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遠雷のような、昔日の
「やきとりハナ」で呑もう!
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「邪魔すんぜ、……っと」
縄暖簾を潜り格子戸を無造作に開けるなり、
神無月 文貴
はカウンターに突っ伏して眠る己が屋敷の庭師である暖簾に銀縁眼鏡の眼を向けた。
「いらっしゃい、神無月さん」
「うちのが悪ィな。後で連れて帰っからよ」
無防備に寝入る庭師の肩に壁から外した上着を引っ掛け、文貴はその隣に腰を下ろす。
「霞婆ちゃんも来てたのか」
「今晩は、文貴君」
幼い頃から母親代わりと慕い頭の上がらぬ元極道の妻にも挨拶をして、文貴は続いて店に入ってきた坊主頭に背広姿の男に隣の席を示す。
「お前たァじっくり飲みたかったんだ、積もる話もあることだしな」
「……まぁ、付き合ってやるか」
幼馴染の飲み友達に半ば強引に引きずり込まれるかたちで居酒屋に入り、
晴海 正毅
は炭火の匂いと色が染み付いた店内を見回す。
(……うん?)
文貴の隣、酔って寝こける黒ずくめの男に寄り添う妙な気配を感じて、正毅は眼鏡の奥の黒の瞳を鋭く細める。黒髪を高く結い上げた淑やかな女の姿を見た気がしたが、
(……まあ、悪いものではないな)
むしろ彼を護ろうとしているその気配に肩から力をぬく。
「どうだ、いい店だろ」
座した途端に昔と変わらぬ態度で肩を叩かれ、正毅は生真面目に引き結んだ唇を緩める。
「相変わらず人懐っこいヤクザだな」
気難しげな瞳に気の置けない者にだけ向ける笑みの色浮かべて軽口を叩く十歳年上のサラリーマンに、旧市街を縄張りとする任侠は磊落な笑みで応える。
「折角だ、蓮華さんとの馴れ初め聞かせてくんな」
馴染みの店の店員に二人分の酒と適当なつまみを頼み、文貴は正毅の亡妻の名を口にする。
正毅の妻である初恋の人の名を声にした瞬間、思わず唇に淡い笑みが滲んだ。
(洟ったれの悪ガキだったよなァ)
幼い頃の己を思い、初恋の人の懐かしい姿を思う。
初めて出会ったのは、夜の落神神社だった。
己をヤクザの息子だ何だとののしる同級生達を見返してやりたくて、肝試に一人で夜の墓場に向かい、月下の山桜をひとり見上げる彼女を見た。
見慣れぬ美人に、最初は幽霊か何かだと心底肝を冷やして、その次に彼女から向けられたおっとりとした笑みと言葉にまた心底驚いた。
――キミも肝試し? 同じだね!
話をしてみれば、オカルト趣味が高じて落ち神伝説の残る寝子島にやってきたのだと言う。
「器量よしだが変わり者でよ」
その日から、探検だ肝試しだと暇があればあちこち引きずり回された。
「まあでも、……恩人だよ」
神無組の跡取りであるがために周りから白い目で見られることも多かった。周囲からの爪弾きに反発し、きつく当たってくる父親に反発し、喧嘩に明け暮れた。彼女が何かにつけて構ってくれなければ、きっと己を囲む全てを拒絶してしまっていただろう。
「感謝もしてる」
懐かしげに眼を伏せる文貴を正毅は見遣る。
神無組の四代目となり舎弟を抱える親分の身分となっても、この男は出会った頃と接し方を変えては来ない。
「正毅」
店員から受け取った冷酒の銚子を片手、文貴が杯を勧める。
初めて会った日も挑むような瞳で呼び捨てて来たことを思い出して、正毅は文貴の酌を受けながら苦笑する。
「……妻との馴れ初め、か」
おっとりした性格で体が弱いその癖、オカルト好きな妻と出会ったのはお互いが高校の頃。夜な夜な寮を抜け出して心霊スポットに行く妻を心配した妻の友人から、様子を見てやってほしいと頼まれたことがきっかけ。
何故俺が、とその友人に問えば、だってお母さん拝み屋やってるんでしょ、と至極当然のように言い放たれた。
(そりゃ小さい頃は跡継ぎの修行もしてたが)
困惑しつつも、生来の面倒見の良い性格からその友人の頼みを引き受けたその日の夜。早速寮を抜け出したと友人から連絡を受け、猫鳴寮から続く九夜山への灯のない山道を走った。
月明かりに佇む彼女を見つけ、邪魔に入って煙たがれるかと思いながら駆け寄れば、むしろ仲間が出来たと喜ばれてしまった。
――一緒に行こう、ね?
