- 0
- 0
- 種族
-
- 学年：職業
- 00月00日生 00歳
- AAA000000
出張！ 何でも鑑定ジャン！ in 寝子島
【出張！ お宝鑑定〔桜庭円さんと御剣刀くんの場合〕（１）】
「うぅ……まだまだゾクゾクします……」
光藻野は晴海 飛鳥の家をあとにしてからもしばらくこんな調子だった。
「いやー、愛ちゃんがこんなにユーレイが苦手だったとはねぇ。今度、ホラー系の番組の司会に推薦してあげようか？」
「……殺されたいんですか？」
「うん、ごめん。僕が悪かった」
三留目はジャンピング土下座で謝罪した。マジで殺されると思った。
と、そのときだった。
「すみません。鑑定をお願いしたいんですが」
一人の少年――御剣 刀が、友人の桜庭 円を連れて『鑑定ジャン』の一行に声をかけてきた。
刹那、光藻野がガバッと顔をあげた。
（イケメン少年キターーー！）
次の瞬間、彼女の殺気はどこかへ霧散してしまっていた。そのことにスタッフ一同がほっと深い安堵の息を吐く。
「……？」
何が起こっているのかわからない刀は無言のまま目を瞬かせ、
「おー、ほんとにテレビの人が来てるねー」
やはり何も知らない桜庭 円もカメラや照明を見て感嘆の声をあげた。
かくして第五、第六の依頼人が登場したわけであるが。
（……なんかさっき妙に凄い殺気を感じたんだけど）
もしかすると、また何か神魂絡みの事件が起きているのかもしれない。
御剣 刀は微かに肉体を緊張させながら、周辺に注意を怠らないようにしていた。
「はい。それではまず自己紹介からお願いできますかー？」
光藻野がそう言ってマイクをむける。
「寝子高一年の御剣刀です。旧市街で一人暮らしです。散歩をしていたら声が聞こえてきて、ちょっと興味があったので友達を誘ってきました」
刀の言葉に応じるように桜庭 円も一歩前へ出て、簡単に自己紹介をする。円の方のお宝は彼女のアパートにあるということなのでまずはこの場で先に刀の持ってきた『お宝』の鑑定をすることに。
「俺のお宝はこの細工箱です」
刀がカメラの前に持ち出したのは、流麗な文様の施された７寸ほどの大きさの四角い木箱だった。
「これは実家から持ってきたもので死んだ祖父が使っていたものなんです。箱には複雑な仕掛けが施してあって、それを解かないと開かないようになってるんです」
「へー、すごい」
光藻野は初めて見たのか、興味津々の様子でその細工箱を眺める。
「祖父はまだ若かった頃に親しかった友人からそれを貰ったそうです。これ、７２回動かさないと駄目な、かなり難しいやつなんです。祖父はちゃんと開けられたらしいんですけど、中身はそのまま取り出さずに箱の中に大事にとっておいたそうで。『開けることができたらお前にやろう』って言われて、俺も何度も挑戦したんですけど……」
結局、いまだ開けられていないんです、と刀は少し悔しそうに笑った。それから彼は少し遠い目つきになって、祖父との在り日の想い出について語った。祖父は生前その細工箱をずいぶん大事そうにしていたこと。祖父は彼に剣術を教えてくれて、彼は今も剣術の稽古を続けているということ、等々。
（……ノスタルジー系サムライボーイ。アリね！）
光藻野はそんな刀を見て、なんだかとても嬉しそうにぐっと拳を握り固めた。
それから彼女ははたと我に返ったように、自分の仕事を思い出し、
「素敵なお祖父様ですね。それじゃあこちらのフリップに予想金額をお願いできますか？」
と、フリップとサインペンを刀に手渡した。
「あ、はい。ええっと、年代が年代だから……５，０００円くらいかな？」
少し感傷に浸っていた刀も光藻野の声にはっと我に返り、少し考える仕草をしてからフリップに５，０００と書きつけた。
（本当のことを言うと、実際にいくらかっていうのは、わりとどうでもいいんだ。想い出に値段はつけられないからな）
だから、刀は別にどんなひどい鑑定結果で出ても気にしないつもりだった。それがどれだけ他人の目から見れば大して価値のないものだったとしても、刀にとっては祖父との想い出が詰まった大事な箱だからだ。
しかし、実際の鑑定金額は彼の予想を大きく上回るものだった。
『７８，０００円』
「おお、すごい！」
円が歓声をあげた。スタッフの間にもどよめきが走る。
だが、誰よりも驚いていたのは依頼人本人である刀だった。
「……マジか！？ 凄いな、細工箱！ さすが日本の技術だ！」
感嘆の吐息とともにそう言った刀に、外山はそっとその箱を返す。
「熟練の職人の技術によって生み出されたまさに匠の一本ですね。お祖父さんとの想い出と箱の中身も含めて、大切になさってください」
それに刀は力強く「はい」と頷いて、いつか必ずこの細工箱を自分の力で開けてやるという決意を新たにするのだった。
