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■大人になった二人
図書館で過ごす、二人の静かな時間。
ラベンダーの香りに
雪代 伊織
が顔を上げると、目の前には真白い壁。
消毒液の匂いが鼻を刺す。気がつけば、病院にいた。
伊織は目を丸くして、自分の隣を確認する。
そこには、同じように目を丸くしている
伊予 祐
がいた。
隣に誰かがいるというだけで、伊織は安心して辺りを見回す。
そして、ここが幼少期を過ごした病院だということに気付く。
祐にとっても、この病院は思い出の場所だった。
中学生時代、ある少女に会いたくて何度も通い詰めた。
今思えば、それは初恋だったのだろう。少女を失いたくなくて、笑ってほしくて、祐は本を持ち込んだり、学校の話をしたりと明るく振舞っていた。
祐が高校に上がる頃、その少女は遠くへ行ってしまったけれど――再会して、今は隣にいる。
彼女はその出来事を覚えているだろうかと、祐はそっと伊織の顔を横目で窺う。
伊織は、目の前の病室をそっと覗きこんでいた。
病室の中には、ベッドに腰を下ろした少女と学ラン姿の少年が二人。
少年が懸命に何かを話しかけているようだ。
伊織は、それが幼い頃の自分だとすぐに気付いた。
幼い頃の記憶が蘇る。
生まれてからずっと病院で過ごしていた。大人になれないまま命を終えてしまうのだと、悲嘆にくれた日もあった。心細さに押し潰されそうだった伊織に笑顔を教えてくれたのは、学ランの少年だった。
「お兄ちゃん、ですか」
懐かしさを感じて、伊織はぽつりと呟く。
祐を手招きすると、二人で病室内を覗き込んだ。
「祐さんに子供の頃の私を見られるのは少し、面映いですわね」
はにかみながら笑う伊織は、あの少年が祐だと気付いていないらしい。
(――俺も、最近まで忘れてかけてたしな)
幼い頃の記憶であれば尚更だろう。祐は懐かしむような視線を、病室の奥へ向ける。
「何か、読みたい本はある? 次に来る時に持ってきてあげるよ」
「いいの? じゃあ、お兄ちゃんの好きな本が読みたいです」
「分かった、何がいいかな……あ、そうだ。この前学校で――」
少年が明るい口調で、学校で起きた笑い話を口にすると少女のがくすりと微笑んだ。
伊織はその様子を懐かしげに見つめていたが、少年に見知った人物の面影があることに気付くと、祐と少年の顔を見比べる。
「……え?」
赤の瞳で、じっと祐を見つめる。
「思い出した?」
祐は柔らかく笑いながら、軽く首を傾げて問い掛けた。
(あのお兄ちゃんは、もしかして……)
伊織の胸に今でもいる、太陽のように暖かな少年。それが、隣にいる青年だとは思いもしなかった。
「やっぱり君だったんだね。確かめられて、よかった」
胸がいっぱいで、言葉を紡ぐことが出来ない伊織に祐は言葉を重ねる。
祐の顔を見ることが出来ず、伊織は俯いて自分の足元に視線を落とした。
幼い時、死を待つばかりだった伊織の世界を彩ってくれた少年。手術のため、アメリカ行きが決まった時は急なことで別れの言葉も言えなかった。
もしまた会うことが出来たなら、その時は感謝の言葉を伝えようと思っていたのだが、いざそうなると何を言って良いものか分からず言葉が出てこない。
祐の手に、伊織の指先が触れた。
指先から伝わる体温は、何よりも雄弁に伊織の気持ちを表しているようで……祐は幸せそうに口元を緩める。
黒髪の隙間から覗く伊織の耳は赤い。きっと照れているのだろう。
可愛らしい様子を、祐は声も掛けずに眺めていた。きっと今は心の整理は必要だろう、伊織の肩をぽんと軽く叩く。
幼い伊織と、現在の伊織。自分を照らしてくれていた人物が同じだと分かり、伊織の頭は嬉亜と混乱でいっぱいだった。
握った手に少しだけ力を込めると、祐も伊織の手を握り返す。
「……二人にさ、少しだけ姿見せてやろう」
大人になれないと、胸中に諦念を抱えていた伊織。こうして大人になることが出来たのだと、二人で幸せになれるのだと、幼い頃の自分達に伝えたかった。
「はい。……まだ、このままでもいいですか?」
繋いだ手を軽く持ち上げて、伊織が恥ずかしそうに問い掛ける。
祐は、返事の代わりに伊織の手を握り返した。
「お話中のところ、ごめんな」
病室に入ると、三つの瞳が二人を見る。伊織の赤い瞳と、祐の黄色い瞳――片目は、包帯に覆われていて見えない。
学ランを着て、片腕に包帯を巻いた少年は警戒した様子で問い掛ける。
「誰、ですか? 彼女の知り合い……?」
「いいえ。私の知り合いじゃありません」
少女は静かに首を振る。
病室の入り口から先に進むことはせず、祐は繋いでいない方の手を振った。
「名前は言えないけど、大丈夫、すぐ帰るから。一言だけ、言わせてほしいんだ」
少女と少年は、不思議そうな表情を浮かべる。
「君たちは大人になれるよ」
それは、確信を持った言葉。もうすぐ離れてしまうかもしれないけれど、いつかきっと再会することが出来ると――絶望することはないのだと、伝えたかった。
言葉の余韻が消える前に、祐は二人に背を向ける。
伊織も、小さく一礼をしてから病室を去った。
後に残された少女と少年は、二人で顔を見合わせていた。
病室を後にしたところで、立ち止まって伊織が祐を見上げる。
「祐さん」
ゆっくりと息を吐いて、ずっと伝えなければと思っていた言葉を紡ぐ。
「私に世界を教えてくれて、ありがとうございます」
伊織が言葉を終えると同時に、花の香りが二人を包んだ。
次に目を開けた時には、元の図書室にいた。
二人の手は繋がったまま。
視線が合わさると、どこか気恥ずかしくなってどちらからともなく微笑んだ。
肌に感じるぬくもりを名残惜しみながら手を離す。
「……仕事が終わったら、どこか行こうか」
「はい。では、少し待っていて下さいね。あ……これ、覚えていますか? お兄ちゃん……祐さんが、初めて私に持ってきてくれた本」
返却された本の中の一冊を取り出して、伊織はページを開く。
祐が本を覗き込むと、伊織と目が合った。幸せそうに笑む顔は、ほんの少しだけ紅潮していた。
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
青崎灰次
シナリオタイプ(らっポ)
ブロンズシナリオ(100)
グループ参加
2人まで
シナリオジャンル
日常
SF・ファンタジー
オールジャンル
定員
15人
参加キャラクター数
15人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2015年02月26日
参加申し込みの期限
2015年03月05日 11時00分
アクション投稿の期限
2015年03月05日 11時00分
参加キャラクター一覧
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