寝子島図書館、あくびの怪｜リアクション

寝子島図書館、あくびの怪

「ご迷惑をおかけしておりました。寝子島図書館からのお知らせです。只今システムが復旧し、館内の出入りが通常通り行えるようになりました。また、有志の方々のご厚意で、館内に迷い込みました野良猫たちも、無事捕獲し逃がすことができました。ご迷惑をおかけして大変申し訳ありませんでした。今後も引き続き、寝子島図書館をご利用頂きますようよろしくお願いいたします」

　図書館には元の平穏が訪れた。
　暇をつぶす生徒や、
　天気図を眺める男性、
　意気投合する大学生達に、
　仕事を忘れ読書する女性、
　鳥の写真を眺める生徒もいる。
　数式に悩む学生や、
　新聞を片手に眠る社会人も……
　そんな中、

「ふふ、能動的な読書だったな」
　長いアナウンスを聞きながら、修は読み終えた古文書を禁帯出の棚に戻した。
（この本はきっと、どんな本より忘れ難くなる）

　同じように本を慈しんでいるのは、やっと戻ってきた文字を読みすすめている綾花だった。
「おかえり」
　文字を撫でるように紙へ指を滑らせ、だいすきな猫の物語を読みすすめてゆく。

　奥の席では、海と刀が隣り合って読書をしている。
「やっと全部回収できたな。これで本が読める……」
『刀くん、ファウストなんて難しいの読むんだね。えっと、時よとまれ、お前は美しい、だっけ？』
「いや、適当にとった本だからちゃんと読んだことないんだけど……あ、ほんとに書いてある」
　ぱらぱらとページを捲り、問題のページを見つけ刀はぎょっとした。
「げっ、これ云うと魂盗られんのかよ、マジか」
『そんな話なの？』
　興味深げに尋ねる海に、刀は頷いた。
「そうみたいだな。ちゃんと読んでみるよ。面白かったら内容教える」
『うん！』

（主人公は、どうなるんだろ……）
　遵はどきどきしながらページを捲っていた。
　最後の数ページは、幾多の傷を負いながらやっと手に入れた結末だ。
（早く、早く！）
　心臓を高鳴らせながら、遵は最後のページを捲った。
　そこには……。

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　第二部へ続く

「…………え？」

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あとがき

担当マスター：貝
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図書館、という空間にロマンを感じます。
古いものから新しいものまで、様々な書物が並び、どれでも気軽に手に取り、読むことができる……。
無料というところもオイシイです。
そんな貝です、こんにちは、

久々のシナリオ、ご参加頂きありがとうございました。
人の数だけ図書館にはドラマがあり、ひとつひとつを文章に起こしてゆくのがとても楽しかったです。
ちょっぴり人騒がせな怪事でしたが、皆さんにも楽しんで頂けたでしょうか。

それではご縁がありましたら、またどこかで。

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