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アイドル・ヘルプコール
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chapter.6 ヒットアンドアウェイ
さて、旧市街の方はどうなっているだろうか。
こちらは星ヶ丘とは打って変わって、すこぶる順調にキャンペーンが広まっていた。
「こんにちはぁ」
歩きタバコを見かけては積極的に声をかけているのは、瑠樹だ。
小さな子供、ということもあるのか、大抵は立ち止まって話を聞いてくれる。さらに言えば、小学生に「歩きながらは危ないから、止まって吸った方がいいよぉ」と言われてしまえば身も蓋もないのが歩きタバコ側の立場である。
ただ、瑠樹ひとりではすべての歩きタバコに話しかけることが難しいのもまた事実。
現に、歩きタバコをしたまま駅前を通っていく人も何人か見受けられた。
その中でも異彩を放っていたのが、旧市街のごく一部の間で「ポイ捨ての銀」と呼ばれている老人だ。
彼は「本当に吸ってるのか?」と疑いたくなるようなペースでタバコをポイ捨てしていた。彼の歩いた後には、吸い殻が点々と続いているのだ。
さすがにそこまで目立つ人物がいれば、瑠樹も気付くし真っ先に話しかけようと思うのが当然だ。
「おじいさん、これ……落としたよぉ?」
銀が捨てたタバコを拾って、後ろから声をかける瑠樹。しかし彼は聞こえているのかいないのか、小学生相手にスルーという恐るべき技で対抗してきた。
「ねぇ、おじいさんってばぁ」
瑠樹がくいくい、と銀の服の裾を引っ張った。そこでようやく銀も瑠樹に気付いたのか、ゆっくりと後ろを振り返る。そこで銀が言った言葉は、瑠樹の善意を真っ向から否定するものだった。
「捨てたんじゃよ。拾わんでいい」
あまりに乱暴な答えに、瑠樹はぷう、と頬を膨らませた。ここで引き下がっては、キャンペーンに協力した意味が薄れてしまう。
瑠樹は頑張って食い下がった。
「あのなぁ、おじいさん。捨てる時は、ちゃんと捨てていい場所に捨てた方がいいよぉ。灰皿ならあっちに……」
「うるさいわガキ! わしがそこに捨てたんじゃから、ぶつくさ言うでない!」
まさに外道。ゲスの極みである。こんな大人にはなりたくないものだ。ふつうの小学生なら、ボロボロ泣いてもおかしくないところだが、おおらかというかマイペースな性格が幸いしたのか瑠樹は泣くどころか、悲しい表情すら浮かべなかった。
機嫌が悪いのかなぁ、くらいに思ったのだろう。きっとこの子は大物になる。
そのまま去っていく銀を追いかけまではしないものの、瑠樹はその背中に「たばこの火は熱いから、気を付けてなぁー!」と呼びかけた。
それが銀の耳に届いたかは分からない。
瑠樹は、彼が去った後に残った吸い殻をひとつひとつ丁寧に火を消しながら回収していくのだった。
銀の歩行ルートはなんとも珍妙だ。
ふらっと駅前まで来たかと思えば、そのままどこかへいなくなり、また少しすると駅前に戻ってくる。別にどんなルートを辿ろうが構わないのだが、所構わず歩きタバコとポイ捨てをするため周りからしたらいい迷惑である。
そんな彼が、何回目かの駅前に足を運んだ時だ。
なにやら聞き慣れない音が、彼の耳に入ってきた。それは、ラジカセから流れる音楽と、それに合わせた女の子の歌声。
そう、アイドルとしての円のパフォーマンスだ。
普段路上ライブをしているのはシーサイドタウンエリアが多いせいか、馴染みがなかったのだろう。銀は首を傾げた。
が、自分にはどうでもいいこととすぐに疑問を放り出し、またタバコを吸い始める。そして吸ってるそばから、捨てる。その吸い殻は、歌い踊る円の近くにも投げ捨てられた。
「……んー、これは、まだボクの力が足りてないってことなのかな」
円は仕切り直しだ、とばかりに最初の挨拶から始めることにした。もちろん、銀が近くにいることを承知の上で。
「どうも、Citrus Cat'sです! 今回、歩行者マナー向上イベントのキャンペーンガールのお仕事をいただきました! お時間があれば、見ていってください!」
アイドルとしてのアピールもしつつ、しっかりとマナー向上も訴える。そうして円は、自分たちの持ち曲を一曲披露した。
足下では、にゃーくんももぞもぞと動いている。一緒に踊っているつもりなのかもしれない。
しかし、そんな円のパフォーマンスも、猫のダンスも、銀にはどうでもいいことだった。
吸って、捨てる。それだけが、彼のアイデンティティなのである。きっと本人にそもそもマナーうんぬんの意識がゼロなのだから、マナーの向上を呼びかけたところで暖簾に腕押しなのだろう。
「ビラを配った方が、もしかして効果的だったのかな」
一瞬、円はそんなことを考える。しかし、この方法を志願したのは他でもない自分なのだ。
ビラに頼るより、自分の言葉で伝えたい。そう願い出て、円はこのキャンペーンと向き合っている。
