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段ボランド de ファイト
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やがて誉は、もう一人元気な娘に出会うことになった。
「あれ? 詠……?」
「市橋じゃねぇか」
ボカボカと段ボールをとっちめて、くるりと振り返ったのはそう、詠寛美だ。
相変わらず健康そうな肌の色で、相変わらず目つきが悪い。黒髪をポニーテールにくくり、服は空手の稽古着姿である。
「大丈夫か……って、大丈夫そうだな」
誉は苦笑した。ここまで散々暴れてきたのだろう。寛美の髪や稽古着に、段ボールのカスとおぼしきものがたくさん付着している。黙ってしおらしくしていれば美少女であろうに、こうしているとなんだか蓑虫のできそこないのようだ。
しかし誉は考える。こういうところが寛美の魅力かもしれない――と。
「この場所はわけわかんねーぜ。段ボールの戦車や飛行機と戦ってたかと思いきや、今度は恐竜だのなんだの……」
このとき二人の間にちょうど模型サイズの翼竜が飛んできたが、チェストォ、と一声、跳び上がった寛美が一撃のもとに仕留めている。
「相変わらず良い腕してる」
誉は拍手した。今の寛美の動きは、空を飛んでいる昆虫に水鉄砲をはきかけて落とす魚を思い起こさせたが、そんなことを言うと彼女は絶対に怒るだろうから黙っておいた。
「けど、意外と段ボールって角とかでスパーッと切れたりするから注意しような」
「何が?」
と言ったちょうどそのとき、寛美の手から血がしたたり落ちた。
「ほら」
「ちっ、本当だ……こんなヤワじゃないつもりなんだが……」
寛美はブツブツ言いながら手を稽古着でぬぐっている。かなり大きな範囲に切れているようだ。
「そんなことじゃ余計悪化するだけだ、ちゃんと止血しておかないと」
誉は彼女に駆け寄って白いハンカチを差し出す。
「使ってくれ」
この申し出はかなり意外だったと見え、寛美は「えっ!」と口に出して言った。
「よせよ。お前……それ…………勿体ないだろ!」
これを聞いて思わず誉は吹き出してしまった。
「なんで笑うんだ!」
短気っ子寛美がまたまた短気を出している。
「いや……悪かった。あまりにピュアな反応だったんでね。バカにしてるんじゃない。感心したんだ」
「つまんねーことに感心してんじゃねえ! ピュアはどっちだ!」
このままだと寛美は、意地になってハンカチを受け取らないだろう。さてどうしたものかと考える誉の前を、小さなネズミ風の動物が横切っていった。
思わず誉も寛美もネズミを目で追う。
段ボールネズミじゃない。本当のほ乳類だ。シナモン色で、ちょっとリスにも似ている。その後から、
「おっスナネズミ発見! 戻ってこいよー!」
と追いかける姿が続いた。派手なシャツを来た長身の男性……三夜雷一だ。さらには、
「わわっ、また恐竜、さん……が……!」
黒いゴシックドレスを着た緋紅朱赫乃もいる。
「恐竜?」
その発言を聞いて、誉も寛美も視線を上げた。
さっと日が陰った。
たしかに恐竜だ。翼を持ち、ぶわっと滑空しながら降りてくる。
大きい。段ボール恐竜のなかでも最大のものではなかろうか。広げた翼は数メートルはありそうだ。いくつかの段ボールを組み合わせた制作物らしく、そのボディには『みかん』『大根』『わかめ』など様々な文字が躍っていた。大きな頭部をもつこの翼竜は、ちなみにケツァルコアトルスという名前である。
恐竜はスナネズミを狙っているのか、それとも雷一か赫乃にかかる気か、一定距離まで降りてくると、あとはグライダーみたいな飛び方で空を旋回していた。
「でかい……こいつに襲われたらヤベーよな……」
ここでピン、と雷一の頭上に電球が光るエフェクトを想像してほしい。
「そういや胸ポケットにいいものが……じゃん!」
と彼が取り出したのは、天下無敵の着火機その名は百円ライターだ。
