猫好き集まれ！　キュートなにくきゅうスタンプラリー開催！｜リアクション

猫好き集まれ！　キュートなにくきゅうスタンプラリー開催！

【スタンプラリー　終了】

　
　１４時ちょうど。椎名は深倉と共に、肉球スタンプを４つ押したカードを、シーサイドタウン駅前の受付に
提出した。
　受付の女性にエコバッグとマリンパラダイスのペアチケットをもらい、アンケートの記入を引き受けて、
受付とは別のテントに案内される。

「あの、深倉のお姉さん、今日はどうもありがとうございました」
「いえいえ。わたしこそ、あなたに見つけてもらえなかったら、あのままずっと寝ているところだったわ」

　アンケートを書き終えてパイプ椅子から降り、椎名はぺこりとお辞儀をした。
　眠っていた深倉を（鉄が）起こしてから、なんとなく流れで、椎名は深倉と共にスタンプを集めることに
なった。夢中になって猫の写真を撮っていた椎名に『いつ帰るの？』と時間を指摘してくれたのも深倉だ。

「あっ、金髪のお兄さんだ」
　アンケートを受付に出そうとした椎名は、駅前の噴水に日向の姿を認め、たたっと走り出した。

「お、カメラのお嬢さんじゃないか。いい写真は撮れた？　なんなら、俺の写真も撮るかな？」
　日向が遊んでいた三毛猫を抱き上げて、猫の手でおいでおいでをするので、一枚撮らせてもらった。

「一緒にいたサングラスのお兄さんは？」
「鉄さん？　あぁ、賞品もらってアンケート書いたら、仕事があるってさっさと帰っちゃったよ。生シラス丼、おいしかったなぁ」
　丼ということは、彼らはスタンプを６つ集めたということなのだろう。すごーい、と驚く椎名に、苦笑いの日向はこうぼやいた。
「鉄さんにも君くらいの可愛げがあったらねぇ」

　椎名はアンケートを受付に提出し、日向と深倉にバイバイと手を振る。
　この時間になると、商品を貰って家路につく人数がそれなりにいる。それにまざって歩いていると、
氷華と檜山の姿が目についた。

　お腹の白いキジトラ猫と遊ぶ顔が実に幸せそうなので、写真を撮らせて欲しいと頼むと、氷華の顔が
真っ赤になる。
「わ、わたしなどが！　その、被写体なんて……この可愛い猫だけ撮ってくれ！」
「お姉さん、かわいい」
　目をつぶって猫だけつき出す仕草が楽しくて、そう口にすると、隣の檜山がうんうんと頷く。

「やっぱり、猫と遊ぶ氷華さんはかわいいんですよ」
「ひ、檜山さん！　からかわないでください！」
　氷華が怒鳴ると、首から下がるカードが跳ね上がる。４つスタンプが押してあるし、これから受付に行く
ところなのだろう。

「お兄さん、お姉さん、お邪魔してごめんなさい」
　お辞儀をして歩き出すと、背後から慌てた氷華の声が聞こえた。
「ち、違うから！　そういうのじゃないから！」
　そういうの、ってなんだろう？　と椎名は首をかしげた。

「おぉ、カメラの女の子じゃないか。スタンプラリー、終わったんだな」
　そろそろ自宅のある辺りまでやってきて、椎名はまたも見知った顔を発見した。

「サザエのつぼ焼き、美味しかったねー」
「ボクは焼きハマグリかな」
　自転車を押して歩いている八神と恵御納だ。椎名が写真を頼んだ時は二人組だったはずだが、今はゴスロリ
少女の桜庭が共に歩いている。

「猫のお兄さん……もてもて？」
　首をかしげた椎名がそう問うと、八神の顔がかっ、と赤くなった。

「違う！　そういうのじゃなくて、その……ふ、二人は友達だ！　あ、そうだ！　今度は俺に写真を撮らせて
くれよ、恵御納と桜庭と、パトラとにゃーくん、君も入ってさ」
　うん、と頷いた椎名は、二人のお姉さんと二匹の猫に囲まれて、フレームにおさまる。二眼レフとは違う
デジカメの液晶画面で撮れた写真をみて、うわぁ！　と声を上げると、八神に頭をなでられた。

「肉球スタンプラリー、楽しかったか？」
「うん、とっても！」

【エピローグ】

　
　肉球スタンプラリーの開催翌日の月曜日。
　中沢リッカルド町長は、スタンプラリー参加者が提出してくれたアンケート（無記名）を読み込んでいた。
　中には猫が昼寝しているポイントの地図を提出してくれた参加者もいる。実にありがたいことだ。

『寝子島の住民ならともかく、初見の観光客が猫の肉球に触るのは難しいのでは？』
『もしノラ猫が足を怪我して動けなくなったら、死活問題だと思います』

「……そうですね、嫌がる猫を追い回すようなイベントになっては大問題です。私としたことが、カフェの
猫たちのあまりの可愛さに舞い上がって……ッ！」
　ハァ、とため息をついてうつむいた町長の目に飛び込んだのは、一枚のアンケート。

『ネコさんの写真がいっぱいとれてうれしかったです』

「そうか、写真だ！　写真なら猫たちの迷惑にもならないのではないか？　いや、事はもっと慎重に進めた方が……」
　町長はメガネを外して天を仰ぎ、ブツブツ言いながら、町長室のなかをぐるぐると歩き出した。
　彼の頭の中では、既に新しいイベントのアイデアがフツフツと湧いて……いるのかもしれない。

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あとがき

担当マスター：陣杏里
ファンレターはマスターページから！

初めましてこんにちは。陣　杏里です。

表紙に猫が載っている某旅行雑誌から思いついた第一弾シナリオ、いかがでしたでしょうか。
参加者の皆さまには、大変まじめなアクションをお送りいただき、ありがとうございました。
最初からはっちゃけられたらどうしようと思っていたら、皆さまスタンプラリーにきちんと参加して
くださって、楽しくリアクションを書くことができました。

私自身は猫を飼っていませんが、もし飼うなら……鼻がぺちゃっとしてるエキゾチックショートヘアの猫ちゃん
と暮らしたいです。

ご参加の皆さま、お読みくださった皆さま、ありがとうございました。

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