あなたのそばに蕎麦屋すすきのーすすきのー｜リアクション

あなたのそばに蕎麦屋すすきのーすすきのー

「五月チャーン！」紅い髪をふりふり店内に入ってきたのは、御薗井Ｅセレッソ。

　元気いっぱいに「チャオチャオ！　お邪魔しますナノ！」と五月に挨拶する。
　笑顔で挨拶を返す五月に、セレッソはきれいな箱を渡す。
「これ、お土産にパウンドケーキを持ってきたノ！　休憩とかに食べてネ！」
　有難う、と返事する店主。「もう少し待ってな」
　ハーイ！　とカウンターに座り、となりの修に挨拶する。
　彼とはたまに、おかしな事件で一緒になる。
「知り合いか！」二人の様子を見て、店主が話しかける。「そこの兄ちゃん、なかなかの蕎麦通だぜ」
　へえ、と感心するセレッソに、それほどでもと笑って謙遜する修。
「それじゃ、ちょっと通なとこ、見せようかナ……」そう言ってセレッソは五月に神妙な顔を向ける。

「じゃあ『いつもの』ください」

　キャー！　自分のセリフに舞い上がってしまうセレッソ。
「『いつもの』って言うの、憧れてたノ！」きゃっきゃと照れるセレッソ。「ジョーレンさんってやつだワ！」

「チョコレートはおいてないぜ」冗談でかわす店主に、ひどいノー！　とむくれるセレッソ。
　店内が笑いに包まれた。
　そうして出てくるのが、セレッソお目当てのかき揚げ蕎麦セット。

「いつもの、って言って、好きなものが出てくるの、ジョーレンさんの証だワ……」
　言いながら、セレッソは箸でそばをたぐる。
「箸の使い方が上手いな」修がほめる。「日本人でも、そんなに綺麗に使えるのはなかなかいない」
「デショー！！」喜色満面にセレッソがうなずく。「ごはんは？」
「もう済ませたよ」
　ふうん……言いながらセレッソは、天ざるの器に目を向ける。
「ざるそば？　美味しかった？」
「最高だった。常連さんも、たまには違うのを食べてみるのもいいんじゃないかな」
「モー！　ジョーレンなんて！」顔を真っ赤にして照れるセレッソ。「今度、試してみるワ！」

　その時、店の戸がカラリと空いた。