そのことを思い返し、円は真っ直ぐ前を見つめた。視線の先には、相変わらずタバコを遠慮無く捨てている銀の姿。
円は大きく息を吸い、そして自分が感じたままの言葉を吐き出した。
「ボクがパフォーマンスをしていて、凄く感じたことがあります」
それまで元気に歌ったり踊ったりしていた円が真剣な表情で言葉を紡ぎ出したことで、通行人がちらほらと足を止める。銀も止めた。でも、ただ火をつけるために止まってただけだった。
「それは、ひとりじゃないんだな、ひとりじゃ出来ないんだなってことです。やっぱり笑顔で帰って欲しいとか、楽しんで貰えてるかなとか、そういうのをすごく意識しちゃう。意識しちゃうと、それはもう他人じゃなくなる気がするんだ」
町を歩いている各々は、他人かもしれない。けど、なにかのきっかけで意識した時、その関係性は少しだけ変わる。円にとってそれが、アイドルとしての活動だったように。
「みんなもひとりじゃないって、意識してくれたら……小さなことなら、譲ったっていいじゃないかって思ってくれたら、マナーなんて考えず、当たり前に親切になれる。そんな気がして」
一拍置いた円が、笑って告げた。
「今よりもっと素敵な島になれたらいいなって、そう思っています」
お辞儀をして締めた円。ギャラリーから、ぱちぱちと拍手が聞こえた。円は自分の思いが伝わってくれたのだと嬉しくなり、銀の方に目を向けた。
彼は、あさっての方を向いてタバコを吸っていた。
「や、やっぱり力が足りてないのかなあ……」
がく、っと肩を落とす。でも、彼女の言葉は、銀にこそ伝わらなかったものの、駅前に集まっていたギャラリーたちには少なからず染み渡ったのは間違いない。
現に、これ以降の時間帯、歩きタバコを見かける率は減っていたのだから。
ただ、問題はやはりポイ捨ての銀である。
小学生のお願いも、女の子の力説も届かない彼にそれをやめさせるには、どんな手段が残されているというのか。
「この作戦を使わずに済めばそれでいいと思ってたけど、仕方ないな」
瑠樹や円の頑張りを見ていた博美が、そう言って立ち上がった。相変わらず不穏な空気を漂わせ、手にはコップを携えたまま。
博美は、気配を消してすっと銀の背後についた。
元々他人を気にするタイプではないのだろう、銀はそれに気付く様子もない。ただ駅前周辺を、吸ったり捨てたりしながらうろついているだけだ。
「……なるほど、タイミングが掴めてきたぞ」
博美は、それをしばし観察していた。一体何のタイミングを計っているというのか。その答えは、直後彼女が行動で示した。
銀が吸ったものの火を消さず、何度目かのポイ捨てをしようとしたその瞬間。
「うおおっ!!?」
博美は、いつの間にか水をたぷたぷに入れたコップを思いっきり銀にかけた。突然のことに、思わず銀も大声を上げる。
咄嗟に振り向く銀だったが、そこには誰の姿もない。
「……な、なんじゃあ!?」
実は水をかけた直後、博美はろっこん「トンビの飛翔」を使って軽やかに宙を舞い、やや離れたところまでひとっ飛びしていたのだ。これにより、銀が振り返った時にはもう彼女の姿は見えなくなっていた。
要するに、ヒットアンドアウェイである。
「な、なんだあ……?」
首を傾げながら、再度火をつけようとする銀。しかしポケットに入れていた箱ごとずぶ濡れになってしまっていたため、もう彼のアイデンティティは奪われていた。
まさか、こんなシンプルな実力行使が一番手っ取り早かったとは。
もちろん、日が変わればまた彼は所構わず吸ったり捨てたりを繰り返すだろう。しかしきっとその時はまた、博美がコップ片手に忍び寄り、水をかけては空を滑空して妖怪の仕業にでもするのだ。
さすがに何度も、何日もそれが繰り返されれば、銀とて無駄な喫煙はやめるだろう。少なくとも、この地では。
その日が訪れるまで、博美はヒットアンドアウェイを続けるのだ。たぶん。
瑠樹と円は、それをなんともいえない複雑な表情で見つめていた。人として正しい正しくないをあえて言うのであれば、おそらく彼らの方が正しい。しかし世の中は、正しいことだけでは成り立ってはいないのだ。でも僕は、ぜひそのままの心で大人になってほしいと思う。
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
萩栄一
シナリオタイプ(らっポ)
シルバーシナリオ(150)
グループ参加
2人まで
シナリオジャンル
日常
コメディ
定員
15人
参加キャラクター数
15人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2015年03月09日
参加申し込みの期限
2015年03月16日 11時00分
アクション投稿の期限
2015年03月16日 11時00分
参加キャラクター一覧
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