影身始末　～寝子島辻斬り物語　弐－２～｜リアクション

影身始末　～寝子島辻斬り物語　弐－２～

【決着、芹沢】

　音羽と託志が合流した後、鴻が雑魚の影人と平間をまとめて引き受け、ほかの四人は芹沢との戦いへと移行していた。
「むぉおおっ！」
　ぶん、と芹沢の一撃が武道へと襲いかかり、何かが壊れるような音がした。
　慌てて転がるように芹沢の影刀から逃れる武道。
「……防御結界が一撃」
　最長で一時間身代わりになるそれは、たった一撃で儚く潰える。
「ぬんっ！」
「ふぎゃーなのだ！」
　続いて、襲いかかった真央も一撃で吹き飛ばされる。
「隙だらけだぜ！」
　そのまま託志が薙ぐが……。
「甘い甘い甘いわぁ！」
　芹沢の剛刀が唸り、折り鶴の結界がぶち破られる。
「……なんかだんだんパワーアップしてる感じぃ」
　音羽が身震いを感じつつ、つぶやく。
「まずは、さんざん邪魔してくれた貴様よのぅ……」
　そのまま芹沢の一撃が再度託志に振り下ろされるも……。
　ガキッ！
「……む？　何と！」
　再び折り鶴の効果で防がれた一撃にさすがの芹沢もおかしいと感じる。
「今だ、殺れ！」
　鴻の言葉により、託志がそのまま突き刺すようにキューを繰り出し、芹沢の体を切り裂いた。
「おぉぉぉぉぉっしゃぁぁぁ！」
　どん、と倒れる芹沢の体。
「……む、無念」
　そのつぶやきを残し、芹沢が消えていく。
　それと同時に平間も鴻が折り鶴の結界を犠牲に葬り去り、なんとか落ち着いたのであった。
「……あとは、帰る時間を待つだけだな……その前に」
　そう言って託志は音羽を見やる。
「えへへへ、うまくいった感じぃ」
　音羽はうれしそうに笑っている、が。
「……今回は良かったが、あんまりそういうことするんじゃねぇぞ。またお前だけ残ったらどう逃げる気だ？」
　そう言ってたしなめる。
「まぁ、そう言ってやるな。心配だったんだろう？　な？」
　鴻が明るく言うと、音羽はにこやかにいった。
「だって、テンチョーさんたちなら出来るって信じてたし！」
「はっはっは、ナイス！　店長照れてる？　いやーん」
　音羽の言葉に、肩をふるわせる託志。
　それを見て、武道が囃し立てる。
「おいこら！　今なんつった！」
「てんちょー照れてるのだー！」
　さらに真央が煽る。
「……お～ま～え～ら～」
　託志が額をひくひくさせながら、じりじりと接近する。
　そんな光景を鴻はにやにやと笑いながら見ていた。
　ついでに、影人はまだ居るんだからな、と釘を刺すのは忘れなかった。

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