【中間テスト】テスト狂想曲　～先生問題作ってよ？！～｜リアクション

【中間テスト】テスト狂想曲　～先生問題作ってよ？！～

「よし……！　やるぞ、志波！　私は作り上げてみせる！！」
　いつの間にか、がっしと手を握り合って意気込む２人。智瑜は「そんな先生も素敵です」と瞳をキラキラさせながらこっそりハート型を作っていた。
「それじゃあ、皆でやってみようよー！」
　円も釣られてそういえば、ソースを作り終えたあやめも加わってハンバーグ作りに熱中するのであった。

　……ところで、当初の目的は忘れていないよね？（チラッ）

　とまぁ、色々ありながらもハンバーグは完成。たくさんのハンバーグに拓郎は思わずほっこりとした顔になる。
「いい匂いだな……」
「本当ねぇ……」
「早く食べたいな……」
　おもわずよだれが出そうになる幸太と碧南、拓郎の３人。体育科トリオの様子に思わずくすっ、と笑いつつもあやめはお茶碗にほかほかご飯を乗せる。
「けっこうたくさんつくりましたし、おかわりもありますよ～」
「はわわっ！　みんなでハンバーグパーティーだぁ♪」
　空音が嬉しそうに声をあげ、全員席に着く。
「お肉～♪　お肉大好きー♪」
　円がにこにことしていると、そろそろ食べようか、と義弘が皆に言う。そろった所でみんなで手を合わせて、
「「いただきまーす！」」
　賑やかに楽しい食事の時間。チーズを中に入れたハンバーグは、箸を入れると熱々のチーズがとろり、と現れて実にまろやかな口当たり。チーズを上に乗せるとチーズの舌触りにお肉が包まれてこれまた実に美味しい。
「後乗せも、いいものだな……」
「中に入れるのも、美味しい……」
　熱い論争を繰り広げていた義弘と碧南は思わずほっこり。そんな時に服の裾を摘ままれば、左隣にいた智瑜が愛らしい笑顔で
「せ・ん・せ・い、はい、『あーん』（はぁと）」
　と一口大に切ったハンバーグを差し出していた。これには思わず赤くなる義弘。因みにボタンが２つ外されていたので、義弘の視線が思わず智瑜のふんわりとしたバストに行ってしまう。
　実は調理中もときたまチラチラ見えたりしており、ちょっとドギマギしていたのはここだけの話だ。
　赤くなりつつも口に入れて食べれば、「有難う」と微笑む。それだけで智瑜は嬉しそうに肯いた。
（先生お手製のハンバーグ、美味しいです……♪）
　恋する乙女は、幸せそうに微笑んだ。

「うーん、先生、何か悩み事ってあります？」
　食事が一段楽した所でふと円が義弘に問う。皆が見つめる中、義弘は穏やかに答えた。
「少しばかり、自分で作る料理のレパートリーの事で悩んでいた。けれど、今日の事で解決しそうだ」
　その言葉に、円は少し嬉しくなる。まだあるならば、どんどん言って欲しい、といえば、義弘は感謝からか僅かに表情を緩める。
「そうだな……。誰かとこんな風に料理をするのも、楽しいものだな。いつもより、とても楽しい」
　その言葉が、生徒たちの表情を明るくする。
　円は改めて義弘を見、嬉しそうに口を開く。
「桐島せんせーは、すてきな先生、すてきな大人だって、思います。少し厳しいと思う面は勿論ありますが、ボク達の為だとわかっています」
　円は、愛猫のにゃーくんが今より幼かった時、学校につれてきていた。その際、相談に乗ってもらっていたのだ。その事を思い出しながら、顔を上げ、義弘の目を改めて見て、言った。
「だから、ボクは、桐島先生が担任で幸せだなって思っています」

　――その瞬間、義弘の表情が変わる。

「そう、だな……」
　義弘は眼鏡を正し、いつもより穏やかな表情で顔を上げた。
「そう言って貰える私も、幸せ者だな……。私も、そろそろ自分の役目を、ちゃんと果たさなければ……」
　義弘が１つ肯くと、光の粒が弾けて消えた。

【桐島義弘は、やる気を取り戻した！】

　みんなが「よかった……」と安堵するなか、空音が「はーいっ」と手を上げた。
「ねぇねぇ、桐島せんせーの本命は誰なの！？　浅井せんせーとも五十嵐せんせーともいちゃいちゃしてるしー」
「そこで何故にそうなる」
　思わず突っ込む義弘だった。

　因みに義弘がどんなタイプの女性が好みなのかは、この場で明らかにならなかった事を追記しておく。