夕暮れの参道商店街の隅、黄昏色の路地のどん詰まりに、ぽつり、古びた居酒屋がある。黄色いパトランプの乗っかった電光看板には『やきとり ハナ』の文字。
道に向けてもくもくと吐き出される炭火焼き鳥の煙を浴びながら、赤提灯の光を脇に縄暖簾を分ける。ビールケースに半ば埋れた戸を潜れば、
「はい、いらっしゃい!」
いつもはおっとりとした女将の声が重なるはずの店内に、今日は店員が一人きり。
「食事だけでも構わねェかい?」
「喜んで」
黒の中折れ帽を左手で取り、
鹿黒 暖簾は深い黒の色した鋭い瞳を僅かな笑みに細める。
「ありがとよ。今日は女将はどうしたんだい」
問えば、熊じみて大柄で強面な店員の顔に浮かんだ愛想良い笑みに困惑が混ざる。
「少し前の妙な冷え込みでちょっと風邪引いちゃったみたいで。いえ、大したことはないんですが、しばらく女将はお休みです」
カウンターしかない席のひとつに着く。熱いお絞りとお通しの小鉢を前にウーロン茶と焼き鳥を注文する。
「鹿黒さん、失礼ですが御歳は?」
「今年五十二だよ」
おどけて応じる。歳よりもずっと若く見えるその容姿に、店員が驚いた表情を見せた。
「すみません、うっかり同じ歳くらいかちょっと上くらいかと思ってました」
「若作りにゃ自信あんぜェ」
「良かったら幼い頃の昔話を聞かせてはもらえませんか? なんと言うか、……今までの人生みたいな、そういう話」
三十代後半と思しき店員に請われた。
「大切な方との出会いの話でも。僕、そういうご縁がとんとなくて」
店員の言葉に脳裏を過ぎる、大切に思う人々。
人生なァ、と思わず苦く笑う。思い出話は苦手とするところだが。
――さて。
あけましておめでとうございます。
本年もどうぞよろしくお願いいたします。
さて。新年一発目のお話は、また、と言いますかぶっちゃけまたです。酒盛りのお話です。それから、すみません、出来ましたら40歳以上のおじさまおねえさま方限定の参加でお願いします。年齢の上限制限はありません。なんでしたら70代80代それ以上の方もどうぞお越しください……!
でも、参加申し込み期限までに枠が埋まらなかった場合は、その限りではありません。二十歳以上のPCさまも是非ぜひ! どうぞー!
それから、もうひとつだけ。
あんまり過激だったり陰惨だったりな過去のお話のアクションでした場合、直接の描写はできません。例えば回想して感想のみになったり、表現をぼかしたりのリアクションとなってしまいます。
その点、ご了承ください。
ガイドには鹿黒 暖簾さまにご登場頂きました。
下戸なのに居酒屋に引きずりこんでしまい、すみませんでした。もし宜しければご参加ください。
ご登場、ありがとうございましたー!
そういうわけで(?)、人生の先輩方々が過ごしてこられました今までのお話、宜しければお聞かせください。
店員が昔話を聞きたがるのは、女将が風邪でお店を休んでいる数日間です。
おひとりさまでの昔語りも、偶然昔を知る誰かと居合わせて『あの頃』を語り合うのも、どちらも楽しそうです。
ご参加、お待ちしております。よろしくお願いいたします。