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お食事処たそがれ
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「……日向さん?」
「おや、君は……」
当たり障りなく控えめ、だがどこかよそよそしい二人の、再びの邂逅。それがあの店……人呼んでお食事処たそがれ、そこで起こったことを、こじつけ好きな誰かは運命と呼んだりするのかもしれない。とにかく、そんな風にして
五十士 柊斗
と
日向 透
はもう一度出会った。
ひなびたこの温泉街にどんな用事があったかなんて、詮索しあう間柄ではない。だが、ばったり出会ってしまったら他人のふりで違うテーブルについたりせず、ちゃんと挨拶を交わすくらいの礼儀はそれぞれ持っている。
「久しぶりですね」
「ああ、ワイナリーで会ったきりでしたっけ。その節はどうも」
続かない会話に気まずさを感じるほど繊細でもないが、お互いの存在に言いようのない何かを感じる二人はそれきり黙って、運ばれたお冷にちびちびと口をつけた。
「お互い、早い夕食……ですね」
「そういえばそうですね。君も偶然この店を見つけたんですか?」
「ええ、まあ、そんな感じです。この辺り、開いてるところが少なくて」
君も、偶然。透の言葉尻にまとわりつく、それとなく探るような、同時にやんわり拒むような雰囲気を感じ取り、柊斗は曖昧な笑顔のまま言葉を濁した。見えない線を引かされたようで心が足踏みしてしまうこの感覚を一言であらわすなら、警戒といっていい。歳は大きく離れているが似た外見、だが内側にあるものはきっと歳の差だけでは片付かないほど何かが違う……柊斗にそう思わせる空気を、透は持っていた。
「あの、注文って、しました? お品書きがなくて……」
「いえ。不思議な店ですね」
この店が神魂の影響によって出来た不思議な場所であることを、二人ともどことなく感じ取っていたらしい。お冷を運びに来たきり注文を取りに来ることもない店員と、お品書きのないテーブル、店を出るには充分な理由があったが、不安や疑問もなく、きっと出てくるであろう料理を待っていた。それが何なのかを知ったり、気づいたりすることは勿論なかったが。
「……え」
「おや……」
やがて、それぞれの前に違う料理が運ばれる。
「五十士さん?」
「……あ、いえ、すみません。食べましょうか」
「……ええ」
柊斗が、出された料理……お世辞にも、料理屋で出すとは思えない不格好なおにぎりの前で言葉を失ってしまっている事に、透は純粋に興味を抱いた。それは、透自身が自分に出された料理について目をそらしたくなったせいで……柊斗に目を向けてしまったからかもしれない。
透に出されたのは、竹のお盆にのった普通の定食といっていいものだった。白いご飯に大根の味噌汁、焼いた紅鮭、隣には卵焼きの小皿と南瓜の煮付けの小鉢があって、蕪の浅漬も添えられている。お盆の外に置かれた冷や酒の徳利と猪口が少し、違和感を纏っていた。
卵焼きを箸で切り、一口。ほんのり鰹の出汁が香る、甘めの味付け。どこででも食べられそうな卵焼きではあったが、透にとっては全く逆。頬がこわばるのを隠すのも一瞬忘れ、透は厨房に視線を向ける。
「(まさか、そんな、あの人が)」
この料理を透に出せるのは、一人しかいない。その一人が厨房にいるのではと思わず立ち上がりかけていたが、柊斗がいる手前か、それは視線を厨房に向ける程度で終わる。
透が一瞬でも外面を取り繕うのを忘れ、狼狽えた理由は一つしかない。そう、食べられるはずがないのだ。この味は、この献立は、幼い透を置いて家を出て行った、透の母の味なのだから。透は静かに息をつく。落ち着け、ありえない、あの人がここにいるはずがない、そう何度も言い聞かせながら。先に見た柊斗の様子を思い返し、これはこの店のせいなのだ、恐らくはこの島でしか起こりえない特別な現象の一つ……。そう理解したことで、透は幾分の落ち着きを取り戻したようだった。もし、この店に自分一人しかいなかったら情けなく取り乱していたかもしれない、そう思えるところまで頭が冷えた事が、透には滑稽でならなかった。