「うぅ……まだまだゾクゾクします……」
光藻野は晴海 飛鳥の家をあとにしてからもしばらくこんな調子だった。
「いやー、愛ちゃんがこんなにユーレイが苦手だったとはねぇ。今度、ホラー系の番組の司会に推薦してあげようか？」
「……殺されたいんですか？」
「うん、ごめん。僕が悪かった」
三留目はジャンピング土下座で謝罪した。マジで殺されると思った。
と、そのときだった。
「すみません。鑑定をお願いしたいんですが」
一人の少年――御剣 刀が、友人の桜庭 円を連れて『鑑定ジャン』の一行に声をかけてきた。
刹那、光藻野がガバッと顔をあげた。
（イケメン少年キターーー！）
次の瞬間、彼女の殺気はどこかへ霧散してしまっていた。そのことにスタッフ一同がほっと深い安堵の息を吐く。
「……？」
何が起こっているのかわからない刀は無言のまま目を瞬かせ、
「おー、ほんとにテレビの人が来てるねー」
やはり何も知らない桜庭 円もカメラや照明を見て感嘆の声をあげた。
かくして第五、第六の依頼人が登場したわけであるが。
（……なんかさっき妙に凄い殺気を感じたんだけど）
もしかすると、また何か神魂絡みの事件が起きているのかもしれない。
御剣 刀は微かに肉体を緊張させながら、周辺に注意を怠らないようにしていた。
「はい。それではまず自己紹介からお願いできますかー？」
光藻野がそう言ってマイクをむける。
「寝子高一年の御剣刀です。旧市街で一人暮らしです。散歩をしていたら声が聞こえてきて、ちょっと興味があったので友達を誘ってきました」
刀の言葉に応じるように桜庭 円も一歩前へ出て、簡単に自己紹介をする。円の方のお宝は彼女のアパートにあるということなのでまずはこの場で先に刀の持ってきた『お宝』の鑑定をすることに。
「俺のお宝はこの細工箱です」
刀がカメラの前に持ち出したのは、流麗な文様の施された７寸ほどの大きさの四角い木箱だった。
「これは実家から持ってきたもので死んだ祖父が使っていたものなんです。箱には複雑な仕掛けが施してあって、それを解かないと開かないようになってるんです」
「へー、すごい」
光藻野は初めて見たのか、興味津々の様子でその細工箱を眺める。
「祖父はまだ若かった頃に親しかった友人からそれを貰ったそうです。これ、７２回動かさないと駄目な、かなり難しいやつなんです。祖父はちゃんと開けられたらしいんですけど、中身はそのまま取り出さずに箱の中に大事にとっておいたそうで。『開けることができたらお前にやろう』って言われて、俺も何度も挑戦したんですけど……」
結局、いまだ開けられていないんです、と刀は少し悔しそうに笑った。それから彼は少し遠い目つきになって、祖父との在り日の想い出について語った。祖父は生前その細工箱をずいぶん大事そうにしていたこと。祖父は彼に剣術を教えてくれて、彼は今も剣術の稽古を続けているということ、等々。
（……ノスタルジー系サムライボーイ。アリね！）
光藻野はそんな刀を見て、なんだかとても嬉しそうにぐっと拳を握り固めた。
それから彼女ははたと我に返ったように、自分の仕事を思い出し、
「素敵なお祖父様ですね。それじゃあこちらのフリップに予想金額をお願いできますか？」
と、フリップとサインペンを刀に手渡した。
「あ、はい。ええっと、年代が年代だから……５，０００円くらいかな？」
少し感傷に浸っていた刀も光藻野の声にはっと我に返り、少し考える仕草をしてからフリップに５，０００と書きつけた。
（本当のことを言うと、実際にいくらかっていうのは、わりとどうでもいいんだ。想い出に値段はつけられないからな）
だから、刀は別にどんなひどい鑑定結果で出ても気にしないつもりだった。それがどれだけ他人の目から見れば大して価値のないものだったとしても、刀にとっては祖父との想い出が詰まった大事な箱だからだ。
しかし、実際の鑑定金額は彼の予想を大きく上回るものだった。
「おお、すごい！」
円が歓声をあげた。スタッフの間にもどよめきが走る。
だが、誰よりも驚いていたのは依頼人本人である刀だった。
「……マジか！？ 凄いな、細工箱！ さすが日本の技術だ！」
感嘆の吐息とともにそう言った刀に、外山はそっとその箱を返す。
「熟練の職人の技術によって生み出されたまさに匠の一本ですね。お祖父さんとの想い出と箱の中身も含めて、大切になさってください」
それに刀は力強く「はい」と頷いて、いつか必ずこの細工箱を自分の力で開けてやるという決意を新たにするのだった。
シナリオ
シナリオデータ
シナリオスケジュール
- シナリオガイド公開日
-
- 2015年04月18日
- 参加申し込みの期限
-
- 2015年04月25日 11時00分
- アクション投稿の期限
-
- 2015年04月25日 11時00分
