【中間テスト】テスト狂想曲　～先生問題作ってよ？！～｜リアクション

【中間テスト】テスト狂想曲　～先生問題作ってよ？！～

＊ウォルター先生の場合（その２）：探せ！　問題のデータ！？
　
　八神修と日暮ねむるは職員室へやってきた。ふと、伊東先生の机を見ると何人かが先生と対峙しているのが見えた。ウォルター・ブラックウッドの机にあるノートパソコンの前で２人は「よし」と意気込む。
　最初にデータのサルベージに挑むのはねむるだ。彼は眠そうに欠伸をかみ殺しつつ、隠しフォルダの検索もかねて１つずつチェックしていく。
（さすがに目が疲れて眠くなってきたけど、ここが踏ん張りどころかな？）
　とチェックを淡々とこなし、ふぅ、と溜息。チェックが終わったところでバックアップデータがないかチェックすれば、幾つか残っていたのを発見する。
（ビンゴ！）
　パチン、と指を鳴らし、ねむるはすぐさまピックアップ。これがやる気を取り戻すきっかけになれば、と期待する。
「データ発掘はこれぐらい、かなー？」
　モニターに噛り付いていたねむるは、欠伸をしながら伸びをすると修へとバトンタッチ。今度はデータの修復である。
「次は俺だな」
　作業を始める前に、別のパソコンを使ったか否かなどの確認も取れている。試験の問題は基本職員室にあるパソコンで作成しているとの事だった。
「任せてくれ。こいつで上手くいくはずだ」
　と取り出したデータ復元ソフトを使い、後は出来上がるのを待つだけだ。
「ところでさ、これって……」
　ふいにねむるが声をかける。修は「ん？」と顔を上げて答え……なぜか猫の写真集が机の上に乗せられている事に気がついた。夏朝の所業である。
「なかなか可愛いな」「そーだねぇ」
　ねむると修は、データ修復が完了するまでの間、猫の写真集を見て過ごしたという。

　華道部の部室からでた椿美咲紀と後木真央は顔を見合わせて溜息を吐いた。ウォルターが紛失した白いUSBは、ここには無いようだ。
　先ほど、修が一般生徒に対し「ウォルター先生の青春がつまった白いUSBが紛失した。一緒に探して欲しい」などの放送もあったが、見つかったという連絡は来ていない。
「射撃部にいくのだ。色々準備をするのだ」
　真央がにゃふっ、と張り切る。美咲紀も肯き、２人は急いで射撃部の部室へ向かった。
　射撃部の部室内は、部員たちによって魔改造レベルにまで改装されていた。ユニット畳にログハウス風の壁紙、保冷庫にいろいろなものが入った棚。そしてロフトがある。外にはアヒル用の池まである。
　射撃部は基本整理されており、白いUSBがあれば直ぐにわかるだろう、と２人は思った。しかし、見当たらなくて僅かに焦ってしまう。
「！　こんな時こそ、練習するのですっ！」
　心を落ち着けなければ、と美咲紀は道具を取り出し、練習場へ向かう。真央は真央でコーヒーメイカーが動く事を確認し、美咲紀へとコーヒーを淹れる。
（ウォルちゃんせんせーもここでゆっくりして欲しいのだ。みんなで寛げばやる気も帰ってくるのだ）
　そんな事を思いながら練習場を見れば、真剣な表情で的を見つめる美咲紀の姿があった。背筋を伸ばし、銃を構えて引き金を引く。
（あっ……）
　的の端っこが見事に打ち抜かれる。頭を真っ白にしたいとおもいつつも妙に落ち着かず、もう一度深呼吸をする。……と、かたり、と何かが落ちる音がした。振り返ると、白いUSBがそこに転がっていた。

　一方、保健室。添木牡丹の提案でウォルターの道具（パソコン以外）が持ち込まれ、直ぐにでも作業できる状態になっていた。