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怪人セブンの暗躍
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菜々緒が全員分のハムエッグとサラダを作り終えると、待っていた5人へ配膳を始めた。
自家製キャロットスムージーもグラスに注いでいく。
「ナナオの朝はパン派なんだねー」
トースターから飛び出した熱々の食パンを皿へ移す桜庭。
(……ハムエッグ、作れるようになったのか)
塩コショウが効いたハムエッグを食みながら、月居は心の中で驚いていた。
以前の菜々緒は料理が苦手であった。
作った料理に味が付かないという異常事態が起きていたのだが、今ではそんなことはなくなったようだ。
「菜々緒の料理はやっぱ美味いぜ! 俺、味覚障害で味はわからねぇけど、ちゃんと食べる人のことを考えた気持ちがこもってるからきっと美味い!」
吉祥寺は友人の作った朝食を嬉しそうに頬張っていた。
しかし、戌井だけは菜々緒の態度に首を傾げていた。
「……いつまで話を逸らす気なの?」
食卓の視線が戌井へ集まる。
「のんきにご飯を食べている場合じゃないと思うんだけど」
「そうね」
これに菜々緒、素直に意見を受け入れた。
「ビリオンさんからの依頼で、既に『名も無き英雄たち』のみんなが動いているのを知っているわ。武道君が招集を掛けているのも、ね」
「ならなおさら、君がどうするべきか決めてくれないとダメじゃないかな?」
戌井はこんがり焼けた食パンにバターを塗りながら、横目で菜々緒を牽制した。
「……私だって、怖いものがあるのよ」
菜々緒は溜息混じりに答えた。
「やっぱり、泉月花ちゃんのこと、怖いの?」
桜庭の質問に、菜々緒は黙って小さく頷く。
「……菜々緒、どうする?」
月居の言葉に、菜々緒は押し黙ったままだ。
その態度から、相当の苦手意識があると読み取れた。
「あー、そういうの、イラってくるんだよねー」
戌井はニコニコしながらバターナイフをバターに深々と突き刺した。
「僕はね、吉祥寺先輩やまどかちゃんみたいに優しい言い方はできないし、月居先輩みたいに気遣いを配るようなこともしないよー。ただ、君のことが心配で頑張ってくれてる人もいるのに、それでいいのかなーって思っただけでね?」
菜々緒は口を真一文字に閉じ、戌井の言葉に身をすくめていた。
「別にいいよ? 君がどうしようと、僕は割と、どーでもいいんだ。僕は君に無理強いさせるつもりはさらさらないし、弱虫だって罵倒するつもりもない。実際、怖いならここで引っ込んだ方が楽だし、そっちの方が安全だと思う。無理だと思うなら、そうやってじっとしてればいいよ」
「戌井、てめえ……!」
吉祥寺が戌井を睨みつけた。
月居も無言のまま、不快感を表情に出している。
だが、戌井は全く気にせずにハムエッグの黄身をハムごとフォークで突っつく。
「でもね、それでもし、自分の知ってる誰かが傷ついたり、仲間に置いていかれたりしたら、君は死ぬほど後悔するとは思うよ?」
僕の言えることはそれでおしまい、と告げると、あとは黙々と朝食を味わう戌井。
月居は、こういう時に上手くフォローできない自分自身をはがゆく思った。
(俺に何が出来る? 何をしてやれる?)
食パンを咀嚼しながら、月居は自問自答を続ける。
(過去から逃げてるままじゃいけないっていうのも分かる。戌井の言うとおり、過去を受け入れるかどうか、こうした方がいい、って助言するわけじゃない。こうしてくれ、ってお願いするわけでもない。菜々緒がどうするのか、菜々緒自身が選ばなきゃならねぇ)
ならば、菜々緒へできることは何か?
(迷ってたって意味は無い、か。俺が出来る事は……菜々緒のそばにいて、それを見守る事、支えてやる事。そして菜々緒がもし、誰かに手を伸ばそうとした時に……その手を取ってやる事だ)
7月、菜々緒が死んで、生まれ変わった『歌劇』事件。
あの日から、月居は菜々緒の全てを受け入れ、守り抜くと心に誓った。
それは、月居にとって菜々緒が特別な存在だと気が付いたときから、一層強い想いとなった。
(この役割が俺にふさわしいかどうかなんて分からねぇ。それでも、俺は……)
月居は再び自分の行動指針を確かめると、菜々緒の顔を見遣った。
「……菜々緒は、どうする……? 菜々緒の意志に、俺は従う……」
言葉少なに、月居は菜々緒の言葉を促した。
「……私は、ビリオンさんが言っていた『色欲』――『色欲女医』と面識があるわ」
「おい、それマジかよ?」
吉祥寺が目を見開く。
「ええ、だって、私の主治医だもの」
菜々緒の言葉に一同の動きが止まった。
「それってナナオがいれば『色欲女医』を判別できるのかな?」
桜庭の期待のこもった口調に菜々緒は首をひねった。
「どうかしら? あの人、色々と異常だから……。でも、私が接近すればボロが出るはずよ」
「でもナナオ、嫌そうだね?」
桜庭が菜々緒の眉間にシワが寄っていることに気が付いた。
「……あの人も苦手なのよ、私」
菜々緒は本当に嫌そうに答えた。
泉月花とはまた違う反応である。
泉月花に対しては忌避を思わせる素振りだったが、『色欲女医』に対してはただただ嫌悪の態度がありありと出ていた。
そんな彼女に、吉祥寺はもう一度ハグをした。
