this frame prevents back forward cache
0
0
はじめての方へ
ヘルプ
ログイン
\ オーバータイム!/
種族
学年:職業
00月00日生 00歳
AAA000000
ホームトップ
おしらせ
新着通知
はじめての方へ
遊び方
世界設定
キャラクター一覧
キャラクター検索
キャラクター作成
らっポ
チケット
コミュニティトップ(検索)
コミュニティ一覧
公式コミュニティ一覧
公開トピック一覧
コミュニティ書き込み検索
シナリオトップ
シナリオ一覧(参加受付中)
シナリオ一覧(すべて)
リアクション一覧
ゲームマスター一覧
ゲームマスター検索
イラストトップ
イラスト一覧
イラスト検索
イラストレーター一覧
イラストレーター検索
自作イラスト一覧
アイテム一覧(検索)
マイリスト一覧(検索)
寝子島(全景)
寝子島(地図)
寝子島(セカンドマップ)
寝子島高校
【ハロウィン】寝子島ハロウィン☆デイズ!
<< もどる
1
…
99
100
101
102
103
…
106
つぎへ >>
歌は終了とともに、優雅でロック調のワルツへと変化した。
合いの手のようにコーラスを加えつつ、踊る人々を眺めて黒依アリーセは胸を熱くしていた。
アリーセにとっては、仮面舞踏会なんて見るのも初めてだ。
よく観察すればたくさんの仮面がある。ドレスと合わせた素敵な仮面、コミカルなお化けの仮面……。
――それぞれに個性があって、見ているだけでも楽しいわ。
けれど仮面の下には生身の肉体があるのだ。そのフィジカルな息づかいも、多感なアリーセは感じ取っている。
よく観察すればすぐにわかることだ。ちょっとした仕草に踊る人の喜びやドキドキが込められている。歳上と思われる彼女の手を、握る仮面の少年は頬を上気させており、初老の男性にリードされ、ためらいがちに足を伸ばした少女の爪先からは、なにか官能的な想いが伝わってくるではないか。
――仮面で隠した気持ちを伝える、そんなお手伝いが音楽でできるなら、それは素敵なことよね。
雨寺凛が最後のワンフレーズを弾き終え、しゃららと仲村渠鳴が、余韻を残して鍵盤を終えると、魅入られたように踊り続けていた人々も我に返って、わっと盛大な喝采を送った。
「今の『仮面』って曲は、アリーセちゃんの作詞なんだよー」
凛は額の汗をぐいと拭って、フロントマイクの前に立っていた。そしてもう一曲、と告げる。
「今度もね、舞踏会のために書き下ろした新曲。やっぱり作詞はアリーセちゃん♪」
アリーセにスポットライトが当たる。突然の演出に驚いて、アリーセはぺこっと頭を下げた。
「タイトルは、我らがボーカリストに紹介してもらおうかな?」
全力で唄い終え、放心したように立ち尽くしていた吾妻優は、思わず目を見開いていた。
再び彼は、月の光のような脚光の中心にいる。
「あ……俺?」
「他に誰がいるんだよー?」
たじろぎそうになるが、さっき一曲堂々と唄いきって、優には本来の度胸が戻っていた。ならば、と彼はマイクを握る。「『夜会』って曲だ。あー……この際だから告白するが、俺、この歌詞が大好きだ……以上、じゃあ始めるかな」
優の静かなブレス音から、曲が始まる。
寄り添うのは千明優輝のキーボード、そこに仲村渠鳴の音も加わって主旋律を成し、さらに羽黒空のドラムと、ベース音担当の夢宮瑠奈のキーボードが足されて曲は荘厳さを増した。そこに凛のギターが参加するや、一気に曲はうねりを増したのである。アリーセのコーラスはハイトーンだが、優の歌を邪魔したりせずに支えた。
淑女ささめく 異界のホール
影を纏った 紳士が歩く
この歌い出しに導かれ、幻のオペラが幕を開けた。
