【中間テスト】テスト狂想曲　～先生問題作ってよ？！～｜リアクション

【中間テスト】テスト狂想曲　～先生問題作ってよ？！～

＊久保田先生の場合（その３）：皆でほっこり、美味しい時間

　久保田美和は完全にやる気を取り戻し、今は「次こそは……！」と元気も取り戻していた。そして、畑中華菜子の提案にも快く応じる。
「みんなのお陰でなんだか心が軽くなったわ。そうね、ラーメンおごっちゃおう！」
　美和の言葉に、それぞれ喜んだり戸惑ったりしている。その様子を見ながら瓜山メイもまた楽しそうに微笑んでいる。

　そして放課後。１１人の姿は旧市街の『猫島軒』にあった。みんなでわいわい言いながら、お店自慢のラーメンを食べるのは、どこか胸の中がほっこりする。
「なにはともあれ、問題解決になってよかった」
「あとはまぁ……中間テスト、か」
「それは言わない約束で」
　華やかな女性陣の様子をみつつ御剣刀、周泰五、須崎蒼志の３人が並んでラーメンをすする。今はともかく、美和が立ち直った事を素直に喜び合おう、と小さく肯き合ってちらり、と美和たちの様子を見た。
　泣きはらしたけど、すっきりした顔の美和。彼女を囲む女子生徒たちとメイ。楽しげな様子に、自分たちも少しは力になれたかな、と小さな喜びが沸いて、思わず笑みがこぼれた。

「やっぱり、人間ってお腹がすくとよくない事を考えがちになるアル。だから、皆で美味しい物を食べるアル！」
　という華菜子の提案でこうなった訳だが、おしゃべりしながらラーメンを食べるのもまた格別である。
　熱いのでふぅふぅと冷ましながら口に運べば、醤油ラーメン独特の懐かしい風味が舌に広がり、仄かに感じた海鮮の味がお腹に安心感を与える。心からの笑顔を浮かべた美和の様子に、４組の生徒たちだけでなく、今回関わった皆もまた、笑顔になった。
「なんだが、安心しました」
「ホントに、よかった……ね」
「はいっ。これでまた、いつものみっちゃん先生です」
　メイと緋紅朱赫乃、薄野五月が肯きあう。赫乃は語らいながらも隣の美和の様子を見て、自分も頑張ろう、と心に誓っていた。確かにまだ、引っかかる物はあるのだが。
（それにしてもなんで愚痴聞くためにきたのに僕は相談したんだろうか。それも、多分、あの場でもっともアテにならなそうな相手に対して、さ）
　眼鏡の曇りも気にせず麺をすする伊賀解理の様子に、夢宮瑠奈がくすっ、と笑う。思わず「何だよっ！」とつっこみを入れる解理だったが、笑顔になった美和の様子を見て、
「まあこれで気分転換できてテスト制作に戻ってくれれば、それはそれでいいのか、な？」
「うん。きっとそうだよ！」
　瑠奈も笑顔で肯き、幸せそうにラーメンを食べる。自分の恋心はもやもやしたままだが、まぁ、今はテストに向かってがんばろう、と気持ちを切り替える解理だった。

　旅鴉月詠は何気なく穏やかな気持ちで店の様子をスケッチする。色んな生徒に慕われる美和を中央に書いたその絵は、素朴ながらとても優しいタッチになっていた。
（いい絵に、なったな）
　自然と口元が綻ぶ。と、華菜子がちょっとみせて、と聞いてきた。肯いて絵を見せれば、嬉しそうに瞳を細める。
「これ、とっても暖かい絵アル。見ていて心が丸くなって、幸せそうアル！」
　その言葉に嬉しく思いながら、月詠は出来上がったら美和に送ろう、と何時になく優しい眼差しでそう思った。

　蛇足だが、支払いの際美和とメイがなにやら相談していた。どうやら２人で出してくれたらしい。生徒たちは２人の先生に心から頭を下げたそうな。

　その帰り道。美和はメイと並んで歩きながら静かに言う。
「私は、幸せ者だなって、思ったよ。だって、みんなに励ましてもらえたから」
「だったら、お互いに……がんばりましょう。恋も、仕事も」
　美和とメイは笑いあう。そして、まずはテスト問題をがんばってつくろう、と気合いを入れなおすべく、エナジードリンクを買いにコンビニへとよる２人だった。

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