天使のたまご｜リアクション

天使のたまご

●合流Ⅱ

「おう爺さん、邪魔するぜ……何だこりゃあ？　随分人が集まってんな」
　柘榴、真央、紫鶴、刀、小鳥が新たに人の輪に加わった。久子宅から、今到着したのだ。
「コラァ！　どういうザマだよこれは！　アンタが一人で何しようが勝手だけど、人さまに迷惑かけてんじゃねえぞ！」
　勿論久子もいる。かなりイラついているようだ
「ひ、久子……何でここに？！」
　平蔵はかなり狼狽している。
「平蔵さん！　真央ちゃんも言いたい事あるのだ！」
　うろたえている平蔵の前に、敢然と真央が立った。
「花火は打ち上げてこそなのだっ！　作り手だからって歪めんなし！　それとも……ご近所、全員事故に巻き込みたいのだ？」
「いや、うん。言いたい事はわからんではない！　じゃが、今はちょっと立て込んでおるので……」
　最早、平蔵にもあまり余裕はない。
「さっさと打ち上げできる準備始めるのだ！」
「む、無茶を言うな！　ここでか？！」
「何がムチャだい！　いいかげんにおしよ！　アンタがワケわかんない事してるから、こんだけ人が集まってんだろ？　みんな心配してんだよ！」
「平蔵さん、俺からもお願いします。危険なことはやめてください」
　刀は、丁寧に頭を下げる。
「平蔵さんが、元花火職人だった事は尊重します。とはいえ、下手をすればいつ爆発するかわからない……。僕も今平蔵さんがやっている事を肯定出来ません」
「そうだぞ、爺さん。あんたを心配する周りの事も見てやれよ」
　紫鶴と柘榴も熱心に口説き落そうとしていた。
「おじいさん！　ボク、どんな人もきちんとおはなしすれば、きっと仲良くなれる、って信じてます！」
　小鳥が、祈るような仕草で、平蔵に語りかける。
「わかった！　わかったから、順番にしゃべってくれ！　順番に！」
　そろそろ平蔵に限界が近づいていた。
（久子さんのところへ行った人達が来れば、少しは事態が開けるかと思ったんだけどな……）
　今のところ、そうでもない。
　もう少し時が経つのを待つしかないか、と夏朝が思っていたその時。