テスト勉強なんかよりチャーハンが食べたいです。｜リアクション

テスト勉強なんかよりチャーハンが食べたいです。

【チャーハン・パーティー・イン・ザ・ハウス】

　店主の板野を連れ戻した一行は、『日本海』で待ち侘びていた面々と合流した。
「やぁやぁ！　待ち侘びたよ、店主！　一足先にいただいてるよ！」
　八十八旗信彦がチャーハンをかっ食らっていた。
　板野は目を丸くして驚いた。
「一体、誰が作ってるんだ？」
「私アル！」
　ごわぁぁぁ～んという効果音（八十八旗のスマホから出してた）とともに、『猫島軒』の看板娘、畑中華菜子が登場！
「店を開けっ放しでどこかへ行くなんて無用心アル！　店番の代わりにお客へチャーハン作ったアル！」
「お、おう、助かるぜ。じゃなくて！　『猫島軒』の嬢ちゃんがなんで俺の店にいるんだよ！？」
「おお、私のこと、知ってるアルカ？　嬉しいアル！　急にいっぱいチャーハン作りたくなったアル、だから臨時のバイトでも何でもいいからチャーハン作らせてください！　そして食べさせてください！」
　畑中に頭を下げられた板野は困惑した。
　そういえば、さっきろっこんを仕掛けた覚えがあった。
　ある意味、身から出た錆である。
「……わかった。今日はちょっと手伝ってもらおう」
「やったアル！　大火力でゴウンゴウンって音を立てながら中華鍋を一生懸命振るアルヨ！」
　喜びながら畑中は厨房へ戻っていった。
　山田は目を血走らせながら板野に駆け寄った。
「早くチャーハン食わせてくれ！　俺は……！　あんたの作ったチャーハンが食べたくてここに来たんだ！」
　実際、畑中の作ったチャーハンに手をつけずに、ひたすら空腹とチャーハン欲に抗い続けてきたのだ。
　この熱意に板野は感動した。
「お、おお……！　風評被害があったのに、坊主は俺のチャーハンを食ってくれるのか？」
「ん？　風評被害？」
　山田は首を傾げた。
　どうやら彼はゴキブリの一件を知らなかったようだ。
　周囲から事情を聞いた山田。
　だが、全く顔色ひとつ変えなかった。
「しらねぇな。デマだろ？　この店、綺麗だぜ。ウチの台所よりゃよっぽども、な？」
　そう言うと彼はいつも座るカウンター席に陣取り、チャーハンを注文。
　板野は嬉し涙を拭いながら、意気揚々と厨房へ入っていった。