テスト勉強なんかよりチャーハンが食べたいです。｜リアクション

テスト勉強なんかよりチャーハンが食べたいです。

「テストなんて滅べばいいのに……」
　塔尾松生は机に突っ伏しながら物騒な言葉を呟いた。
「そもそもあたしは一夜漬け派でこつこつやるのは性に合わないのよ、ああこの間買って積んであるゲームがしたい。教科書を見ているだけで頭痛がするし……」
　集中力が切れて、誘惑に既に負けそうな塔尾である。
　お腹もぐぅ～となってしまう。
「それにしてもお腹がすいたわ。何か、そうチャーハンが食べたい」
　急に自発的なチャーハン欲求に目覚めた彼女は、勉強そっちのけでチャーハンへ想いを馳せだした。
「チャーハン……。自分で作ってもお店で食べても美味しいし、余りものでも作れるし簡単だし腹もちもいいし、つまりチャーハン食べたい。そう、そうよね、お腹のすいた状態で勉強してもよくないって何かで聞いた気がするわ！　つまりこれは必然であり運命なのよ、チャーハンを食べるという事は」
　普段は眠そうな塔尾だが、この時ばかりは目をいつもの３倍近く開いて全身を感動に震わせていた。
「そうと決まったらチャーハン食べに行かなくちゃ。作るのは却下ね。材料が無いわ。あまりもので作るんでもなく態々材料を買いに行くのは面倒くさい」
　全身を駆け巡るチャーハンへの熱きパトスが脳内ニューロンの情報伝達を激しく活発化させる。
「とするとコンビニで買いに行くか……。これもイマイチね。お昼時のコンビニで確実に売っているかどうか分からないし、そもそも仕入れていないかもしれない。あとコンビニのチャーハンってちょっと量が少ない気がするのよね」
　塔尾は椅子から立ち上がると、財布と外套だけ持って玄関へ向かう。
「そうだ『日本海』！　あたしは食べに行くわ！　さあ今行くわよ待っていなさいチャーハン！」
　こうして、塔尾の孤高なチャーハン紀行が幕を開ける……。