持ち込まれたコンテナを見やり、
白沢 絢子は目を見張った。
「まあ……! 本当にたくさんのかぼちゃね」
「ええ。今年は豊作でしてな」
コンテナを持ち込んだ男は、笑って頭を掻く。
この男、この近所に住んでいるが、定年退職後に旧市街の一画に畑を借りて野菜を作り始めたところが、面白くなってどんどん畑を増やし、今では採れる野菜の数も趣味の域をいくらか越えるほどになって来たのだという。
といっても、それで生計を立てるつもりはないのか、収穫したものはこうして隣近所に配っている。
「ありがとう。料理するのが、楽しみだわ」
微笑んで礼を言う絢子にうなずき、男はかぼちゃをコンテナごと置いて、帰って行った。
その翌日。
寝子高の食堂や校舎の掲示板に、募集を呼びかけるポスターが貼られた。
そこには、こんな文面が書かれている。
『かぼちゃ三昧の会、開催。
かぼちゃを使った料理やお菓子を作って、一緒に味わいませんか?
かぼちゃの料理・お菓子を作りたい方なら、誰でも参加可能です。
開催日時:来週日曜、朝10時より
場所:寝子高家庭科教室
参加費:無料
持参するもの:エプロン
参加申し込みは、白沢 絢子まで』
最後の一枚を貼り終え、絢子は呟く。
「
栗三昧の会の時には、みんなで賑やかに料理ができて、美味しいものが食べられて、とても楽しかったわ。今度も、そんなふうになるといいわね」
そして、楽しげに微笑むのだった。
こんにちわ。マスターの織人文です。
『栗三昧の会』に引き続き、今度は10月らしく、かぼちゃを使って料理をして、存分に味わおうという趣向です。
開催日:来週の日曜、朝10時より
場所:寝子高家庭科教室
持参するもの:エプロン
食材や調味料、調理器具は、家庭科教室にひととおりそろっています。が、特殊な食材や調味料などが必要な場合は、ご持参下さい。
なお、家庭科教室が使えるのは、午後2時ぐらいまでです。
下ごしらえに時間がかかる場合は、前日にある程度用意して来ていただいても、問題ありません。
参加に制限はありません。
寝子高の生徒はもちろん、小中学生でも料理ができれば参加可能です。
また、大学生や一般市民の方でもOKです。
出来上がったものは、最後にみんなで試食する予定ですが、多く作って持ち帰ったり、家族・友人などにあげてもかまいません。
それでは、みなさまの参加を、心よりお待ちしています。