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進路相談、君等の道2【普通科編】
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●普通科1年2組その2
【
朝鳥 さゆる
の場合】
桐島先生が廊下に出たのは、一寸休憩のつもりだった。
ショートカットの似合う長身の少女が鞄を片手に下校しようと通り過ぎる。
桐島先生は咄嗟に彼女の腕を掴む。
「朝鳥。来てたのか」
さゆるは物憂げに振り向いた。
「そういえば今週ははじめてかもしれないわ」
さゆるは普段、学校には日数不足で留年しない程度にしか顔を見せない。それでいてテストの成績は優秀で東京の難関校すら狙えるレベル。だからこそ先生にとっては難しい生徒である。
「次はいつ来る?」
「さあ。気が向いたときに」
「そうか。なら今会えて良かった。10分時間をくれ」
「何の用?」
「進路相談だ」
さゆるは戯れに提出した紙きれのことを思い出す。希望も理由も「特になし」と書いて出したあれだ。
ため息が漏れる。面倒。けれど先生の手を振り払うのはさらに面倒。
「10分だけよ」
さゆるは静かに告げると、先生とともに教室に戻った。
「学校をサボるのは勝手だ。だが、こんなことを続けて将来どうする」
椅子に掛けた途端に、桐島先生が厳しい眼差しで問いかけてくる。
「将来?」
さゆるは静かに鼻で嗤う。
「将来なんて、何も見えない。先生は想像がつく? 一生遊んで暮らせるだけの財産。少女ひとりには広すぎる豪邸。そういうものの空虚さ。莫迦ばかしさ」
「君の両親が三年前に他界されたことは知っている」
「未来に夢を見ろというの? あたしの夢は過去にしかない。あの日、父が、母が、この世からいなくならなかったらあたしは……って」
さゆるの脳裏に両親が他界してからの三年間のことが過ぎる。
嬌声。怒号。束の間の愚かな、快楽的脳内物質のための行為。
それはあまりにも爛れていて、荒んでいて、破滅的。
底なし沼に胸まで浸かってるようなものだ。
このままじゃ沈むだけだと分かっていても、這い上がる気力は沸いてこない。
「2年後どころか明日すら見えないのに、進路だなんて。先のことなんか興味がな……」
言い終らないうちだった。
桐島先生は立ち上がり激しくさゆるの肩を掴んだ。
「朝鳥!」
指が食い込む。
「痛い」
表情なくそう言うと、肩を掴む力は一層強くなる。
「朝鳥!」
桐島先生はもう一度強く名を呼んだ。
さゆるは先生の顔をぼんやり見ながら、そのあとにどんな言葉が続くだろうと考えた。
『朝鳥、しっかりしろ』なのか、『朝鳥、それじゃだめだ』なのか、『朝鳥、君は可哀想だ』なのか……。
けれど続く言葉はなく、沈黙だけがあたりを覆った。
遠くで野球部員の掛け声が聞こえる。
明るく楽しい学校生活を送っていそうな、能天気な声。
自分とは正反対だと思うと、途端にみじめさが溢れてくる。
「なんでこうなっちゃたのかな……」
心が、零れる。
「……壊れてしまった自分の欠片を拾い集めても、その欠片をどうつなぎ合わせたらいいのか判らない……」
涙は出ない。
やがて先生は手を離し、言った。
「学校には来い。それ以外は今はいい。決めなくていい」
気をつけて帰れよ、と無理やり送り出され、さゆるは鞄を手に昇降口へ向かう。
上履きを履き替え、ふと振り返る。
掴まってしまったので渋々のつもりだった。けれど、本当は――澱んだ何かを吐き出したかったのかもしれない。誰かに聞いてもらいたかったのかもしれない、と。
【
エレノア・エインズワース
の場合】
さゆるの背を見送った桐島先生は深く嘆息する。
本気だった。本気じゃなけりゃ通じなかった。ただ、疲れた。
気分を切り替えようと大きく息を吸い込んだとき、背後で不意に声がした。
「『今はいい。決めなくていい』――格好良かったですよ」
跳ねるように振り返る。灰色の髪をした少女が妖艶な笑みを浮かべすぐ背後に佇んでいる。
「どこから聞いていた?」
「ふふ。そこだけですよ」
