木天蓼大学の日常　～休みの時間、何してる？～｜リアクション

木天蓼大学の日常　～休みの時間、何してる？～

【落ち行く夕日を見ながら】

　時間がたち、木天蓼大のキャンパスはだんだん夕闇に包まれてきていた。
「……ここが大学かぁ」
　キャンパスを眺めながら感慨深く大学を見るのは羽生碧南。
　彼女はこの日、部活を休んで、木天蓼大へ進学したバスケ部の先輩を頼んで寝子島キャンパスへ見学に訪れている。
　学校帰りなので当然制服姿での来校である。
　進路相談があり、そこで色々迷った。
　迷ったのは主に費用のことだったが、それ以外での勉強であり、スポーツであり、人生でも色々と困難が立ちはだかっている。
（経済的に厳しい状態なので高卒後は就職するつもりだったんだけど、バスケで評価されるなんて、思ってもなかったわね）
　時折、大学生たちとすれ違いながら碧南は心なしか落ち込んだような歩調でゆっくりと歩く。
　ふと、空を見上げれば黒と赤が入り交じった秋の空があった。
「色々悩んでいるけど、いたって普通の風景なのよね」
　言葉に出したことと反面、延々と自分の中で自問だけを繰り返す。
（スポーツ推薦で大学進学と言うのも悪くないけれど、マタ大は私立大だから学費がバカにならないし、奨学金は返済を巡るトラブルが社会問題になってるし……。もうどうすれば良いのだろう）
　向こうから、おーいという声がかかる。
　どうやら、待ち人が待ちきれずに向こうから来たようだった。
　そういえば、と進路相談のことを思い出す。
「全力でバックアップするぞ！」
　そう言ってくれた先生。
　そして、こうして時間を取って案内してくれる先輩。
　多分きっと普通のことなんだろうけど、そう言ってくれる、行動してくれる人達が居るのだと、こうして迷ってみて初めて感じたことが多い。
（自分は、応えることができるのかな？）
　夕日は既に身を潜め、夜の時間が世界を侵食する。
　まるで、夜の闇を振り払うかのように、碧南は大きな声で返事をするのであった。

おわり

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あとがき

担当マスター：じんの
ファンレターはマスターページから！

どうもお疲れ様です。
木天蓼大学の日常へのご参加ありがとうございました。

合コン談義をどうつなぐかとか、絡みをどうするかなど
色々唸りながら執筆していきましたが、いかがでしたか？

このなんということのない日常を少しでも彩ることが出来れば幸いです。
また、今回のこのシナリオでじんのはらっかみのマスターを休止いたします。
やや急ぎなので、あとがきにて失礼させていただきます。

私事都合で恐縮ですが、今後復帰する見込みはほぼありませんので……。
申し訳ありませんが、今作で私のシナリオは最後になります。

この素晴らしい世界観のマスターを出来たことに感謝すると共に、
運営様や、プレイヤー様方には感謝を。
また、どこかでお会いしましょう。

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