平静を装う為だろうか、透は手酌で猪口を満たし、空きっ腹に酒をくいと流す。その程度で酔えるはずなどないと分かってはいたが、そうでもしなければ料理に手を付けないでいる尤もらしい理由を作る事が出来なかったせいかもしれない。
「……五十士さん?」
「……」
一方の柊斗は、食べましょうかと自分から言った割に、目の前の料理に手を付けられないでいた。傍目にもいびつな、丸型なのか俵型なのか判然としない二つのおにぎり。一つは斜めに焼き海苔が巻かれていて、もう一つは胡麻団子かと思うほどたっぷりの煎り胡麻がまぶされている。このおにぎりは、きっとそうだ。それ以外にありえない。そんな束縛にも似た確信に、柊斗の目線は落ち着かない。ふとした瞬間に透と目が合ってしまい、静かなその佇まいの前でこれ以上無言を貫けず、柊斗は胡麻のほうをおそるおそる手にとる。一口かじってみると、中には想像していた通り、柊斗の父親がよく作っていた、鰹節の出し殻を甘辛く煮詰めたものが具として入っていた。
「(どうしてこれが……ここで出てくるんだ)」
具は柊斗の父親がお手製の常備菜とそっくり同じだったが、柊斗の記憶の中では、この不格好なおにぎりを作れたのは父親ではない。米粒が唇に触れた瞬間、眉をしかめてしまうほどの塩気が、きっとわざと……そう、きっと楽に目をそらす為に……忘れてしまっていた記憶の蓋を乱暴にこじ開ける。これと同じおにぎりを柊斗に差し出す妹の笑顔が、柊斗の中で少しずつ鮮明に浮かび上がる。
__おにいちゃん、はい! あげる!
目をそらしたくなるほどの、屈託のない笑顔と呼び声。あんな事があった後なのに。どうして。どうして守ってやれなかった兄に、あんな笑顔を向けられるんだ。罪悪感に縛られた心では理解が追いつかず、柊斗は忘れる事と逃げる事しか出来なかった。
だが、柊斗は思い出してしまった。あの後でも、妹に笑顔があったことを。その意味に向き合うには少し、早いかもしれない。思い出は柊斗の中でまだ苦く、そして塩辛い。やっと飲み込んだ後の、喉に何かがつかえたような渇きがまだ、柊斗の目を偽の優しさで塞いでいた。
「五十士さん」
「あ、すみません……ぼーっとしちゃって」
透から何度か名前を呼ばれたことを、柊斗はどう受け取っていたのだろう。気遣いと思えたのか、それとも。
「日向さん、箸が進んでませんけど……大丈夫ですか?」
「嗚呼、まあ……知り合いの作る料理にそっくりだったので、驚いただけですよ」
「そう、ですか……。俺も、昔妹が作ってくれたおにぎりそのままで、びっくりしました」
「……奇遇、ですね」
この店がそういうところだからだろうと先に理解していた透はわざと嘯いて、持ちかけた箸をそっと置き直した。
「五十士さん、よかったらこの卵焼き、いかがですか」
「え……いいんですか?」
「ええ。俺には少し甘すぎました」
強くない二人の弱い部分をゆっくりと刺し貫くような、鈍い痛みと苦しみが下に敷かれた料理を前に、透も、柊斗も、一人では立ち続けることが出来なかっただろう。この弱さに踏み込まれてはいけない、踏み込ませてはいけない。それはきっと、相手も同じ。言葉もないのにそう理解出来てしまう二人はやはり、どこかが似ている。断る理由も見つけられず、透の卵焼きに箸をつけた柊斗はぼんやりとだが、そう感じとっていた。
「(あの人の味を思い出すのは……これだから)」
声にならない透の呟きは、酒とともに飲み込まれる。
お互いがお互いの前に引いて出来た二重の線、そのどこかが薄れてゆくのを、ふたりは気づいただろうか。
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
瀬島
シナリオタイプ(らっポ)
ブロンズシナリオ(100)
グループ参加
2人まで
シナリオジャンル
日常
定員
10人
参加キャラクター数
10人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2014年12月26日
参加申し込みの期限
2015年01月02日 11時00分
アクション投稿の期限
2015年01月02日 11時00分
参加キャラクター一覧
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