優の歌唱はまるで舞台劇だ。ワンフレーズごとに声を使い分け、極端なまでの高低差もやすやすとこなす。高らかと歌い上げたかと思いきや、次の瞬間にはパンキッシュに化けた。色男がいる。聖者がいる。老人が、若者がいる。まるで複数の登場人物が、優の肉体を奪いあい歌い継いでいるかのよう。けれども楽曲が分裂したりせず、統一した色彩にまとめあげられているのはさすだだろう。
見向きせず 真っ直ぐに 歩み寄り 跪く
取り出した 薔薇の花 手向けるは 夜の蝶
中盤、アリーセがリードボーカルに入って、優と交互に歌唱劇を綴った。
魂と魂がぶつかるような対決が、やがて一体になり混じり合うという美しいパートだった。男女の愛情に似ている――そう感じた観客も少なくないだろう。
それが終わると凛が中央に躍り出た。ギターソロだ。
鬼気迫る、という表現が決して、大袈裟ではない凄まじい奏法だった。まるで音が粒となり、ひとつひとつが目に見えるよう。凛は髪を振り乱し、音楽の魔物のごとくこれに没頭した。夢中になるあまり肩が脱げて、鎖骨があらわになるも気がつかない。
このとき客席からはわからないが、凛の足元には小さな『×』印がつけてあるのである。これは事前に空が、緻密に計算して割り出した立ち位置を示すマークだ。この場所で弾けば会場の隅々まで、最高のソロを聴かせることができるだろう、そう空は考えた。その予想は、的中していた。
凛の独奏に突如、挑みかかった者がある。
鳴だ。彼女のキーボードだ。凛と競い合うようにしてリード音を弾く。凜と鳴はステージ中央で二人、競い合うようにして主旋律を主題とした即興演奏に突入したのである。
ここまでの段取りは無論予定通りだが、実際にどんな演奏をするかまでは決めていない。なのでここからは凜の即興と鳴の即興が激突するというスリリングな流れとなった。どんなリハーサルのときとも違う、火花が散るような熱い音楽の交換だ。
そこに千明優輝が割って入り、絶対音感の安定感を持って脱線しかかった音楽を元の軌道に戻していった。炎と氷の戦いが、水によってとどめたれたような感覚。やがて楽器担当フロント三名、凜、鳴、優輝は、横並びになってクライマックスへとボルテージを高めていく。音楽が、洪水のようにあふれ出す。
「夜の演奏は……いいですね。ナイトライブ……」
ドラムを叩きながら空は呟いていた。夜だからこそ、凜、鳴、優輝三名の背中から、音楽の『気』が立ち昇っていくのが見える気がする。
ちらと空が視線を流すと、「同感です」というかのように夢宮瑠奈が笑みを飛ばしてきた。
フロントメンバーを後ろから眺める。そして彼らを支えている実感を得る――この充実感! これこそ、リズム隊にしか味わえない特権だ。普段はフロントに立つ瑠奈にとっては、実に新鮮な体験だった。
やがて凜は引き、鳴と優輝も本来の立ち位置に戻った。
そして入れ替わりに、リードボーカル優が全面に立ったのである。
ささめきは歓声に 音楽が鳴り響く
ヒラヒラと飛ぶように 舞い踊る影と蝶
ユラユラと怪しげに ロウソクの火も揺れる
特別な 夜会が始まる
止まらずに 踊り続ける
朝陽が二人を 消し去るまで
これが軽音の自信作『夜会』だ。ミドルテンポ、生命の力強さを感じさせるが、ゴスペルのクワイアのような格調高さも併せ持つ。あらゆる聴衆が、バンドが、いや会場全体が、この瞬間『夜会』に同化した。
そして音楽は、しめやかに終幕を迎えたのだった。
最後の一音が止むとともに、本日最高の、怒濤のような反応がわき起こった。
鳴り止まない喝采のなか、鳴は手を止めて客席を見回した。つづいて、バンドメイトたちも。
――やっぱり誰かと一緒にこうして演奏するのは楽しい。皆の音が、強烈な個性がぶつかり合って刺激になるから……。
寝子島に来てから誰かと一緒にこうして演奏する機会が増えた。鳴はこの感覚の虜になりつつある自分に気がついている。
