みんなで、かぼちゃ三昧！｜リアクション

みんなで、かぼちゃ三昧！

エピローグ

　やがて試食も終わり、あとかたづけも終わった。
　使った食器類はきれいに洗って元の棚に収められ、残った料理はタッパーに詰められて、欲しい人が持ち帰ることになった。
　そうして、一同はそれぞれ絢子に礼を言って、家庭科教室をあとにする。
（まだちょっと、小腹がすいているな。帰りに何か少し……）
　教室を出て行こうとしながら、修はふと考えた。そして、美咲紀と月に声をかける。
「二人とも、まだ入りそうなら、パイが美味い店にでも寄らないか？」
「わーい、行く行く！」
　笑顔でうなずいたのは、美咲紀だ。結局、修と月の関係は普通に友達としか思えなかったので、躊躇なく食欲に従うことにした。
「他に予定もございませんし、私もご一緒します」
　月もうなずく。
「よし、決まりだな。……俺の知ってる店でいいか？」
「私は、それでかまいません。以前に連れて行っていただいたお店も、美味しかったですし」
　尋ねる修に、月が言った。
「私もそれでいいのです」
　美咲紀もうなずく。
　そんなわけで、三人はスイーツ二次会だとばかりに、肩を並べて教室をあとにした。
　彼らのあとから教室を出た陽太は、試食前に取り分けてあった自作のまんじゅうの入ったタッパーを提げていた。もちろんこれは、件（くだん）の知人とその姪にあげるためのものだ。
「へへー、二人とも喜んでくれるといいなぁ♪」
　一人呟き、彼は歩き出す。その足取りは、ずいぶんと軽かった。
　持参のタッパーに自作の料理を詰めたものを持っているのは、聖も同じだった。
（神社のみなさんにも食べてもらって、ぜひ感想を聞きたいです。……それから、黒兎先輩と森さんに教えていただいた料理は、次の休みにでも作ってみましょう）
　教室を出ながら、彼女は胸に呟く。そして、タッパーの入った袋を見やって、微笑んだ。
（今日は、本当にいい勉強になりました）
　そのまま、彼女は歩き出した。

　次々と参加者たちが帰って行く中、最後に残ったのはクルジッカと蓮だった。
「先生、今日は本当にありがとうございました」
　深々と頭を下げたのは、クルジッカだ。
「この会を催して下さったのもですが、料理ができないワタシに、手伝わせていただいて、うれしかったです」
「私の方こそ、手伝ってもらえてよかったわ。一人だと、きっともっと時間がかかっていたでしょうからね」
　おっとりと微笑んで言うと、絢子は付け加える。
「これを機会に、ヘルマゴルさんがもっと料理に親しんでくれると、私もうれしいわ」
「はい、がんばります。それでは、失礼します」
　元気よく答えてクルジッカは一礼すると、教室をあとにした。
　それを見送る絢子に、蓮が声をかける。
「先生、今日はありがとうございました。かぼちゃを下さった方にも、伝えておいて下さいますか。素晴らしいかぼちゃを作ってくれて、ありがとうございましたと、私がとても感謝していたと」
「伝えておくわ。……きっと、とても喜んで下さると思うわよ」
　うなずく絢子に、蓮は小さく笑って頭を下げる。
「よろしくお願いします。では、失礼します」
　言って、踵を返すと彼も教室を出て行った。
　その背を見送り、絢子は微笑む。
「今日の会も、大成功だったわね。……さて、戸締りをして、帰りましょうか」
　呟いて踵を返す彼女の腕にかかった紙バックの中には、かぼちゃプリンが二つ、ビニール袋に包まれてしっかりと入っていたのだった。

　ともあれ、こうして『かぼちゃ三昧の会』は、無事終了したのだった――。

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あとがき

担当マスター：織人文
ファンレターはマスターページから！

こんにちわ。マスターの織人文です。
参加いただき、ありがとうございました。

栗三昧の時もそうでしたが、今回も書きながら、かぼちゃの料理が食べたくなってしまいました（＾＾）
参加いただいたみなさまにも、少しでも楽しんでいただければ、幸いです。

それでは、またの機会がありましたら、よろしくお願いします。

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