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- 学年：職業
- 00月00日生 00歳
- AAA000000
出張！ 何でも鑑定ジャン！ in 寝子島
【出張！ お宝鑑定〔後木真央さんの場合〕】
そして、桜庭 円のアパートを後にした一行は、さてそろそろ引きあげようか、というお開きムードに満たされ始めていた。
「よーし。六人も依頼人が来てくれたことだし、今日はこのあたりで――」
「ちょっと待ったなのだぁああああああああっ！」
そのとき耳をつんざくような凄まじい急ブレーキ音を響かせて、後木 真央が一行の前に姿を現した。
「……な、なんだなんだ！？」
真央の突然の襲来に目を白黒させる三留目。彼の目は真央よりもむしろ彼女が乗りつけてきたボロボロの自転車とそれに牽引されたリヤカーに釘づけになっていた。ほかのスタッフにしてもそれは同様だった。それぐらい真央が乗ってきた『名状しがたき自転車にリヤカーをくくりつけたようなもの』は目立つ存在だった。
「……ぜぇぜぇ。に、荷物タンデムカーでの全力疾走は思ったよりも体に堪えるのだ……」
それからしばらく真央はサドルに腰かけたまま肩で息をして、息を整えることに集中しなければならなかった。
それにしても、その日の真央の格好はとても面白かった。陸上部Ｔシャツに上下の赤ジャージ姿はいつものことなのだが、今日に至っては何故かジャージの上着の袖を首に巻きつけてマントのように着用し、あまつさえ頭には安全ヘルメットまで装着していた。
「……えーと、君も鑑定を依頼しに来てくれたのかな？」
「そ、そうなのだ！ 寮の先輩方の愛情がいっぱい詰まったお宝の鑑定を是非お願いしたいのだ！」
三留目の言葉に、真央は元気一杯そう応えた。
スタッフ達はすでに完全なお開きムードになっていたが、ここまで熱く語られてしまっては鑑定しないわけはいかない。むしろ鑑定したい。
「……わかりました！ それではまず自己紹介をお願いします！」
「はいなのだ！」
意を決したように光藻野が向けてきたマイクに、真央は元気に名乗りをあげる。
「真央ちゃんは寝子高体育科１年９組後木真央なのだ、猫鳴館寮生なのだ！ 寝子高のご自慢の寮の１つ、猫鳴館から猫鳴館の宝物をもって颯爽登場なのだ～！」
真央は右手に持ったデジカメであらかじめ撮影しておいた猫鳴館の外観をスタッフやカメラに見せながら、左手は腰にあてて「えっへん」と胸を張るポーズをとった。
「うわー、なんというかボロい寮ですねー」
と、そんな猫鳴館の写真に光藻野が思わずというふうに呟く。
「ではお宝の方を見せていただけますか？」
「はいなのだ！ お宝は――これなのだ！」
真央がビシッと指差したのは――さっき彼女が乗りつけてきた「あれ」だった。
「え……？ このボロ――ゲフンゲフン、この使い込まれた自転車とリヤカーが、ですか？」
「なのだ！ 名前は『荷物タンデムカー』！ 先輩の置き土産の自転車にリヤカーをくっつけたのだ！ ことあるごとに修理が必要な猫鳴館では大活躍のお宝なのだ！ あとピクニックの荷物運びなんかにも便利なのだ！」
「……じ、自分達で寮の修理をするんですか？」
「じつは猫鳴館は正式な寮ではないのだ！ なので、自分達のことは自分達でしないと駄目なのだ。けど、真央ちゃんたちはまだ高校生なのだ。つまり――」
『つまり？』
「猫鳴館はみんなの善意で成り立っていますなのだ！ 寄付はいつでも受付中なのだ！ 善意万歳！」
お前実はそれが言いたかっただけだろ、とスタッフの誰もが心の中で突っ込んだ。
「はい、よくわかりました！ では予想金額をどうぞ！」
「なのだ！」
やはり元気よく即答で書いた真央の予想金額は――。
『プライスレス』
まさかのプライスレス（値段がつけられない）だった。
「な、なるほどっ！ それでは実際の金額を見てみましょう。オープン・ザ・プライス！」
そして、実際の評価金額は――。
『０円』
まさかのプライスレス（価値ゼロ）だった。うん。だいたいあってた。
「いやー、０円というか、むしろ廃品回収業者にお金をとられるレベルですね。ですが、そのリサイクル精神はとても立派です。これからも大切にしてあげてください。皆さんの善意がたくさん集まるといいですね」
「なのだ！ テレビを見ている皆、真央ちゃん達に現金をわけてくれなのだ♪」
鑑定結果にはこだわらず最後まで元気な真央なのだった。
余談だが、この回の放送後、しばらくの間、全国から猫鳴館あてに現金ではなく不要になった衣類や小物などが大量に送られてくることになったという。
そして、桜庭 円のアパートを後にした一行は、さてそろそろ引きあげようか、というお開きムードに満たされ始めていた。
