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- 00月00日生 00歳
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出張！ 何でも鑑定ジャン！ in 寝子島
【出張！ お宝鑑定〔桜庭円さんと御剣刀くんの場合〕（２）】
「さて、次はボクの番か。じゃ、うちのアパートまで来て貰えます？」
桜庭 円にそう促され、一行は彼女のアパートへと移動することになった。
「色々と物語もあって、楽しい品だからきっと気に入ってもらえるんじゃないかなー」
アパートに到着した円は、手袋をはめてタンスの奥から高級そうな木箱を取り出して、そこから一冊の和紙に包まれた紙の束を机の上に置いてみせた。
いかにもな感じの『お宝』の登場にスタッフ達もにわかに色めき立つ。
「なんかそれ凄そうだな」
と、話だけは事前に聞いていたらしい御剣 刀も息を飲む。
「ふふふ」
と、円はまんざらでもなさそうな笑みを浮かべながら、そのお宝について記されたという祖父の手記を取り出し、ゆっくりとページをめくっていく。
「えっとね、御爺ちゃんによれば、これはアランっていう人の手記で、ラテン語にごく近い言葉で書かれたものらしいんだよね」
「ほう、ラテン語ですか」
「入手の経緯は――ええと、ここだね。うん、今から五十年前に、オークションで５００万円で手に入れたらしいよ」
『５００万円！？』
驚いた刀やスタッフ達の声が部屋にきぃんと響き渡る。
「五十年前で五百万ってことだからね。御爺ちゃんも物好きだなぁ」
円はカラカラと笑って説明を続ける。
「サヴァン症候群の宗教家、というか、まあいわゆるカルト系の人が書いた本で、独自のルールで書かれていて書いた本人以外誰にも読めないらしいんだよね。なんかそのカルトの肝――つまり悪魔崇拝・研究とか拷問術なんかについて書かれてあるっぽいらしいけれど」
「……？ 誰も読めないのに、どうしてそういう系統のことが書かれているとわかるんです？」
光藻野が質問を挟んだ。
「うん、なんでかって言うと、じつは御爺ちゃんの前の持ち主にあたる人が、気になって、数学者、言語学者、神学者、哲学者に解読を頼んだらしいんだよね。それで一定の成果があげられた人はみんなそっち系統の嵌っている人ばかりで、だからそういう解釈をされたみたい」
円はふぅっと大きく息をついてパタンと祖父の手記を閉じる。
「だから結局のところ、本当は何について書かれているのか、亡くなった御爺ちゃんも、ボクもよくわかってないんだ。ね、ロマンがあるでしょ？」
にこっと笑う円の笑顔はまだ見ぬ世界に恋焦がれる好奇心に満ちた少年のようだった。
「……なんか聞けば聞くほど凄いな。ていうか、ちょっとヤバくないか……。何か召喚されたりしないよな……？」
本気で心配な様子の刀をよそに鑑定は淡々と続いていく。
「それでは桜庭さん、フリップに予想金額をお願いします！」
「予想金額かー。うーん、まあお情けで１０万円ぐらい？」
「……１０万円！？」
驚きの声を上げたのは刀。
「んん？ そんなに驚くトコ？ だって、ただのラクガキって言われたらそれまでだし」
「……いや、まあそれはそうなんだろうけれど」
刀は「ううん」と友人の判断の潔さに唸り声をあげる。
「それでは鑑定結果も出たようなので、オープン・ザ・プライス！」
と、そこで三留目の声とともに注目の鑑定結果が出された。
その金額は――
『鑑・定・不・能』
「ええーーー！？」
今度は桜庭が驚きの声をあげた。
確かに簡単に値段のつけられそうな代物ではなかったが、それでは番組の意味がないではないか。
しかし、そんな円を諭すように外山は滔々と話す。
「これは紙の材質やインクのにじみ具合などといい、間違いなく歴史的資料価値のあるものです。ですが、そこに書かれているものがなんであるかを判断できない以上、私の一存ではたとえ仮にでも気安く価値をつけられるものではありません」
「うーん、そういうもの？」
円はまだ少し不満げだったが、そこに外山は重ねてこんなことを言う。
「それに、もしかすると、そこにはあなたのお祖父さんの手記のように、値段には置き換えられない大事な何かが書かれているかもしれない。いつかその価値がわかる人が現れるまで、それは大事にしまっておいてあげるのがいいと思いますよ」
「……うん、そうだね。もともと売るつもりはなかったしね。鑑定士さんの言ったように、ここにある本は全部ボクにとっての大事なものが詰まっているからさ」
円はふっと息を漏らして、またその手記をもとの木箱に戻して、大事にタンスの奥にしまっておいた。
これからもその手記は円の祖父の集めた数々の本とともに、大事な宝として扱われることだろう。
宝物の価値は必ずしも金銭に交換できるものばかりではないのである。
それはこの番組の趣旨からは少し離れてしまうかもしれない結論ではあるのだけれど。
「さて、次はボクの番か。じゃ、うちのアパートまで来て貰えます？」
桜庭 円にそう促され、一行は彼女のアパートへと移動することになった。
