敬老の日に｜リアクション

敬老の日に

～祖父母への電話と手紙～

　今日は敬老の日、早速お祖父様達に電話をしよう。
　桜月は、自宅から電話をかけた。
「お祖母様、月ですご無沙汰しています」
　喜色にあふれた祖母の声と共に、後ろでバタバタする音。声も聞こえる。
「今日はお祖母様達の声が聞きたくなって……お祖父様興奮してますか？　後ろから声が聞こえてきます。お二人ともお元気そうですね」
　生まれつき色素が非常に薄く、両親からは気味が悪いと疎まれた。
　そんな月を引き取り惜しみない愛情を注いでくれたのは、祖父母だった。
　外見の問題だけでなく紫外線に弱いため昼は外に出ることもままならず、家庭教師もつけてもらった。
「今回の夏休みには報告できることが余りなくて戻れませんでしたけど、冬休みには沢山のご報告ができると思いますので帰りますね。お二人に会いたいです」
　祖母と話している間にも、電話口から替わりたがっている祖父の声が聞こえてくる。
「お祖母様、お祖父様ともお話しをしたいので替わってもらっても……えっ興奮しすぎて危ない？　いや、そんな事は」
　祖母は祖父を叱り始めたようだ。受話器を覆っているようだが丸聞こえだ。
「えっ、あっ、はいまた今度、お祖父さまにもよろしくお伝えください」
　プツッと音が途絶え、聞こえてくるのはツー、ツーという電話の音。
「切れちゃった。お祖父さま、後ろから声をかけてくれるのは嬉しいのですがお祖母さまとの会話を邪魔するのは拙いですよ」

　電話で話せなかった分は手紙に書いて送ろう、と月は思った。
　便箋とペン、そしてデザイン画を取り出す。
　今までの出来事、ろっこんとか神魂の関係無い事を書こう。
　そう思いつつペンを取り、綴る。

『お電話で元気そうな声が聞けて安心しました。
　話せなかった分をお手紙に書かせていただきます。
　同封のデザイン画は、お祖父さまとお祖母さまの事を考えながら描いたものです』
（いつかはこのデザイン画の服を贈りたいな）

『私にも友達ができました。もう外見のことを気にすることもなく、親切にしてもらったり、いい刺激をもらったりしています。
　芸術の祭典に参加したり、寝子電のデザインコンテストに応募したりもしています。
　ところで、ひとつお願いがあります。メイドを雇ってもいいでしょうか。
　自分のことはなるべく自分でしていますが、創作意欲が湧いて乗っているときに家事で作業を中断すると、集中力が途切れてアイディアが消えてしまったりするのが残念なのです。

　それでは、またお会いできるのを楽しみにしております。どうぞお元気で。
　この島に送り出してくれた事をとても感謝しています』

　