「段ボールなら火にびびるんじゃねえか? いちかばちか 試してみる価値はある」
「それ……危ない、火事に、なるかも、しれません……」
赫乃はダメと言うように首を振った。
「もちろんマジでつけたりしねえよ。ただの威嚇だ」
だがこのとき上空のケツァルコアトルス頭部に、ゴスっと大きな石が命中した。石はピアノのように派手な音を立てる。鍵盤の上に、どんと腰を下ろしたように。
「市橋……てめぇ、思ったより無茶するな」
寛美が言った。そう、大石を投じたのは誉だったのだ。
大石が命中してはたまらない。バランスを取って飛んでいた翼竜は見る間に高度を下げ、地面に落ちてじたばたともがく。
「で、なんであの音出させたんだ?」
石ぶつけるだけなら必要ないだろ、と寛美が問うと、誉はごく平然と返答したのである。
「なんとなく、面白そうだと思ったからな」
クールだが遊び心も忘れない男、それが誉なのだ。
「案ずるより産むが易し、ってやつか! やるな兄ちゃん!」
雷一は叫ぶと、くらえと一声ケツァルコアトルスに飛びかかった。結局のところ段ボールは段ボール、大きな翼竜だろうと踏みつけて体重をかければ、どすばきぼこっと崩れていく。
「懐かしいぜこの手応え……!」
ふと雷一は思いだした。かつて少年時代、彼は段ボール工作に夢中だった。双子の兄と一緒に、段ボール板をソリにして遊んだこともあった。段ボール独特のこの匂いは、彼にとって郷愁の香りでもあるのだ。
いつの間にやらスナネズミも、彼と一緒になって攻撃に参加している。ネズミの攻撃はかじることくらいだが、それこそ段ボールにとっては致命傷であろう。
「ま、あれなら俺が手を出さなくても大丈夫だな」
寛美は肩をすくめたが、その彼女に向かって、
「出して、下さい……手」
赫乃が話しかけていた。
「その手の、ケガ、治します。今日、お花、持ってきてる、から……」
「花? それがなんだってんだ?」
と寛美が聞き返すまもなく、赫乃は彼女の手を取り、持参した花を当てる。
今日二度目の「えっ!」を寛美は口にすることになった。赫乃の花がみるみるしおれ、ついに枯れた。そのとき寛美の手の傷も、完治していたのである。ぱっくり裂けていたのが嘘のようだ。
「こ、これは……一体……」
絶句し、助けを求めるように自分のほうを見てきた寛美に、誉はうなずいて告げたのである。
「こういうとき、なにを言うべきか知ってるか?」
「いや……」
「お礼だよ」
それを聞くと、ふん、と鼻を鳴らして寛美は、いつもの落ち着きを取り戻して、
「すまねぇ、助かった」
と赫乃に頭を下げたのだった。
そのころ雷一はスナネズミとのタッグで、翼竜をただの段ボールに戻していた。
「……にしてもけったいなモン作りやがって……まー気持ちはわかるがな」
雷一は思う。アルチュール・ダンボ―とかいう変人は結局、子どもの頃の夢を忘れられないまま大人になったたぐいの人間なのだろうと。
わかる気がした。
なぜなら彼自身、そういうタイプの人間だからだ。
四人はこれで互いの事情を明かし、協力して出口を探すことになった。
彼らが段ボランドの密林から脱出したのは、それからまもなくのことである。
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担当ゲームマスター
桂木京介
シナリオタイプ(らっポ)
シルバーシナリオ(150)
グループ参加
2人まで
シナリオジャンル
コメディ
SF・ファンタジー
バトル
定員
15人
参加キャラクター数
15人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2015年04月27日
参加申し込みの期限
2015年05月04日 11時00分
アクション投稿の期限
2015年05月04日 11時00分
参加キャラクター一覧
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