【生徒会選挙】歴代生徒会長からの挑戦状～寝子高バザール！｜リアクション

【生徒会選挙】歴代生徒会長からの挑戦状～寝子高バザール！

●これはデートですか？　はい、爆発してください

　寝子中で生徒会会計として活動する中３の鬼崎つくしは、来年寝子高に受かったら生徒会に入って活動したいと思っていた。そんな風に頑張る姿を見せれば、恩人であり現在進行形の初恋の相手であるところの冴木竜司が自分をもっと見てくれるのではないかという思惑もありつつ……おっとこれは、竜司には内緒だが。
　つくしの思い描いている未来予想図は多分こんな感じだ。
　生徒会の一員として活躍！
　そして、つくしは竜司の胸へ飛び込み一言。
「貴方が救ってくれたあの子はこんなに立派になりました！」
　きっと彼は言うだろう。
「つくしちゃん！　君は立派だ、惚れ直したよ！　ああッ、二人の愛はあの夕日より赤く燃え盛るのさ！」
　がしっと抱き合う二人。

（うん、プランはばっちりです！）
　では将来の参考に、というわけで、竜司に頼んで今日のバザーに連れて来てもらったつくしであったが……。

「これが選挙……？　完全にお祭りか何かですよね、これ……」
　つくしは遠い目をしていた。
「まあ、つくしちゃん。色々言いたい事が有ると思うがこれが寝子高の選挙なんだ……フリーダムだろう？」
「フリーダム過ぎませんかね……というか、他の年の選挙内容が気になるんですが、これ」
「もし、来年入学して生徒会に入ろうと思っているなら……覚悟してた方がいいと思うぜ？」
「……どうしよう、来年の選挙に不安しか覚えない！」
　顔を手で覆うつくしに、竜司は白い歯を見せてニカッと笑う。
「その時は俺も手助けするからさ！」
「……お兄ちゃん！」
　やっぱりお兄ちゃんは頼りになる！　つくしの恋心が急上昇する。

「……さて、折角だし少しショッピングでもするか！」
　ウィンクした竜司の手をつくしはそっと握りしめた。
　竜司はそれを拒まない。
　ドキドキして、掌に汗をかいてしまいそう。
（……これ、デートって周りの人に思われちゃうのかな？　……そうだと嬉しいな）

　一緒に見て回るバザーは楽しくて、時間が過ぎるのを忘れてしまう。
　とくにシーウェーブは素敵なグッズが目白押しで、ふたりはお互いに内緒でプレゼントを買う。

「はい、お兄ちゃん。今日案内してくれたお礼」
　つくしが竜司に差し出したのは、手作りシーグラスネックレス。
　爪先立ちで腕を回し、彼の首に掛けてあげる。
「……似合ってるよ」
「そうか？　へへ。……じゃあこれは俺から、つくしちゃんへプレゼント」
　お返しに竜司がつくしの手に握らせてくれたのは、座って首を傾げている白猫のチャームが可愛らしいレザーブレスレットだ。
「これから受験とか色々大変だろうけど俺は応援してるから」
「お兄ちゃん……」
「それともあの時の約束みたいに約束でもするかい？　俺の妖精さん？」
　頭を優しく撫でる竜司の手に、つくしの乙女心は今にも張り裂けそうなほど高鳴っている。
「嬉しい！　私大切にするね！」

　この瞬間、今日はデートだった、と二人とも心から思っていた。
　つくしが竜司の手の中に、もう一つ同じブレスレットが握られているのを見つけるまでは。
　ああウカツ！　竜司に大切に想って貰っていることに感じ入っていたのだから、つくしだって、こんなことを聞かなければ良かったのに！
「……ところでもう一つは誰にあげるの？」
「ん？　それは勿論まゆ先生への……」
　その名前を耳にした途端、ぶわり！　黒い嫉妬の波動がつくしを包み込んだ。
「まゆ先生……ふーん……お兄ちゃん歯ァくいしばって」
「ちょ、つくしさん？　何故怒ってるの……」

「ふざけんな腹パーンチ！！」

「どいひーーーー！！！」

　吹っ飛んでゆく竜司お兄ちゃん。
「……フン！」
　ＹＯＵ　ＷＩＮ！　とばかりに鼻を鳴らすつくしだったが、貰ったブレスレットを見つめると自然と頬が熱くなる。怒ってはいても、内心は嬉しい。嬉しいに決まっている。だって。
（大好きなお兄ちゃんからのプレゼントだもん！）