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お食事処たそがれ
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九夜山の秋。散策にぴったりなのは勿論だが、それよりもうちょっとハードな山登りにもいい季節だ。カメラ片手で身軽に登山道を下る
諸星 譲
の後ろを、
詠坂 紫蓮
が小言を言いながらついていく。ちょっとの段差くらいならひょいとショートカットしつつ簡単そうに下っていく譲と、それなりに整備された登山道の通りに真面目に下る紫蓮。
「譲にいさん! 危ないわよ」
「これくらいなら平気だって、下りる前に日が暮れちゃうぞ」
「もう、怪我したって知らないから」
生真面目な紫蓮のお小言にも慣れたものらしく、譲は笑ってかわしながら話題もさらりと変えてみせる。
「写真チェックしたいけどカメラのバッテリー替えなきゃだし、お腹も空いたし。急いでるんだよね」
「……まぁ、お昼も早かったものね。じゃあ、温泉街に寄りましょ」
お互い、腹の虫には融通がきくらしい。寝子温泉街まで降りてきたら早めの夕食をとって、温泉で汗を流して脚を休めて、そうと決まれば紫蓮の足取りも軽い。
「お店のあてはあるの?」
「んー、まぁ行けば何かしらあるんじゃない? あ、ほら。暖簾が出てるよ」
先に街道まで降りた譲が指さした先には、今日の空と同じような薄い青色、そしてほんの少しの夕焼け色がにじむ不思議な暖簾があった。
「前はお店なんかやってなかった気がしたけど……まあいいか」
「え、ここにするの? ちょっと、譲にいさん!」
新しく開店したところなら友達にも教えてあげたいよね、と譲はすたすた店に入ってしまう。慌てて後を追う紫蓮は譲の自由さに振り回されつつも楽しげだ。さぁ、ふたりで美味しいものを食べよう。
テーブルに向かい合って座り、譲はさっそくカメラのバッテリーを替えて撮った写真を確かめている。
「どう? 山の写真。いいの撮れた?」
「うん、天気もよかったしいい感じだよ。紫蓮ちゃんのおかげかな」
「なっ、なんで?」
「何でだろ、晴れ女っぽいから? ……あ、すいませーんお品書き……あれ?」
譲が他意なく口にした言葉の真意を紫蓮がはかりかねた一瞬の隙間へ滑り込んだように、店の店員が二人分のハンバーグ定食を譲と紫蓮の前に給仕した。何も注文していないどころか、お品書きすら見ていないのを訝しんだ譲が店員を呼び止めようとするが、店員は意に介さずといった雰囲気の足取りで厨房へと戻ってしまう。
「頼んでないけどいいのかな?」
「日替わり定食なのかしら……?」
「かもね。……何だろう、いい匂い。懐かしい感じがしない?」
勿体無いから冷めないうちに食べようかと譲が先に箸を割って手を合わせる。つられて紫蓮も続き、ふたりは初めて食べる気がしないハンバーグ定食を食べ始めた。
「あ、おいしい! でもこれ、どこかで……?」
「紫蓮ちゃん、これやっぱり……」
おろしたまねぎを煮詰めてポン酢で味付けしたソースに、豚肉が多めの合挽肉ハンバーグがよく合う一品。ぎゅっと奥歯で噛みしめれば、滲み出る肉汁と玉ねぎの丸い甘み、ポン酢のさわやかな酸味が一体となって噛むごとに食欲を増してしまう。火の通りを確かめるために菜箸か何かで厚みのある部分を刺したあとがはっきりとわかるその見た目は、店のものというより家庭料理といったほうが正しい気がした。そのハンバーグを一口食べた譲が、懐かしさの理由にたどり着いて思わず箸を置く。
「……母さんのハンバーグと同じだ」
「じゃあ、大叔母さんの? ……そっか、だから」
譲が幼いころに死別した母のハンバーグ、それは譲にとって何にも代えがたい思い出の味。遠縁の親戚……いとこちがいの間柄であり、子供のころはよく諸星家に来ていた紫蓮の記憶にもおぼろげながら残っていたのだろう。親戚で誕生日の近しいこども達を集めてお誕生日会を開いてもらった、笑顔の記憶が。