半ば強引に仲間に引き入れようとする彼女の笑顔に困惑したことをよく覚えている。
その彼女の傍ら、面白く無さそうな顔をした文貴少年が居た事も。
「文貴君も一緒に居ただろう」
「そうだっけか? ま、てめえは蓮華さんのお目付け役だったもんな」
文貴は小さく肩を竦めて笑う。
彼女を心霊スポットに行かせまいとする正毅と、彼女に懐き行動を共にしたがる文貴少年と。ほとんど出会う度に彼女を間に挟んで言葉の応酬を交わした。正毅から手を出すことは無かったが、文貴からは油断すればすぐに少年ならではの容赦のない蹴りや拳が飛んできた。
正毅は小さく笑う。
「彼女を異性として意識したのは文貴君がきっかけだった」
「おいおい、マジかよ」
時に幼い感情を持て余して拗ねて暴れる文貴を、まるで弟を扱うかのように優しくたしなめ諭し、時には抱きしめさえして面倒を見る彼女を見て、
(女性として付き合うならこういう母親のような女性がいい)
そう思った。
当時ぎくしゃくしていた母親との関係が改善したのも彼女のおかげだった。友人として、お守り役として付き合うようになってほんの数ヶ月で、彼女は己にとってかけがえのない人間になっていた。
「そう言やいつから付き合ってたんだよ」
「友人として仲良くなって何ヶ月か経った頃だ」
相当回りくどい台詞で告白をした。それなのにすぐ此方の恋心を気取られ、楽しげに笑われてしまったのは実は嫌な思い出だ。
「本当、そういうとこは鋭かったんだよな……」
酒を口に含みながらふと漏らした呟きを聞き取り、文貴は懐かしげに瞳をすがめる。
「蓮華さんと正毅が大学卒業後すぐに結婚するって知った時にゃ盛大に拗ねて暴れたっけ」
初恋と言うには、今から思えばあまりに幼い恋心。母親を早くに亡くしたせいもあるのだろう、憧れに近い感情を抱いていた。姉と母の中間のような存在だった。
「ああ、式場に乗り込んできたよな」
「いっちょまえにやきもち焼いてな」
文貴は幼い己を笑い飛ばす。
「けど、蓮華さんの花嫁姿があんまり綺麗だったもんで野暮はぐっと我慢した。惚れた女の幸せは祝ってやんなきゃ男じゃねえ、ってな」
あの頃から己はもう義理と人情の世界に生きていたのだろうと、今は思う。
「結婚した時にはもう腹に宿ってたんだろ?」
「彼女の妊娠が結婚の理由だった」
元々、彼女は体が弱かった。
妊娠出産による負担が大きいかもしれないと医師に告げられた。最悪、どちらかは諦めなくてはならないとも。
膨らみ始めた腹を愛おしげに擦る彼女に向かい、血を吐く思いで子供を諦めるように説得を幾度も試みて、その度に失敗した。
彼女は母親に捨てられ、施設で暮らしていた。だから人一倍、家族というものへの憧れは強かった。血の繋がった子供が欲しいという思いは、尚更。
己が命すら懸けて子を護ろうとする彼女の想いに、結局正毅は折れた。その選択が間違いだったのか否か、――彼女の体は、出産の負担には耐え切れなかった。
娘が生まれた日に、彼女は死んだ。
(僕は仕事で死に目に立ち会うことも出来なかった)
――女房の一大事に何だって他の事にかまけてられんだ!
遅れて病院に入るなり、彼女のもとに誰よりも早く駆けつけていた文貴に殴り飛ばされ怒鳴りつけられた。
――それでも父親か?!
殴られるままに座り込む己の肩を掴んで揺すり、言葉荒く怒鳴りながら、文貴はあの時確かに泣いていたように思う。
短すぎた結婚生活を、思う。それでも幸せだったと、確かに思う。
「生きてりゃどうだったろうな」
ぽつり、文貴が零す。
「俺が酒を飲める年齢まで生きててくれりゃ三人で晩酌できたのによ」
喉を晒して酒をあおる。空になった杯に無言で酒を満たす昔の恋敵に壮絶な流し目をくれて、文貴は唇を歪める。
「こんな男やもめにゃもったいねえようないい女だった」
十歳年下の男の言葉に、正毅は心底から頷く。
「残された娘は守ろうとは思ってる、あの子は妻の夢だからね……」
「当然だ」
舌打ちさえしそうに憮然と吐き捨てて、文貴は正毅の杯になみなみと酌をする。しんみりしちまったな、と呟く。
「思い出は大切だが俺達にゃ今がある」
今生きてるからこそ、と杯を掲げる。
「うめえ酒が飲める、だろ?」
二十年来の気心知れた笑みを交わし、ふたりは酒を酌み交わす。
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
阿瀬春
シナリオタイプ(らっポ)
シルバーシナリオ(150)
グループ参加
2人まで
シナリオジャンル
日常
定員
15人
参加キャラクター数
15人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2015年01月02日
参加申し込みの期限
2015年01月09日 11時00分
アクション投稿の期限
2015年01月09日 11時00分
参加キャラクター一覧
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