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時間を切り取るカプセル
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【大切な在り方の記録】
旅鴉 月詠
は、絵を描いている間に、3人の知り合いと顔を合わせた。
一人の赫の女の子は、到底雑談などが出来る状態ではなく、
それを心配した秀才の青年は、申し訳なさそうに会釈でその後を追い掛けた。
後の一人は、未来へのタイムカプセルを埋めたところ、“まだ大した時間も経っていないのに懐かしさを覚えたからこれから行って来る!”と叫んで駆け足でその場を後にしていった。
毎度の事ながら、どうして自分の周辺はこんなにも慌しいのだろう。
自分の絵は全て描き上がった。
その中にあるキャンパスの一枚を裏返して一枚のメッセージカードを挟み込んで封をする。
『ハロー、そこにいる誰か。この絵は1369年に描かれた絵だ。願わくばこの地が変わりなくそこにある事を望むが果たして今どうなっているだろうか』
夜もそこそこに更けてきた。九夜山のライトアップが本格的に映える。
やるべき事は全て──いや、殆どやった。
片づけをしながら、足元に置かれていたのは、2輪が向かい合わせに描かれた紫苑の花のタイムカプセル。
描いたはいいが、これだけはタイムカプセルのカウンターに置くには釈然としないものを感じていた。
何しろ、どれもタロットカードの色目からイメージを引いたにも拘らず、これだけは何も思いつかず「ありのままに」という、カードの色目ではなく、その意味からふと目の前に群生していた紫苑を描いた。
いっそこのまま記念に持ち帰ろうか、そう思いついた時、
近くを歩いていた一人の男、
三夜 八雲
がその絵柄の入ったタイムカプセルを目にして、少し驚いた様子でこちらに向かって歩いてきた。
「紫苑の花……。
フン、驚きだな。中沢の阿呆の企画に場違いなものがありやがる」
その言葉に、相手に気付かれないようにとっさに開いたタロットカードを見て。月詠は、全ての絵を完成させ封をしたタイムカプセルを自分の椅子の上に乗せ、代わりにその絵柄の入ったタイムカプセルを差し出した。
「油絵描きの最後の一個だ。無地のタイムカプセルも粗方無くなってしまったから、使うなら持って行くといい」
「フン、どうせ描いたはいいが置けなくて余ったってクチなんだろ。オラ、感謝しろ。もらっててやる」
「──カードはこういう時、理不尽な事を言う。一日掛けてこれとはね」
「?」
「何でもない。じゃあ」
月詠はそう言うと先程の事もどうでも良さそうに、やっとやるべき事を果たしたと、荷物類の類を抱えて、ろっこん発動の為に必要な、ひとの目を避けるために木々の裏手の方へ荷物を運びに行ってしまった。
そして、その場には八雲一人が残された。
「何だったんだ、ありゃ。
しかし……」
八雲の手元に残った2輪の花の描かれたタイムカプセルをじっと見つめながら、ふと本来の目的を思い出すしたように前を向いた。
「中沢め。またド阿呆な事を始めやがって。どこをどうしたら“展望台前”でタイムカプセルが出てくる」
中沢 リッカルド
を思い起こして、思わずぼやく。
「全く度し難い阿呆だな、奴は……」
寝子島町長の彼を、改めて思いながら、ついつい深いため息を禁じえなかった。
「……それに乗る俺もド阿呆の一人というのが全く持って解せんが」
そう、何だかんだと言いながらも、タイムカプセルに詰める為の中身の入ったバッグを持って山頂近くの“展望台口”まで来てしまった自分の姿に──思わず苦笑を禁じえない。
数歩歩けば受付が見えた。もう片付けの用意を始めようか思案している様子が伺える。
聞こえてくる会話の内容は、予想以上にお客さんが来てくれての上々との事。
「フン、それでも俺以外に参加するのは糞ガキども位だからな。
それに、我が三夜家は三夜湖と関係あるとされた一族だ。ならば、そこに関係するイベントに参加するのは家に対する礼儀だろ」
三夜湖との関連──それは八雲が独自に調べた書物の中に、ほんの僅かに載っていた内容だった。いつの時代のものか、まず真偽の程も定かではないが、実際に縁があるとするならば、向かわないのも確かにばちあたりな気がしてしまう。
受付の方から本格的に片付けの話が出始めたのを耳にした。
埋めるなら早めの方が良さそうだ。
いつの間にか、八雲が最後の来客になっていた。置かれた長机が自分の為だけにあるのは、流石に落ち着かなくて、急ぎそちらの方へ向かう。
バッグの中から、幾重にも重なる紙が収められたファイルが取り出される。
ファイルの中は、ぐちゃぐちゃというよりは“本人にしか分からない整理”がされているように見受けられた。
八雲がその中の一つに手を差し込んで、紙の束から紙を落とさないように引っ張り出す。