「菜々緒は強くても脆くて弱い所がある人間だっていうのは俺がよく知ってる」
「クロ……」
「だから親友として例えどんな事になっても俺は絶対に裏切らない」
「……」
だが、菜々緒の体はするりと親しい友人の体を抜けてしまう。
吉祥寺の優しい言葉も、菜々緒の表情が晴れることはない。
「結局闘うのはいつだって自分一人だけど、君には助けたり、支えたりしてくれる友達もいないの?」
その様子に戌井は腹ただしげに2枚目のトーストを口の中へ詰め込んだ。
「ねえ、ナナオ」
食べ終わった桜庭が声をかける。
「やっぱり、一緒に泉月花ちゃんに会いに行かない?」
「円……、ちょっと待つのだ」
李が桜庭の言葉を遮る。
「しゃおりーは菜々緒が過去に押し潰されるのを見たくないから、どうしても辛いなら同行は今じゃなくていいと思うのだ」
「あ、ボクは自分の意見を押し付けているわけじゃないよ、小麗ちゃん。でも、なんだか険悪な雰囲気のままだと、決まることも決まらなそうだし……」
桜庭が戌井を苦笑いしながらアイコンタクト。
「僕は悪くないよ」
戌井は依然として笑顔の下に苛立ちを押さえ付けていた。
「ナナオ、泉月花ちゃんと『色欲女医』が怖いんだよね」
「……ええ、そうよ」
「怖いのは解る。でもボクは泉月花ちゃんと向かい合ってほしい」
「それは、私が『色欲女医』と面識があるから?」
菜々緒の試すような目つき。
だが桜庭は無邪気に首を横に振った。
「違うよ、ボクはね、ナナオにはきちんと過去と向き合ってほしいんだ」
「円ちゃんにとっては他人事なのに?」
「他人事じゃないよ、ボクはナナオのトモダチだ。そしてボクも一緒にナナオの過去と七罪と向き合いたい」
桜庭はまっすぐ菜々緒に向き合う。
「今、何かしないと、肝心な時に間違えると思う。過去を、七罪と、七男と、オリジナルの菜々緒と、向き合わずにナナオは前に進めるのかな?」
「それは……」
菜々緒は途端に言い淀む。
「やっぱり後ろめたいことがあるんだね」
桜庭の目の奥が確信めいた光で鋭く輝く。
彼女は続けた。
「ナナオが今、2人では無い事は解る。でも
あの時
の話で傷ついていたよね。君も過去に戸惑ってる」
「……怖いのよ。所詮、私の記憶はオリジナルの“彼女”と“彼”の記憶の破片を継ぎ接ぎしたもの。でも日に日に記憶が戻りつつあるの。それが原因で今のフツウを壊すことになりそうで……怖いのよ」
菜々緒は眉尻を下げ、口を歪ませて肩を震わせる。
「私は……大きな代償を払って、やっと幸せになれたわ。でも……過去が、それを許そうとしない。許そうとしない人達もいる。このままだと、私は耐え切れずに以前の“彼”のように――怪人セブンに戻ってしまいそうで、怖いわ……」
「そっか……。ナナオ、やっと掴んだ幸せだもんね。手放したくないよね」
桜庭は菜々緒の両手を握って微笑んだ。
「だからこそ、今、今だからこそ皆で向き合えるんだ」
「菜々緒……このままじゃいけないと過去と向き合う決意があるなら、しゃおりーも菜々緒と一緒に立ち向かっていくのだ」
李も桜庭の言葉に乗っかるように励ます。
「言っただろ? 俺は菜々緒を裏切らないぜ!」
吉祥寺も笑顔を向ける。
「……俺は、同行させるかどうか、正解は解らねえ。でも……俺も菜々緒のために力になりたい」
控えめな言葉の中に、月居の思いやりが込められていた。
ただ1人、戌井だけは菜々緒の顔を見ようとしなかった。
うじうじと悩んでいる菜々緒に終始苛立っている戌井には、優しい言葉をかけるという情けや考えは一切持ち合わせていなかった。
可愛い見た目に反して、随分とドライな対応である。
「……わかったわ。勇気を奮って、泉月花さんに会いにいくわ」
「その意気だよ、ナナオ! 大丈夫、ナナオだけに過去を背負わせたりしないからさ。ビリオンも関係ない。だから、一緒に背負わせてよ」
桜庭の言葉は、決して中途半端な慰めから出たものではない。
一連の叢雲教団が引き起こした事件の発端――白亜の殺人鬼との邂逅の時、桜庭が“語り部”として選ばれてから、すべてが始まった。
それ以来、寝子島や神魂を巡る暗闘の全てに身を投じ、誰よりも殺人鬼の心に肉迫し、論破し、理解を寄せた彼女だからこそ発せる言葉であった。
「さぁ、ナナオもトースト食べようよ、冷めちゃうよー」
桜庭に促されて、ようやく菜々緒は席に着く。
(それに……泉月花ちゃんも純粋に悪い人だとは思えないし)
桜庭は心の中で、そう呟いた。
菜々緒の表情はだいぶほぐれ、口角が僅かに上がった。
そのまま両手を合わせ、目を閉じた。
「……いただきます」
ようやく、彼女は焼きたてのトーストに手を伸ばしたのであった。
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3人まで
シナリオジャンル
推理・サスペンス
バトル
神話・伝説
定員
40人
参加キャラクター数
40人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2015年06月13日
参加申し込みの期限
2015年06月20日 11時00分
アクション投稿の期限
2015年06月20日 11時00分
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