【ハロウィン】寝子島ハロウィン☆デイズ！｜リアクション

【ハロウィン】寝子島ハロウィン☆デイズ！

　仮面舞踏会の夜、すなわち寝子島のハロウィンの夜が、しめやかに終わろうとしていた。
　グランドフィナーレのようなものはない。長い夢の終わりがそうであるように、舞踏会もまた、朝靄に溶けるようにして消えていくのである。
　三々五々、人が減っていく。
　バーカウンターが、時間差で看板を下ろしていく。
　ステージからも音楽や人が、いつの間にかなくなっている。
　そうして少しずつ、イソラ・ガレッジャンテは静寂を取り戻していくのだ。

　テーブルを拭き終えて、ふと、桧垣万里は顔を上げた。
　会場にはもう、誰の姿もない。皆、幽霊のように消えてしまった。
「……ああ」
　たまらなくなって万里はダンスフロアに降りた。
　こつん、と爪先がフロアを打つ音が響く。
　ほんの一時間前には人でぎっしりだったというのに、無人になってみればひどく広い。
　つい今し方まで存在した、たくさんの仮面の客たちはどこへ行ったのだろう。
　幻想の世界に還っていったのか、それとも、別の場所で夢を見るために旅だっていったのか。いずれにせよ一人残らず、ほんのりとした燐光や、小石程度の気配すらとどめずにここより去った。
　みんな、素敵だった――私も誰かと、踊ってみたかった……。
　でもそれは終わった夢。メイドたる万里には、決して届かぬ明けの明星だ。
　メイドたる者――万里は思う――そんな贅沢を、望むべきではない。
「ああ、でも……！！」
　けれど万里は身をよじった。今、人恋しさを感じる彼女を、誰がとがめられようか。
　寂滅、聞こえるのは海風の音ばかりである。
　いやしかし、なにかそこに、混じる音があった。
　ぱたぱた……慌ただしく、走って来る音。ダンスフロアに降りてきた。
「やあ、もしかして舞踏会、終わってしまったのかい？　パレードが終わった後部屋で一寝入りしてたら、すっかり寝過ごしてしまったよ……」
　その人は、海藻類のような髪型をしていた。
　一番似ている回想は、もしゃっとサラダボウルからあふれたワカメだろうか。
　くしゃくしゃで、けれどボリュームがあって、おまけに健康に良さそうだ……？
　鷹取洋二は万里の姿を見つけると、ワラにも縋るような眼をして言う。
「ああ、メイドさん、もうお開きなのですか？」
　万里は彼を見た。
　ワインレッドのスーツ姿、黒いネクタイともども、イタリアンブランド風である。顔につけたベネチアンマスクは、ハロウィンらしくジャック・オ・ランタン型をしている。口調は妙だがあまり気取ったところはなさそうだし、顔もそこそこハンサムのようである。なにより、彼の目には力があった。単にたっぷり寝てきたせいかもしれないけれど、それでも、情熱の色があった。
「いいえ。ただ、もうあまり時間は残っていませんけれど……」
　と言って、万里は少々芝居がかった仕草で手を差しだしたのである。
「ラストダンスは、ご一緒に」

　『【ハロウィン】寝子島ハロウィン☆デイズ！』　了

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あとがき

担当マスター：桂木京介
ファンレターはマスターページから！

　ご参加ありがとうございました！
　マスターの桂木京介です。

　今回……本当に本当に本っ当に大変なリアクション執筆となりました。
　体調を崩しやすい時期ということもありましたが、ウイルス性の胃腸篇で七転八倒の苦しみがあったことが一度、高熱が出て病院で点滴されたことも一度、なんだか満身創痍で完成までこぎつけました。

　これはいつも言っていますが、私が完成までたどりつけたのは、素晴らしいアクションをお寄せいただくことができたからです。
　あるアクションには勇気づけられ、あるアクションにはホロリとさせられました。貴重な文字数を割いて私信を下さった方にも、感謝の念で一杯です。

　リアクション構成については、参加者が多いからと言って手抜きするのは本意ではないので、睡眠時間も体力も削って思いっきりやらせていただきました。
　おかげで文字数が大爆発しております。（28万～29万という数字が見えましたが、きっと気のせいでしょう）
　そしてどのキャラクターがどのページにいるのかは、私自身把握できていません……すみません。

　ほとんどのキャラについて登場シーンを分割しておりますので、申し訳ないのですが、ゆっくりと前から読んでいって、ご自身の登場箇所を探してみてください。思わぬところに出ているかもしれません。
　また、リアクションの構成上、ご指定以外の場面に登場するキャラクターもあります（【1】にしか指定のないキャラが【3】にも出ている、等）。ご了承下さいませ。

　こんな凄まじい分量を全部読めというつもりは毛頭ありませんので、ご自身の登場シーンだけサーチをかけるなどして見つけるのがクレバーな方法と思います。
　全部読んで下さる方がいたとしたら、申し訳なくて頭が下がります。でもそんなあなたは、私の友達です。

　ちょっと休みを取らせていただく予定ですが、いずれ戻りますのでそのときにお目にかかりましょう。

　いま、私はエネルギーを使い尽くしてミイラみたいな状態です。でも、意見ご感想励ましツッコミ等、なんでも結構ですのでダイアリーや矢文等で反応をいただけたら、多分生き返ります。（恥も外聞もかなぐり捨てて書きますが、私は構ってちゃんです。お願いします）

　書いているときはつらいこともありましたが、振り返ってみればとても充実した日々でした。
　あなたのアクションに、ときに感心し、爆笑させられ、初恋の切ない気持ちを思いだしたり、友情に胸を熱くしたりもしました。こんな経験は、そうそうできるものではないでしょう。
　だから私は、参加者の皆さんに心から感謝しております。これだけたくさんの人に参加してもらうことができたのは、身に余る光栄です。

　あらためてもう一度、声を大にしてお礼を言います。ありがとうございました！
　それではまたお会いしましょう！　
　桂木京介でした！

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あとがき

シナリオ

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参加キャラクター一覧