「よーし。六人も依頼人が来てくれたことだし、今日はこのあたりで――」
そのとき耳をつんざくような凄まじい急ブレーキ音を響かせて、後木 真央が一行の前に姿を現した。
「……な、なんだなんだ！？」
真央の突然の襲来に目を白黒させる三留目。彼の目は真央よりもむしろ彼女が乗りつけてきたボロボロの自転車とそれに牽引されたリヤカーに釘づけになっていた。ほかのスタッフにしてもそれは同様だった。それぐらい真央が乗ってきた『名状しがたき自転車にリヤカーをくくりつけたようなもの』は目立つ存在だった。
「……ぜぇぜぇ。に、荷物タンデムカーでの全力疾走は思ったよりも体に堪えるのだ……」
それからしばらく真央はサドルに腰かけたまま肩で息をして、息を整えることに集中しなければならなかった。
それにしても、その日の真央の格好はとても面白かった。陸上部Ｔシャツに上下の赤ジャージ姿はいつものことなのだが、今日に至っては何故かジャージの上着の袖を首に巻きつけてマントのように着用し、あまつさえ頭には安全ヘルメットまで装着していた。
「……えーと、君も鑑定を依頼しに来てくれたのかな？」
「そ、そうなのだ！ 寮の先輩方の愛情がいっぱい詰まったお宝の鑑定を是非お願いしたいのだ！」
三留目の言葉に、真央は元気一杯そう応えた。
スタッフ達はすでに完全なお開きムードになっていたが、ここまで熱く語られてしまっては鑑定しないわけはいかない。むしろ鑑定したい。
「……わかりました！ それではまず自己紹介をお願いします！」
「はいなのだ！」
意を決したように光藻野が向けてきたマイクに、真央は元気に名乗りをあげる。
「真央ちゃんは寝子高体育科１年９組後木真央なのだ、猫鳴館寮生なのだ！ 寝子高のご自慢の寮の１つ、猫鳴館から猫鳴館の宝物をもって颯爽登場なのだ～！」
真央は右手に持ったデジカメであらかじめ撮影しておいた猫鳴館の外観をスタッフやカメラに見せながら、左手は腰にあてて「えっへん」と胸を張るポーズをとった。
「うわー、なんというかボロい寮ですねー」
と、そんな猫鳴館の写真に光藻野が思わずというふうに呟く。
「ではお宝の方を見せていただけますか？」
「はいなのだ！ お宝は――これなのだ！」
真央がビシッと指差したのは――さっき彼女が乗りつけてきた「あれ」だった。
「え……？ このボロ――ゲフンゲフン、この使い込まれた自転車とリヤカーが、ですか？」
「なのだ！ 名前は『荷物タンデムカー』！ 先輩の置き土産の自転車にリヤカーをくっつけたのだ！ ことあるごとに修理が必要な猫鳴館では大活躍のお宝なのだ！ あとピクニックの荷物運びなんかにも便利なのだ！」
「……じ、自分達で寮の修理をするんですか？」
「じつは猫鳴館は正式な寮ではないのだ！ なので、自分達のことは自分達でしないと駄目なのだ。けど、真央ちゃんたちはまだ高校生なのだ。つまり――」
『つまり？』
お前実はそれが言いたかっただけだろ、とスタッフの誰もが心の中で突っ込んだ。
「はい、よくわかりました！ では予想金額をどうぞ！」
「なのだ！」
やはり元気よく即答で書いた真央の予想金額は――。
まさかのプライスレス（値段がつけられない）だった。
「な、なるほどっ！ それでは実際の金額を見てみましょう。オープン・ザ・プライス！」
そして、実際の評価金額は――。
まさかのプライスレス（価値ゼロ）だった。うん。だいたいあってた。
「いやー、０円というか、むしろ廃品回収業者にお金をとられるレベルですね。ですが、そのリサイクル精神はとても立派です。これからも大切にしてあげてください。皆さんの善意がたくさん集まるといいですね」
「なのだ！ テレビを見ている皆、真央ちゃん達に現金をわけてくれなのだ♪」
鑑定結果にはこだわらず最後まで元気な真央なのだった。
余談だが、この回の放送後、しばらくの間、全国から猫鳴館あてに現金ではなく不要になった衣類や小物などが大量に送られてくることになったという。
シナリオ
シナリオデータ
シナリオスケジュール
- シナリオガイド公開日
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- 2015年04月18日
- 参加申し込みの期限
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- 2015年04月25日 11時00分
- アクション投稿の期限
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- 2015年04月25日 11時00分