できればずっと感じていたい――そうも願う。
独りに戻るのが怖くなっていく。
「あー……何とか、終わったか……」
放心状態で優は舞台から下りた。控え室までよろよろと歩むと、用意されたソファに身を投げ出すようにして座り込む。
疲れた。
けれど、やりきったという気持ちもある。
恥ずかしいので誰にも言っていないが、ひっそりと猛練習した甲斐があったというものだ。
「お疲れ様ー! 今回もすっごくよかったよ!」
どさっと彼の横に腰を下ろしたのは凜だ。あれほどの熱演だったというのに彼女はまだまだ元気だ。あと二時間演奏しろと言われても、きっとやすやすこなしてしまうだろう。
「こんなに楽しいハロウィンが過ごせてほんと幸せだよー。軽音楽部やっててよかったなぁ♪」
「………やっぱすげぇな、雨寺なんかはよ」
「え? 優くんなんか言った?」
げ、と小さく優は舌を出した。思わず心の声が、つぶやきになっていたようである。
「なんだよ。なんも言ってねぇって……」
「ほんとにー?」
「ほんとだよ、マジ。歓声がでかすぎて耳鳴りしたんじゃねーか……」
毒づきながらも、優は密かに凜に感謝し、また、彼女への敬意を抱いていたのである。けれどそれを素直に出すつもりはない。まったくもって、これっぽちも。
だから彼は立ち上がると、面倒そうに頭をかいて言ったのだ。
「さぁーて、帰って寝るかな。はぁー…ダリィ」
「待って待って!」
ぴょんと凜は立ち上がった。すると折良く、瑠奈もアリーセもどやどやと入ってきた。
優が帰り支度なのに気がついて、「あれ?」と言ったのは優輝だ。
「これからアンコールとカーテンコール、だよね?」
ええ、と空もうなずいた。
「百鬼夜行の演奏はまだ続きます……」
最後の最後に用意したのは、サプライズ新曲『妖怪・寝子島~西洋妖怪Ver~』であるという。
「え? そんなの俺聞いてな……」
と言いかけて優は口をつぐんだ。思いだした。自分のリードボーカルをこなすことに集中するあまり、忘れていたのである。
「さ、もうひとがんばりだね!」
ぱん、と鳴は優の背中を叩いた。
男性陣を追い出すと、鳴は大急ぎで着替える。空も、アンコールは別の衣装を試すようだ。
「……それ、ドレス……ですか?」
空が気付いて、ブラジャーの紐に手をかけたまま訊いた。
「うん……」
ベネチアンマスクもつけて鳴は笑った。夜会服。16世紀のウィーン風だ。
「せっかくだから……終わったら舞踏会にも混じってみようと思って」
どことなく寂しげな笑顔だった。
<< もどる
1
…
99
100
101
102
103
…
106
つぎへ >>
このページにイラストを設定する
シナリオ
シナリオトップ
シナリオ一覧(参加受付中)
シナリオ一覧(すべて)
リアクション一覧
ゲームマスター一覧
ゲームマスター検索
シナリオご利用ガイド
グループ参加ご利用ガイド
シナリオタイプのご案内
【ハロウィン】寝子島ハロウィン☆デイズ!
シナリオガイド
リアクション
参加キャラクター一覧
コメントページ
ダイアリー一覧
シナリオデータ
担当ゲームマスター
桂木京介
シナリオタイプ(らっポ)
シルバーシナリオ(150)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
日常
恋愛
コメディ
定員
1000人
参加キャラクター数
161人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2015年06月09日
参加申し込みの期限
2015年06月16日 11時00分
アクション投稿の期限
2015年06月16日 11時00分
参加キャラクター一覧
もっと!