中沢 リッカルド町長は、秘書から注文していた品が届いたと聞き、ニコニコ顔で町長室のドアを開けた。
町長室の机の上、置かれていたのは真新しいダンボール箱。
二週間前、友人に誘われて東京の猫カフェに行ってきた町長が即座に注文したものだ。
「フフッ、確かに猫カフェは癒される! キュートです、エクセレントです!」
机の上には、首に鞄を下げた旅猫が表紙を飾る写真集、猫の肉球をかたどったまんじゅう(の箱)なども置いてある。
二つとも町長が東京で買ってきたものだ。
その横に、町長は何十枚もの猫の写真を広げた。アップや引きの構図、友人に頼んで撮ってもらった猫とのツーショットなどだ。
ちなみに町長室には他に誰もいない。盛大な独り言である。
「この幸せを、私だけが独り占めしてよいのでしょうか!? いや、断じて否であります!」
写真を見つめ、しばらくデレデレしていた町長は、思い出したようにカッターナイフを取り、ダンボール箱の封を切る。
中に入っていた横断幕をバサッ、と机に広げた。
『猫好き集まれ! キュートなにくきゅうスタンプラリー開催!』
白地に黒く染め抜かれた文字を見て、町長の鼻の穴がぷくっと膨れた。
「くっ、素晴らしいできばえだ……! 特にキュートの「きゅう」と肉球の「きゅう」をひっかけてある所が
ニクい! 肉球だけに!」
誰もいない部屋で感動に震える町長。
正確に言うと「きゅう」と「キュー」じゃないかとか、やっぱり独り言だなんてことは全く気にしていない。
「おっと、感動している場合ではなかった。打ち合わせの時間だったな」
腕時計に目をやった町長は、必要な書類を準備してから、寝子島シーサイド駅へと向かった。
こんにちは。お初にお目にかかります、陣 杏里です。
みなさまに楽しい時間を過ごして頂けるようがんばりますので、よろしくお願い致します。
◆シナリオの概要
友人に誘われて東京の猫カフェに行った中沢 リッカルド町長は、「猫カワイイ! 猫サイコー!」と、
新しいイベントを企画しました。本物の猫の肉球をスタンプにする、『肉球スタンプラリー』です。
町長は、ゆくゆくは島の外からもお客さんを呼べるようなイベントに育てていくつもりのようですが、
第一回目の今回は、島の住民の方にモニターとして参加してもらい、意見を聞きたいと考えているようです。
◆スタンプラリーに参加するには
スタート地点は寝子島シーサイドタウン駅です。
町役場が用意したテントに受付があり、そこで名簿に名前を書いてネックストラップとスタンプカード、
インクパッド(猫の肉球に配慮した安全性の高いインクを使用しております)を受け取り、スタンプカードを
首にかけてください。
スタンプカードには6個の空欄があり、2個、4個、6個ごとに、違う賞品が用意されています。
スタンプを押し終えたら、寝子島シーサイド駅の受付まで戻ってきて、スタンプカードをご提出下さい。
賞品はスタンプカードと引き換えにお渡しします。
・スタンプ2個の賞品⇒⇒⇒にゃんこ賞
寝子島電鉄オフィシャルエコバッグ
(ねこ電と同じ青と白のツートンカラーに、小さな猫たちが遊ぶデザイン。
使わない時はたためます)
・スタンプ4個の賞品⇒⇒⇒にゃんにゃん賞
寝子島マリンパラダイス ペアチケット
(常設展に加え、ナイトアクアリウムもご鑑賞いただけます)
・スタンプ6個の賞品⇒⇒⇒にゃんコンプ賞
サザエのつぼ焼き・焼きハマグリ・生シラス丼 豪華海の幸三点セット
(寝子島漁港より、当日朝とれたばかりの新鮮素材を直送! 受賞者の目前で調理します。
※当日の天候や漁獲量によっては、賞品を変更する可能性があります。
その場合は『サンマさん特製 サンマ味噌煮缶詰12個セット』になります)
スタンプ2個の場合は『にゃんこ賞』の賞品のみですが、4個の場合は『にゃんこ賞』と『にゃんにゃん賞』の
二つ、6個の場合は全ての賞品を差し上げます。
◆猫を探すエリアとルール
基本的にはシーサイドタウンの中でお願いします。猫をつかまえて、スタンプカードに肉球スタンプを押させて
もらうのです。
つかまえる猫はノラ猫のみとし、キャットフードや猫じゃらしなど、道具の使用は自由です。
ただし、
『一枚のスタンプカードに一匹の猫から押せるスタンプは一つだけ』
にして下さい。
(つまり、四本の足すべての肉球を、一枚のカードに押すことはできません)
制限時間は日曜日の午前10時から午後4時まで。
時間内にスタンプを押せなかったり、スタンプを押していても受付まで戻ることができなければ、残念ながら失格となります。