みんなで、かぼちゃ三昧！｜リアクション

みんなで、かぼちゃ三昧！

　【２】
　タルトを食べ終えた刀は、次に食べるものを決めかね、調理台の上を見回していた。
　と、同じく調理台の上を見回していた月と目が合う。
「常闇？　珍しいな。何作ったんだ？」
「かぼちゃのポタージュを作りました」
　尋ねる彼に、月が答える。
「私とシュー君と三人で、ミニコースとして作ったのです」
　横から言葉を添えたのは、美咲紀だった。
「俺がメインのグラタンを、美咲紀がデザートのプリンを作ったんだ」
　修も言った。
「へぇ、かぼちゃのミニコースか。そういうのも、悪くないな」
　うなずくと刀は、まずポタージュを口にする。それからグラタンと、最後にプリンを食べ終わると彼は、満足の吐息をついた。
「ごちそうさま。どれも美味かった。俺もスープを作ったんだが、常闇のも濃厚で美味かったよ」
「ありがとうございます。御剣さんのスープ、私もあとで飲んでみます」
　礼と共に告げる月に、「ありがとう」と返して刀は、美咲紀と修をふり返る。
「グラタンは、器を一緒に食べて初めてかぼちゃの味になるのが、斬新な感じがした。プリンは、濃厚で舌触りがなめらかで、もっと食べたくなった」
「丸ごとグラタンだよ。いいアイディアだろ？」
　修が笑って返す。
「そう言ってもらえて、うれしいです」
　美咲紀も、笑ってうなずいた。
　実はこのプリン、冷蔵庫で冷やしたあと、しっかり味見済みだった。
「シュー君、味見して」
　中身をスプーンですくって、あーんと美咲紀が口元に差し出したものを食べた修の感想は、「美味いよ、最高だ」というものだった。
　それでも、こんなふうに言われると、うれしい。
　そこに絢子がやって来た。
「今度は、かぼちゃでプリンです」
　と笑う修に、絢子はふふっとうれしそうに笑い返して、手にしたプリンの器を示す。
「もういただいているわ。……作ったのは、椿さんかしら？　とっても美味しくて、いくつでも食べられそうよ」
「余ったら、お土産に持って帰って下さいなのです」
　それへ、美咲紀が言った。
「ありがとう。そうするわ」
　絢子はもう一度笑ってうなずく。そして、器に残ったプリンを、美味しそうにたいらげた。

　陽太が最初に試食したのは、自分が作ったまんじゅうだった。
　持ち帰って知人にあげるつもりなので、美味しくできたかどうか、気にかかっていたのだ。
「昔母さんが作ってくれたのと同じだー。甘すぎなくて、ふわふわでー。きっと、二人にも喜んでもらえるなぁ」
　一つ食べてみて、メガネの奥の細い目を更に細くして呟く。
　それからふと、自分のの隣に並べられたまんじゅうの餡かけに気づいた。
「聖ちゃんのまんじゅうは、これかなぁ」
　一つを皿に取って、箸で半分に割る。
「これって、生地が全部かぼちゃなんだぁ」
　へぇーと感心しながら、軽く息を吹きかけて冷まし、熱々の餡と共に口にほうばった。
　そこへ、彼に気づいた聖が近づいて来る。
「呉井先輩、私のおまんじゅうは、どうですか？」
「美味しいよぅ。この餡がいい味出してるって気がするなぁ」
　答える陽太に、ちょうどそこで同じものを食べていた侑がうなずいた。
「そうそう。この餡が、おまんじゅうにジュワーと染みて、いい感じだにー」
「皮が、かぼちゃで出来ているのも、すごいアル」
　同じく、まんじゅうの餡かけを食べていた華菜子も言う。
「ありがとうございます。美味しく食べていただけて、うれしいです」
　聖は、微笑んで返した。
　それにうなずき返しつつ、華菜子は次は何を食べようかと、調理台を見渡す。
（どの料理も、すっごく美味しいアル）
　すでに半分以上の試食を終えた彼女は、かぼちゃとリンゴのシャーベットを皿に取りながら、胸に呟いた。
「私、今度はお菓子を作ってみたいアル」
　ぽそりと呟いた言葉は、並んだ料理を次々に写メしていた侑の耳にも届いたようだ。
「ウチも、お菓子が作ってみたくなったにー。美味しいお菓子が作れるのって、『女の子！』って感じがするよ」
「そうアルヨ。私も、お菓子作りの上手な子に、憧れるアルー」
　侑の言葉に、華菜子もうなずく。
（また三昧の会があったら、参加したいアルー）
　そんなことを胸に呟きつつ、彼女はシャーベットを口に運ぶのだった。

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みんなで、かぼちゃ三昧！

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