サンマさん、サンマ星に帰る｜リアクション

サンマさん、サンマ星に帰る

●サンマ星の悲劇

「ここはサンマ星……という事はサンマさんは宇宙人だったのですか！？
　これは歴史に刻まれる大真実なのですよ！」

　興奮冷めやらぬといった面持ちで、稲井いおねは目の前の光景に感激していた。

　目の前には大小様々なサンマさんの群れが行き交っている。
　骨マニアの彼女にとって、こんな生物を見る経験はまたとないレアなチャンスである。

「これはろっこんで骨格を見るしかないじゃないですかー！
　もうこれは見なければ絶対に後悔するのですよ！　いざ、世紀の大発見！」

　いおねは自分のろっこん『レントゲン・ラブ』を発動させようと、眼鏡の蝶番を親指と人差し指で抓んだ。

「おおーっ！　あっちの屋台に何か変わったチキュージンとやらが来て、
　面白い話をしてるらしいんだぜぇ　見に行くんだぜぇ！」
　
　その時、サンマさんの大群が押し寄せ、いおねを弾き飛ばす。
　
「んぎゃー！」

　突然入った予想外の邪魔にろっこん発動を妨害されてしまういおね。

「あ、諦めないのです……ぎゃああああ！」

　今度はろっこんを使おうとしたら、眼鏡がパリーンと音を立てて割れてしまった。
　先程のサンマさんズとの衝突でヒビが入っていたらしい。

「うぅ、どうやら見てはいけないものだったのですね……
　これは天罰なのです、眼鏡は好奇心の犠牲になったのだ……」

　眼鏡を無くし、ぼやける視界にがっくりと肩を落とすいおねだった――