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お食事処たそがれ
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「わぁ、本当にちゃんと食堂なんですねえ……」
遠矢 護
がはしゃいで暖簾をくぐるのを、
八神 修
が微笑ましげに眺めながら続く。この店の噂を聞いて、行きたそうにそわそわしたのは護で、それを察して手を引くのは修のほう。それが嬉しい護は珍しく修の先に立ってその店……お食事処たそがれへ足を踏み入れる。
「何が出てくるんだろう、ドキドキしちゃいますね」
「ああ、お互い好きなものだといいな」
曖昧な噂では、二度と食べられない物が出てくるらしい……それくらいしか知ることが出来なかった。だから護は純粋に楽しみにしていられたし、修もその様子に笑うことが出来た。こんな古めかしい庶民的な店とは縁のない修がメラミンのコップや生ビールのポスターを興味深げに見つめたり、噂どおりにメニューが無い事や人の気配がしない事について首をかしげる護のやりとりで、料理を待つ時間はお互い、一瞬だった。やがて、その瞬間が来る。
「あれ? このサラダ……」
先に料理を出されたのは護のほう。淡いピンク色のココット型、それを無邪気に覗きこんだ護は言葉に詰まってしまう。この器、そして中に入った料理はマカロニサラダ。遠い思い出の中から抜け出てきたような再会に、護はどうしていいのか分からずおろおろと、サラダの器と修の顔を交互に見比べる。
「食べないのか?」
「た、食べますよ……いただきます」
修に促され、護はおずおずと手を合わせ箸を取る。シンプルなマカロニにかりっと焼いたベーコン、辛みの抜けた玉ねぎ、細かく刻んだゆで卵……それらをマヨネーズのおだやかな酸味とこっくりした味わいが優しく包む、きっとどこにでもある普通のマカロニサラダ。だが、それだけではない。
「(やっぱり、入ってる……林檎と、缶詰のミカン……)」
見た目ですぐに気づき、一口食べて確信する。小さく角切りにした林檎と、缶詰のミカンが入ったこれは、幼い頃に護の母が作ってくれたものと全く同じである事を。飲み込む前に涙が溢れ、護は思わず口元に手をやって嗚咽を抑えた。
ぽろ、ぽろ、とこぼれる涙にかまわず、しゃくりあげそうになるのをこらえて護はマカロニサラダを飲み込む。
「遠矢、どうした? 玉ねぎ、辛かったのか?」
「ちが、違うんです……ごめんなさい……!」
幸せだった記憶とは、なんと残酷なのだろう。
「……これ、僕のお母さんが、小さい頃に作ってくれて……すごく、好きだったから……」
「……そうか」
護が言葉を続けたそうに何度か口を開いたその時、タイミングが好いのか悪いのか、修の分の料理が運ばれてくる。
「(……ああ、食べられないって……そういうことか)」
鰯の梅煮、豚バラ・じゃがいも・玉ねぎだけのシンプルな肉じゃが、ほうれん草の胡麻和え、若竹煮……修の年齢にはあまりそぐわない、どちらかといえば修の父あたりの世代が喜びそうな和の献立が並ぶ御膳。少し煮込みすぎて崩れてしまった肉じゃがのじゃがいもをつまみ、修は一人納得したように頷いた。
ひとしきり涙を流して落ち着いた護が、修の料理にきょと、と興味を持ったような視線を送る。
「あ……八神さんの、おいしそうですねえ」
「うん。食べてすぐ分かったよ、母の料理だな。驚いた」
「お母さんの……? そっかぁ」
修は、嘘は言わなかった。護が知っている……修の母として認識している、八神家の奥方という肩書の女性である、と言わなかっただけで。所謂不義の子として生を受け、今の母……修の父の妻が産んだ子が夭折したのを切欠に、修は実母から離されて八神家に来ているが、家の中のごく僅かな者を除きそれを知っている者はいない。勿論、護にも秘密にしている。八神家の昏い事情で明かすべきことではないのもそうだったが、修はただ、護の前で嘘をつくのが嫌だった。
自宅にシェフを抱えていても、こんな風に家庭的な料理を作るのかと知り、護は修に親近感をおぼえ、やっと微笑みを取り戻す。
「(でも、もう食べられないってどういうことだろう……?)」
修は修で、自分と母のマカロニサラダのように何か言いがたい事情を持っているのだろうか、そんな気付きに護は修の心境を推し量ってそっと黙る。何かを確かめるように、料理を少しずつ大切に口にする修を見ていると、かけたい言葉はどんどんと唇からこぼれていき、護はうまく笑えないでいた。
「遠矢、食べるか?」
「い、いいんですか? あの、よかったら僕のも食べてみてください」
林檎と缶詰のミカンがマヨネーズのサラダに意外と合うんですよとぎこちなく笑い、護はココット型をそっと前に出す。
「もう泣き止んだな、よかった」
「あ、ごめんなさい……へんなとこ見せちゃった」
前触れ無く泣いてしまって、心配させた。理由を少しは話さないと、優しい修のことだからまた心配をかけてしまう。そんな思いで、重かった護の口で少しずつ言葉が声になってゆく。
「僕のお母さん、今あんまりお料理したくないみたいで……」
不仲になった両親を見ているのがつらくて、逃げるように寝子島に来た護は、それでも心の何処かで……このマカロニサラダを笑顔で食べることの出来ていた頃を恋しがっていたのだろう。
「僕のことなんか気にしないで、お父さんとお母さんの好きにしてくれたらいいのに……僕がいるから、我慢させてるのかなっていつも思うんです……」
護の独白を聞く修は優しい眼差しを護に向けてはいたが、その実。どこかで護をうらやましいと思う修もまたいた。
「(遠矢の母親は生きている、それが俺とは決定的に違う)」
無邪気に自分を慕う護が、自分の持っていないものを持っている。どうしようもなく覆せないが、それは妬めない。
「遠矢のせいではないよ。子はかすがいって言うだろう」
「ダメなかすがいですよ……無理やり引き止めてるのと、きっと同じです」
「それは遠矢の両親が責任感のある、ちゃんとした大人だからだ」
それに、と笑い、修は護のマカロニサラダを一口食べて笑う。
「わざわざベーコンを焼いたり、玉ねぎも栄養が抜けないよう水にさらすんじゃなくレンジで火を通して辛みを抜いてる。こんな手の込んだ事をしてくれる人が、遠矢のことで我慢してるとは思えないな」
「そう……かな……?」
知らず、また護の瞳からあふれる涙。
「ほら、折角の料理に塩味が増えてしまうよ。拭こうか」
「はい……」
もう、食べられないもの。もしかしたら、もう一度食べられるかもしれないもの。その大きな違いを纏った母親たちの思い出は、それでもちゃんと、美味しかった。
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
瀬島
シナリオタイプ(らっポ)
ブロンズシナリオ(100)
グループ参加
2人まで
シナリオジャンル
日常
定員
10人
参加キャラクター数
10人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2014年12月26日
参加申し込みの期限
2015年01月02日 11時00分
アクション投稿の期限
2015年01月02日 11時00分
参加キャラクター一覧
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