みどころのない、不思議な女の子だった。
「め、目が回るのです～」
　今度はくるくる回りだしたまま、ゼロの箒は止まらなくなった。優輝が手を貸し、箒を止める。
「大丈夫？」
「大丈夫ですー。ありがとうなのです、おねえちゃん！」
「おねえちゃん……」
　その格好では仕方あるまい。