エレノアは弓のように口の端を引き、優雅な仕草で腰かける。
「はじめましょう先生。私の価値観に対して、秩序を重んずる貴方の理解がどこまで及ぶか分かりませんが、有意義な時間になることを祈ってます」
それは宣戦布告とも取れる笑みだった。
「さて、進路希望調査票は白紙で出しましたっけ」
面談は、彼女のペースで始まった。
さゆるに続き、エレノアも一筋縄ではいかない生徒である。さゆるが右巻きに捻じれているとしたら、エレノアは逆さまに捻じれているようなものだ。
桐島先生は短く言葉を選ぶ。
「どうするつもりだ」
「どうするもなにも……私みたいな人間には進路という概念は無いんですよ」
「意味がわからん」
「そうでしょうね。ご説明しましょう。どんな大学に進むかとかどんな職業につくかとか、私はそういう外面……社会的立場には興味ないんです。その時々でやりたいようにやるという生き方です」
どこから取り出したか、駄菓子屋で売っているような水鉄砲を弄ぶエレノアは微笑みを絶やさない。
「幸い私は情報工学にそれなりに通じてましてね。PC一台あれば取り敢えず生きていけるんですよ。寝子高に通ってるのも気紛れみたいなものです」
「それでも夢は有るだろう?」
桐島先生は苦々しく問いかける。
「夢?」
エレノアはぞっとするような笑みを浮かべた。
「勿論ありますよ。先程やりたいようにやると言いましたが、当然私も思い通りにならないことはあります。それもこれも、私の魂が肉体に縛られているからに他なりません」
エレノアは水鉄砲の銃口を自らのこめかみに当てる。
「どれ程確固たる意志力を持っていても、肉体の影響から逃れることはできません。高熱を出せば判断力は鈍りますし、睡眠不足が続けば集中力は途切れます。私はそれを何とかしたい。肉体という檻から逃れ、魂単体で存続できるようになりたいんです」
くすくす、くすくす……エレノアは笑い続ける。
あれは玩具だ。
桐島先生は自らに言い聞かせる。
安っぽい水色の、プラスチックの水鉄砲。
あの引き金を引いたからと言ってエレノアは死なない。
わかっているが、じっとりと嫌な汗が背中を伝う。
「自分の思う様に世界に干渉でき、かつ私の精神は何物にも影響を受けない。それが理想です」
エレノアの人差し指に力が籠められ――、
「――っ!」
桐島先生は手刀で水鉄砲を叩き落としていた。
かたんっ、と軽い音を立て床に落ちた水鉄砲は、くるくると回転し窓際で止まった。
息を呑む。その顔を。
エレノアは愉快そうに見つめる。
「何を驚いているんです? ただの水鉄砲です。それも空のね」
種明かしはしましたよ、とジェスチャーをしてエレノアは水鉄砲を拾う。
「そろそろ失礼しますよ先生」
優雅に一礼。
そこでようやく桐島先生は自分が彼女の雰囲気に飲まれていたことに気づいた。
「エインズワース!」
立ち去る少女の背中に投げられる低い声。
「教師をおちょくるな! あの世かこの世かみたいなのは進路とは言わん!」
あはは、と高笑いを残し、エレノアの灰色の髪が扉の向こうに消える。
桐島先生は眉間を押さえた。どっと疲労感があった。目がひどく乾いて痛む。
「――まったく、我が校の生徒は個性が強すぎる!」
目薬を二滴、三滴。
きつい清涼感に痺れながら、桐島先生はそれでも彼らが嫌いじゃない自分を不思議に思うのだった。
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
笈地 行
シナリオタイプ(らっポ)
ブロンズシナリオ(100)
グループ参加
なし
シナリオジャンル
日常
学校生活
定員
20人
参加キャラクター数
20人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2015年03月16日
参加申し込みの期限
2015年03月23日 11時00分
アクション投稿の期限
2015年03月23日 11時00分
参加キャラクター一覧
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