「まず、順番的にはこれだな。
後の世代の奴等の為に、この時期の寝子島がどんな文化を誇っていたかわかるようにと、俺がわざわざ編纂したこの文化メモ。
時間も経てば文化も大きく変わるものだ。
フン、どうせ200年も先までこれが眠っているとは思わんが、一応な」
収めた文化資料には、金属では湿度変化で痛んでしまう可能性がある為、穴を開けた先に紐で結わえられている。詳細に記載された内容は、現代の参考資料として充分に使える位の密度があった。
「せっかくだ。…その下に俺の家族の写真でも入れておくか」
次に、その下にそっと入れた物は、1枚の集合写真。
それは三夜家の現在、言葉をなくす程の大家族が満面の笑顔で写りこんだ、それはとてもとても幸せそうなの写真の1枚。
しばらくの間それを手に数分ほど、八雲は一人一人の写真姿を見つめて。
無言の感慨にも似た眼差しで見つめていた自分に、はたと我に返って改めて写真を眺める。
「フン、いつ見ても忌々しい奴等だ、こんな笑顔満開にして……精々、この時代にこれだけの大家族が居たという証明にでもしてやろう!」
そう言いながらも、その声の調子は無意識に上がり、手はこの大家族の大切さ、嬉しさを隠せない様子で文化編纂資料の下にその写真を挟み込む。
しかし……そこで八雲の手がふと止まった。写真は挟み込まれしまわれる直前。まだ、家族全員の姿が見える──……いや、一人足りない。
八雲には分かっていた、大切で、こんなにも嬉しい大家族写真の中で、たった一人だけその姿が無い存在がいる……
「だが……この写真の中に貴様は居ないだな……紫苑」
俯いて写真も見えない。だが、見なくとも分かる。
ぽつりと、言葉が漏れた。その写真にはいない。どんなに穴が開くほど見つめてもいないのだ。
それは亡くした妻の存在──紫苑、という名の愛しい人の名。
「……フン、貴様が悪いのだ、紫苑。
何が『私がずっと傍に居てあげます』だ、馬鹿者め」
──だから、こんなにも幸せそうな大家族の写真にいられなかったのだ──思い、俯く八雲の涙腺が僅かに緩んだ。
それでも帰ってこない。それを“まだ”帰ってはこないのだと自分に言い聞かせる。
八雲には野望がある。だが、それはまた遠い彼方にある。だから、今は“まだ”
「勝手に先に逝きおって……貴様がおらんから俺は……いつまでも笑えんだろうが」
我がままだと、分かっていた。素直に笑顔が見せられないのを妻のせいにして。でも、まだ叶わない我がままだと、分かっていたから八つ当たりとしてそう呟いた。
収めていたタイムカプセルの中身を一旦全て退けて。最下層に、八雲と亡き妻との、若き日の二人の写真を大切に大切を重ねてそっと納めた。
「………………」
見つめれば見つめるだけ瞳が霞むような情けない事態になりそうであったから。
一度、固く瞳を閉じてから、納めた写真の上に隠す様に。
タイムカプセルに入れる程大事で、誰かに見てもらいたいのに、傍ら誰にも見られたくない矛盾を抱えて、改めて家族の写真と紙束の文化編纂録で隠す様にそれらを置いた。
「そろそろ一般のお客様用のロープウェイが終了になりますよ」
スタッフから掛けられた言葉に八雲はやっと我に返った。名残惜しげにカプセルに封にしてタイムカプセルを埋める穴の方へ向かう。
スタッフは夜を徹しての埋まり方が足りないカプセルや、埋まっていないカプセルを埋める作業に入るようだ。
「……フン、存外俺も感傷深かったものだ」
珍しく、素直な感想が洩れる。
心から、正直に呟いたことなど一体何年ぶりだろう。
「………………」
手元のタイムカプセルに目を向ける。
亡き妻と同じ名前をした花をあしらったタイムカプセル。
それを目に見た瞬間に、らしくもなく思ってしまったのだ。
これは、亡き妻への思いが、彼女に近しいところへ僅かにでも届いたのではないか、と。
「さて、これがいつ発掘されるか…見ものだな」
呟きながら、思う。これが、もし願いが叶う事があるとするならば。
必ず、その時は200年等と言わずに。
すぐにでも、妻と共に自分でタイムカプセルを開けに行こうと。
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シルバーシナリオ(150)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
日常
定員
15人
参加キャラクター数
15人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2015年04月15日
参加申し込みの期限
2015年04月22日 11時00分
アクション投稿の期限
2015年04月22日 11時00分
参加キャラクター一覧
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