「色々と物語もあって、楽しい品だからきっと気に入ってもらえるんじゃないかなー」
アパートに到着した円は、手袋をはめてタンスの奥から高級そうな木箱を取り出して、そこから一冊の和紙に包まれた紙の束を机の上に置いてみせた。
いかにもな感じの『お宝』の登場にスタッフ達もにわかに色めき立つ。
「なんかそれ凄そうだな」
と、話だけは事前に聞いていたらしい御剣 刀も息を飲む。
「ふふふ」
と、円はまんざらでもなさそうな笑みを浮かべながら、そのお宝について記されたという祖父の手記を取り出し、ゆっくりとページをめくっていく。
「えっとね、御爺ちゃんによれば、これはアランっていう人の手記で、ラテン語にごく近い言葉で書かれたものらしいんだよね」
「ほう、ラテン語ですか」
「入手の経緯は――ええと、ここだね。うん、今から五十年前に、オークションで５００万円で手に入れたらしいよ」
『５００万円！？』
驚いた刀やスタッフ達の声が部屋にきぃんと響き渡る。
「五十年前で五百万ってことだからね。御爺ちゃんも物好きだなぁ」
円はカラカラと笑って説明を続ける。
「サヴァン症候群の宗教家、というか、まあいわゆるカルト系の人が書いた本で、独自のルールで書かれていて書いた本人以外誰にも読めないらしいんだよね。なんかそのカルトの肝――つまり悪魔崇拝・研究とか拷問術なんかについて書かれてあるっぽいらしいけれど」
「……？ 誰も読めないのに、どうしてそういう系統のことが書かれているとわかるんです？」
光藻野が質問を挟んだ。
「うん、なんでかって言うと、じつは御爺ちゃんの前の持ち主にあたる人が、気になって、数学者、言語学者、神学者、哲学者に解読を頼んだらしいんだよね。それで一定の成果があげられた人はみんなそっち系統の嵌っている人ばかりで、だからそういう解釈をされたみたい」
円はふぅっと大きく息をついてパタンと祖父の手記を閉じる。
「だから結局のところ、本当は何について書かれているのか、亡くなった御爺ちゃんも、ボクもよくわかってないんだ。ね、ロマンがあるでしょ？」
にこっと笑う円の笑顔はまだ見ぬ世界に恋焦がれる好奇心に満ちた少年のようだった。
「……なんか聞けば聞くほど凄いな。ていうか、ちょっとヤバくないか……。何か召喚されたりしないよな……？」
本気で心配な様子の刀をよそに鑑定は淡々と続いていく。
「それでは桜庭さん、フリップに予想金額をお願いします！」
「予想金額かー。うーん、まあお情けで１０万円ぐらい？」
「……１０万円！？」
驚きの声を上げたのは刀。
「んん？ そんなに驚くトコ？ だって、ただのラクガキって言われたらそれまでだし」
「……いや、まあそれはそうなんだろうけれど」
刀は「ううん」と友人の判断の潔さに唸り声をあげる。
「それでは鑑定結果も出たようなので、オープン・ザ・プライス！」
と、そこで三留目の声とともに注目の鑑定結果が出された。
その金額は――
『鑑・定・不・能』
「ええーーー！？」
今度は桜庭が驚きの声をあげた。
確かに簡単に値段のつけられそうな代物ではなかったが、それでは番組の意味がないではないか。
しかし、そんな円を諭すように外山は滔々と話す。
「これは紙の材質やインクのにじみ具合などといい、間違いなく歴史的資料価値のあるものです。ですが、そこに書かれているものがなんであるかを判断できない以上、私の一存ではたとえ仮にでも気安く価値をつけられるものではありません」
「うーん、そういうもの？」
円はまだ少し不満げだったが、そこに外山は重ねてこんなことを言う。
「それに、もしかすると、そこにはあなたのお祖父さんの手記のように、値段には置き換えられない大事な何かが書かれているかもしれない。いつかその価値がわかる人が現れるまで、それは大事にしまっておいてあげるのがいいと思いますよ」
「……うん、そうだね。もともと売るつもりはなかったしね。鑑定士さんの言ったように、ここにある本は全部ボクにとっての大事なものが詰まっているからさ」
円はふっと息を漏らして、またその手記をもとの木箱に戻して、大事にタンスの奥にしまっておいた。
これからもその手記は円の祖父の集めた数々の本とともに、大事な宝として扱われることだろう。
宝物の価値は必ずしも金銭に交換できるものばかりではないのである。
それはこの番組の趣旨からは少し離れてしまうかもしれない結論ではあるのだけれど。
シナリオ
シナリオデータ
シナリオスケジュール
- シナリオガイド公開日
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- 2015年04月18日
- 参加申し込みの期限
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- 2015年04月25日 11時00分
- アクション投稿の期限
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- 2015年04月25日 11時00分
