テスト勉強なんかよりチャーハンが食べたいです。｜リアクション

テスト勉強なんかよりチャーハンが食べたいです。

「ところでおじさん、本当に反省してるの？」
　繁盛する『日本海』を慌ただしく切り盛りする板野へ小倉が問い掛けた。
「ああ、もう二度とろっこんとやらの悪用はしないぜ！」
「それは良かったわ！」
　ちょっだけ、自分のろっこんの出番がないことを残念に思う小倉。
（でもいいの。無理矢理、他人の嗜好を曲げたら駄目だもの）
　心で自戒しつつ、小倉もチャーハンを頼んだ。
「あいよ、大盛りサービスしてやるぜ！」
「ありがとうございます！」
「ところで嬢ちゃんだけ名前を聞いていなかったな？」
「あ、自己紹介が遅れました。私、小倉もなかといいます！」
　大声で、はっきりと店内で自己紹介をした小倉。
　……やっちまった感が半端ない。
「な、なんだ？　急に小倉あんこが食いたくなってきたぜ！」
　板野の様子がおかしい！
　店主の板野だけではない。
　店の周辺にいた客たちも、同様にチャーハンに手を伸ばすのをやめた。

＿人人人人人人人人＿
＞つぶあんたべたい＜
￣ＹＹＹＹＹＹＹＹ￣
　折角、事件が収束したと思ったら、別の形でぶり返してしまった。
　小倉はヤケクソになった。
「小倉もなかもチャーハン好きですよ！　でもおじさんも小倉最中を食べるといいと小倉もなかは思います！　ほら小倉最中を食べたくなってきたでしょう？　いきなり小倉最中を食べたくなるって、どういう気持ちか理解してもらうのが小倉もなかの真の目的です！」
（これ！　自分のこと名前で呼ぶの、結構恥ずかしい！）
　自分のフルネームを連呼する行為の恥ずかしさに彼女は気付いてしまった。
（あとなんかこれ、とあるアニメのキャラクターみたいだよね！？　何とかクローンとか、『妹達』とか！　けどこの際そんなのは気にしない……ことに！　する！　と、小倉もなかは心に誓います！）
　もはや後には引けないのだ。
「だから小倉もなかは提案します！　つぶあんとチャーハンの奇跡のコラボレーション！　あんこチャーハンをメニューに加えれば売上倍増だと小倉もなかは思うのです！　小倉もなかは小倉もなかによる小倉もなかのための提案を小倉もなかはおじさんにするのです！」
「よし！　俺はあんこチャーハン作るぜ！」
「「うおおおおー！」」
　客たちも熱狂！
　こうして、『日本海』に拭い去りようのない黒歴史（ダークマター）が爆誕した。
　ほぼ同時期にねこったーのタイムラインに『つぶあん祭り』が発生し、それを見た日暮ねむるがつぶあんの缶詰を買い占めようと動き出したりするのだが……。
　その話は、各個人の胸に秘めておくほうがいいだろう。
　最後に小倉は、『日本海』の軒先で夕陽に向かって叫んだ。

＿人人人人人人人人＿
＞私はこしあん派だ＜
￣ＹＹＹＹＹＹＹＹ￣