「(テストで100点取った時とか、写真のコンクールで入賞した時とか……いいことばっかり思い出すな……)」
譲や、親戚のこどもたちに特別ないいことがあった日、譲の母は必ずこのハンバーグを作ってお祝いをしていた。写真コンクールの賞状を手に、当の息子よりはしゃいで喜んでいたかつての母の姿を思い出す譲。もう見ることの出来ないその笑顔はとても、遠い。
「譲にいさん……?」
「……え、あっ、これは、ちがっ、違うよ紫蓮ちゃん……!」
とっさに違うと口走ってしまう譲だったが、緑色の瞳に涙の海が出来た理由をごまかせるはずもない。紫蓮の前では弱いところを見せたくないと強がって譲は笑顔をつくろうとするが、涙は、まぶたは、ちっとも言うことを聞いてくれない。
「譲にいさん……泣かないで。大丈夫」
「ごめん、紫蓮ちゃん、ごめ……」
嗚咽をこらえる為にぎゅっと握られた譲の拳。そこに、紫蓮の細い指がそっと触れる。何故そうしたのかと問われたら紫蓮はきっと答えられないが、ただそうしなければという思いが、紫蓮を動かしていた。
「ハンバーグの味……私も覚えてたよ」
「うん……」
母にはもう会えないけれど、その味を覚えていてくれる、共有してくれる紫蓮がいる。それは譲にとって、どれほど心強かっただろう。ゆっくりとほどけた譲の手を、紫蓮のてのひらがやさしく包み込む。
「ごめん……紫蓮ちゃん、手……このまま……」
「……うん」
譲は戦場カメラマンとして、命のやりとりや理不尽な別れは何度となく見てきたはずだった。危険な場所に赴く以上、自分がその当事者になるかもしれないという覚悟も持っていたはずだった。だが、今その覚悟を示せと言われたら、譲は戸惑ってしまうだろう。紫蓮の手から伝わるぬくもりに触れていたい、ここにいてほしい……そんな思いが譲の胸から溢れ、言葉になって、もうなかったことには出来ないでいる。
「譲にいさん……ハンバーグ、食べよう?」
「あ……うん、そうだな」
せっかくまた出会えた味。残したら大叔母さんに怒られちゃうと笑い、紫蓮は譲からそっと手を離し、食べかけのハンバーグに向き直った。一口一口味わって、今度は思い出す必要もないくらい覚えていられるように。
「(いつか……譲にいさんに、このハンバーグをごちそうするんだ)」
紫蓮の淡い誓いはいつか、譲の確かな絆になるのだろうか。
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あとがき
担当マスター:
瀬島
ファンレターはマスターページから!
お待たせいたしました、ブロンズシナリオ『お食事処たそがれ』お届けいたします。
この度はご来店、まことにありがとうございました。
おにぎり、ビーフカレー、卵焼き、マカロニサラダ、ぼたもち、ハンバーグ、などなど。
何の変哲もない、きっとどこででも食べられるメニュー。
だけどそこに皆様それぞれの思いと、作った人の愛情が加わって、かけがえのない一品になるのですね。
おいしい思い出話、ごちそうさまでした。
もう二度と食べられないもの……という前提でお出ししたガイドでしたが、
皆様の前向きなアクションを受けて、もしかしたらまた食べられるかもしれないもの、
再現して受け継いでいけるかもしれないもの、そんな料理をいくつか出すことが出来ました。嬉しいものです。
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
瀬島
シナリオタイプ(らっポ)
ブロンズシナリオ(100)
グループ参加
2人まで
シナリオジャンル
日常
定員
10人
参加キャラクター数
10人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2014年12月26日
参加申し込みの期限
2015年01月02日 11時00分
アクション投稿の期限
2015年01月02日 11時00分
参加キャラクター一覧
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