木天蓼大学の日常　～休みの時間、何してる？～｜リアクション

木天蓼大学の日常　～休みの時間、何してる？～

【近道、抜け道、通り道？】

「１５分をもっと有意義に過ごすためにも、近道を見つけてみせるっすよ！」
　三限終わりのテンションで高らかに宣言したのは霧桐舞衣であった。
　周りにはほかの学生も居たが、彼女の目に入ることはなかった。
「とりあえず、窓からっすね」
　一階の窓から外に出る。そして、誰も通らないであろう道なき部分を踏破し、連絡通路にでる。
「前の講義の質問なんかしてたら、次の講義に余裕で遅刻っすよ。うーん、どこかに近道はないものっすかねぇ……」
　という動力の元、連絡通路の通路を使わずに突っ切り、植え込みをかき分け誰も使わないような階段を上り、次の教室へと移動する。
　次の講義は別の棟なので、もう一工夫してショートカットする必要がある。
（食堂とかはむしろ回り道になりそうっスね）
　ちなみに、どうしてそんな行動を、と聞かれたらきっとこう答えたに違いない。
「他校と比べて特別広いってわけじゃないっすけど、どうにも講義の合間の貴重な１５分の大半を移動時間に割いてしまうなんて勿体ないじゃないっすか」
　という、舞衣独特の価値観によりショートカット作戦、もしくは探索は決行されたのである。
　話しかけられても生返事で、とにかく急いで移動して……。
「結果的には変わらなかったッスねぇ」
　移動したときに付いた草とかを落としたり、煤のようなものを払ったりで結果的に普通に移動した場合とさして変わらないという計測がはじき出された。
「それが分かっただけ良しとするッスね！」
　そんな風に結論を出しつつ、次の講義の順位をするのであった。
　総合的に見て、教室の場所によってはまちまちなので、次の移動教室の場所次第ではまたやるかもしれないのだが……、そんなこんなで彼女の15分は終わった。

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